Stataコマンド早見表

利用シーン別に代表的なコマンドをご紹介します。各コマンドの説明と使用例を併記しております。
使用例に記載のコマンドをコマンドウィンドウやDoファイルに入力して実行いただくことで実際の処理をご確認いただけます。

Stataをマウス操作で使用されている方も「db コマンド名」でダイアログを開くことができますので、
キーワードでページ内検索 → 対応するコマンドを見つける → dbコマンドでダイアログを開く、といった形でご利用ください。
(一部、ダイアログの対応のないコマンドがございます。コマンド操作をご利用ください。)




関数については下記ページをご覧ください。

グラフに関するコマンドは下記ページをご覧ください。

ヘルプファイルの活用初めて使うコマンドは、Examplesを実行してみる

 初めて使うコマンドは、ヘルプファイルのExamplesに掲載されているコマンド例を実行してみましょう。コマンドをどのように使えばよいか実例を通して知ることができます。

  1. helpコマンド(help コマンド名)を実行します。例えば、help regress
  2. 検索したコマンドのヘルプファイルが表示されます。
  3. ヘルプファイルを下の方にスクロールして、Examplesという項目を確認します。
  4. 記載されているコマンドをコピーし、コマンドウィンドウに貼り付けて実行してみましょう。

Stata起動後の準備


Stata起動後の作業フォルダの設定やログを記録するためのコマンド、検索やヘルプ表示のコマンドなどをご紹介します。
また、Stataの日本語メニューを検索する機能を別ページで公開しております。ご参考ください。

項番コマンド説明使用例
1cdパスを指定して作業フォルダの変更
パスを指定しなければ現在の作業フォルダを表示します。
2dirWindows環境で作業フォルダ内のファイル名を表示
3lsMac, Unix環境で作業フォルダ内のファイル名を表示
4logログの開始、停止、再開、終了
結果ウィンドウに表示される内容をログファイルに記録します。
作業内容を記録しておくのに便利な機能です。
5searchキーワードを指定して検索
6helpコマンドを指定してヘルプファイルを表示
知らないコマンドやエラーコードが生じたときなど、
使用頻度の高いコマンドです。
7dbコマンドを指定してダイアログボックスを表示
コマンドは覚えているがメニューのどこにあるかわからない、という時に
瞬時にダイアログボックスを開ける便利なコマンドです。

データの入出力(インポートとエクスポート)


 Stataのサンプルデータやさまざまな形式のデータを読込むためのコマンドをご紹介します。また、Stata上のデータをStata形式のデータとして保存したり、特定の形式でエクスポートするためのコマンドをご紹介します。下記の使用例でエクスポートしたファイルは作業フォルダに格納されます。作業フォルダはcdコマンドまたはpwdコマンドで確認できます。

項番コマンド説明使用例
1sysuseStataにインストールされているサンプルデータの使用
clearオプションでメモリ上のデータの置換
2webuseWebサイト上のデータの使用
3useStataフォーマットのデータをStata上に読込み
4import excelExcelファイルのインポート
5import delimitedCSVファイルなどデリミタで区切られたデータのインポート
6import sasSASファイルのインポート
7import spssSPSSファイルのインポート
8saveファイル名を指定してStata形式のデータを保存
9export excelファイル名を指定してデータをエクセルファイルへ保存
10export delimitedファイル名を指定してデータをテキストファイルへ保存
11frameStataで複数のデータセットを読み込むにはframeを使用します。
フレームは名前を付けて生成する必要があります。
Stata起動時のフレーム名はdefaultです。

