カーブフィッティング

カーブフィッティング(線形あるいは非線形回帰)とは、曲線あてはめの手法のひとつで、実験データのような一連のデータポイントによくあてはまるような直線または曲線の数式を見つけ出すものです。

データを数式として表現することによって、実際のデータがないところでも値の予測が可能になるといったメリットがあるため、よく使用される手法です。

回帰式の決定には、曲線とデータ点群の距離が最小になるようにする最小二乗法という手法が使用されます。Originでは、非線形のフィッティングLevenberg Marquardt法(レーベンバーグ・マーカート法)のほか、直交距離回帰(Orthogonal Distance Regression)アルゴリズムによりフィットを実行できます。

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Originのカーブフィットはとても簡単!

Originでは、線形、多項式、非線形など、様々なカーブフィッティング機能を利用できます。

多項式フィット
陰関数フィット
曲面フィット

操作は簡単で、フィットさせたいデータやグラフを選んで、フィット関数を選択すれば、あとはボタンをクリックするだけ。

ダイアログにはプレビュー機能もあるので、反復計算を実行しながらパラメータを調整することもできます。

実行後はグラフに回帰曲線が追加されるだけでなく、結果のレポートも合わせて出力されるので、見た目だけでなく数値でも結果を確認できます。

また、フィットの一連の処理を「分析テンプレート」として保存すれば、同じ形式のデータに対して同じ分析処理をするときに使ったり、バッチ処理のベースとして使用できます。

Originの非線形曲線フィットダイアログ

フィット結果が表示されたレポート

フィット曲線が追加されたグラフ

豊富な関数でフィッティングが可能

Originには、ガウス、ローレンツ、フォークト、シグモイド関数や指数関数、対数関数といったフィット関数が200種ほど用意されています。これらの関数には、パラメータの初期値を自動で設定する初期化コードが含まれているため、自身でパラメータの調整をしなくても簡単にフィット操作を実行できます。

また、ユーザがフィット関数を作成することも可能で、積分が含まれているような複雑な式もフィット関数として定義して使用できます。

最適なフィット関数を見つけ出す(モデルのランク付け)

1つのデータセットに対し、複数の関数でフィットを実行し、それぞれのフィット結果のAIC(赤池情報量規準) やBIC(ベイズ情報量基準)、補正R二乗などを比較して当てはまりの良い順に関数をランク付けすることにより最適なフィット関数を決定できます。

カテゴリ内の関数を複数選択してフィット処理
選択した関数でフィットを実行し、当てはまりの良さの順にランク付け

使用できる反復法

Originでは、非線形のフィッティングにおいて標準的な反復法として知られるLevenberg Marquardt法(レーベンバーグ・マーカート法)のほか、直交距離回帰(ODR)によりフィットを実行できます。

Levenberg Marquardt法(レーベンバーグ・マーカート法)と直交距離回帰(ODR)

フィットをコントロールするオプション

フィット実行時に様々なオプションを指定できるのもOriginの魅力の一つです。

たとえば、フィットの際に、パラメータの値を制限する境界条件や線形制約を定義できます。また、複数データをフィットする際にパラメータを共有する「グローバルフィット」機能や、データを統合して1つのデータセットとしてフィットする「連結フィット」などが可能です。

様々なOriginのフィットオプション

フィット結果が良いかどうか

カーブフィットの結果の良さは、回帰線が実際のデータポイントにどの程度近いのか、得られた回帰式がどのくらいデータを説明しているかで確認します。その際の指標として、決定係数(R2)が出力されます。決定係数は0~1までの値をとり、1に近ければ近いほど回帰直線のフィット具合が良いとされています。逆に、0に近ければ近いほど回帰直線のフィット具合が良くないと判断します。

Originで回帰分析を実行した場合は、結果のレポートシートにおいて「R二乗(COD)」が表示されます。

Originではレポートシートに決定係数R二乗が表示

しかし、決定係数 R2は、説明変数の数に左右されるため、Originでは、自由度を考慮した補正R2(自由度調整済み決定係数)も計算します。

自由度が小さいときの回帰直線は、根拠が信用しづらいと判断され、通常の決定係数に比べて補正R2の値は下がります。一方、自由度が大きい場合は十分な根拠となると判断され、補正R2は通常の決定係数に比べてもあまり下がりません。

なお、通常の決定係数は0から1の値を取りますが、補正R2の場合は負の値を取ることもあります。もともとの決定係数が0に近く、かつ自由度が小さい場合に負になることがあります。


 

 

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