データの把握


 Stataに取り込んだデータを理解するのに役立つコマンドをご紹介します。

項番コマンド説明使用例
1describeデータの概要を表示
データの観測数や変数の数に加えて、
変数の型、表示形式、変数ラベルなどが一覧で表示されます。

表示の例

2ds変数名の一覧を表示
3lookfor変数名と変数ラベルに対する文字列検索

文字列検索の例

4codebook変数の概要を表示
変数ラベル、変数の型、一意な値の数、欠損値の数などが表示されます。
変数の概要を把握するのに便利なコマンドです。

表示の例

5summarize変数ごとの要約統計量を表示
変数ごとの観測数、平均、標準偏差、最大値、最小値を表示します。
detailオプションを指定するとパーセンタイル値、尖度、歪度を表示します。

表示の例

6editデータエディタでデータを編集
7browseデータエディタでデータを閲覧
8list各変数の値の一覧を表示

表示の例

9display文字列や数値を表示

表示の例

10gsort指定した変数の昇順または降順に並び替え
11duplicates重複した観測行のレポート、タグ付け、削除など
12levelsof変数の一意(ユニーク)な値の一覧
13correlate相関係数の表示
指定した変数の相関行列を表示します。
covarianceオプションを指定すると共分散行列を表示します。

データの集計表


 データの集計表を作成するためのコマンドをご紹介します。

項番コマンド説明使用例
1tabulate集計表
2tabstat簡単な統計表

統計表の例

3table頻度、要約、コマンド結果の表
カテゴリー変数に対する集計表や
複数のコマンドを実行して得られる値を1つの表に
まとめることができます。
4collapse要約統計量のデータセット生成
集計した統計量をデータセットとして保持します。
集計した値を用いて分析を行いたい場合に便利なコマンドです。

データ集計の例

5dtable要約統計量の表
平均、分散、中央値など要約統計量の表を作成します。
作成した表は、Excel, Word, PDF, html など様々な形式で出力できます。
6etable推定結果の表
推定コマンドで推定した結果をもとに表を作成します。
作成した表は、Excel, Word, PDF, html など様々な形式で出力できます。

データの加工


 データの形式の変換や複数のデータを結合するためのコマンド、データから特定の条件に合う観測行を抽出するコマンド、変数を生成するコマンドなどデータ加工に関するコマンドをご紹介します。

項番コマンド説明使用例
1append複数のデータの結合(観測行の追加)
dtaファイルを対象にデータを縦方向に結合します。
2merge複数のデータの結合(変数の追加)
mergeコマンドを実行すると変数_mergeが生成されます。
複数回マージする場合は、その都度_mergeを削除する必要があります。
変数を削除するには、dropコマンドを使用します。(例:drop _merge)

データ結合の例

3reshapeデータの形式変換
データをワイド形式またはロング形式に変換します。

形式変換の例

4generate新たな変数の生成
5egengenerateコマンドの拡張
変数を生成する際に様々な関数を使用できます。
(詳しくは、help egen)
6drop指定した変数の削除
特定の変数を削除したい場合に使用します。

削除の例

7keep指定した変数のみ保持
残しておきたい変数が少数の場合、
dropコマンドではなくkeepコマンドが便利です。

保持の例

8drop if 条件を満たす観測行の削除

削除の例

9keep if条件を満たす観測行のみ保持

保持の例

10rename変数名の変更
ワイルドカード*や?を使用して複数の変数名を
一括で変更することも可能です。
(詳しくは、help rename group)
11replace既存の変数の値の置換
if修飾子を用いて特定の条件に一致する行の値を置換します。
in修飾子を用いて指定した行の値を置換します。
12destring文字列変数を数値変数に型変換

型変換の例

13tostring数値変数を文字列変数に型変換

型変換の例

14format変数の出力形式を設定
数値の表示桁数、文字の表示形式、日付と時刻の表示形式など
15expand観測行の複製

ラベルの付与


 Stataでは、データに対してデータラベル・変数ラベル・値ラベルを付与でき、データを理解するのに役立ちます。 以下では主にラベルを付与するためのコマンドを紹介しますが、describeコマンドやcodebookコマンドを実行してラベルの内容を確認できます。

項番コマンド説明使用例
1label define値ラベルの定義
2label values変数を指定して値ラベルを付与
3label list値ラベルの一覧の表示
4label variable変数とラベル名を指定して変数ラベルの付与
変数に対する説明を変数ラベルに記述することで、
データの理解に役立ちます。
(例:変数hbpに対する変数ラベル"High blood pressure")
5label dataラベル名を指定してデータラベルの付与

マクロ変数


 マクロ変数にはグローバルとローカルの2種類があります。マクロ変数を活用することで数値や文字列を一時的に保持したり、参照することができます。その他、Stored results、繰返し処理、条件分岐などでも使用されます。(Stored resultsとは、コマンドを実行後にメモリ上に格納されている値のことで、各コマンドのヘルプファイルの下部に記載があります。コマンドを実行するたびにこのメモリ上の値は書き換わります。)

項番コマンド説明使用例
1globalグローバルマクロ変数
文字列を格納する場合:global gm_str "格納する文字列"
数値を格納する場合:global gm_num = 1.23
格納した値を表示する場合:display "$gm_str $gm_num"
値を参照する場合は、マクロ名の先頭に$マークを付けます。
2localローカルマクロ変数
文字列を格納する場合:local lm_str "格納する文字列"
数値を格納する場合:local lm_num = 1.23
格納した値を表示する場合:display "`lm_str' `lm_num'"
値を参照する場合は、マクロ名を ` と ' で囲います。
3macro listマクロ変数の一覧表示

使用上の注意global と local の違い

 global と local は、参照範囲が異なります。

  • globalマクロ変数は作成してから、削除するかStataを閉じるまで参照できます。
  • localマクロ変数は、その変数が生成されたDoファイルやプログラム内でのみ参照され、一連の処理が終了すると削除されます。

 localマクロ変数はDoファイル内などの限られた範囲でのみ参照されるため、他のプログラムで同名のマクロ変数が作成されていないかを 気にする必要がありません。このため、基本的にlocalマクロ変数を使用します。

繰返し処理と条件分岐


 繰返し処理と条件分岐を行うためのコマンドを紹介します。Stataにおける繰返し処理のイテレータ(反復子)や条件分岐の条件式の記述にはマクロ変数を使用します。Doファイルにて使用例をお試しください。

項番コマンド説明使用例
1foreachリストの要素ごとに括弧内のコマンドを実行
foreach in と foreach of の2通りの指定が可能です。
in の後にスペース区切りで要素を記述します。
of を使用する場合、リストタイプを指定する必要があります。
リストタイプ:local, global, varlist, newlist, numlist
(詳しくは、help foreach)
2forvalues指定した範囲の値ごとに括弧内のコマンドを実行
範囲の指定例1: 5/10 ⇒ 5, 6, 7, 8, 9, 10
範囲の指定例2: 5(5)30 ⇒ 5, 10, 15, 20, 25, 30
(詳しくは、help forvalues)
3while指定した条件式が真の間、括弧内のコマンドを実行
使用例では、ローカルマクロ変数を使用して変数を生成しています。
(詳しくは、help while)
4ififコマンド(if修飾子とは異なる)
if の後に条件式、コマンドを記述します。
条件式が真であればコマンドを実行し、
偽であれば実行しません。
5if elseelseコマンド
ifコマンドで指定した条件式が偽の場合に
実行したい処理を記述します。

統計解析


 Stataでは様々な統計解析を行うことができますが、ここでは一部の代表的なコマンドをご紹介します。

Stataの一部の推定コマンドについて関連を示すマップを作成しました。推定コマンドの関係性を理解する資料としてお役立てください。

 Stataに新しく実装された機能をまとめて紹介しております。合わせてご参考ください。

項番コマンド説明使用例
1ttest t検定
1標本のt検定、2標本のt検定、対応のあるt検定を行います。
2prtest 比率検定
1標本の比率検定、2標本の比率検定を行います。
3ksmirnov Kolmogorov-Smirnov検定
4ranksum Wilcoxon順位和検定
5anova 分散分析
6regress 線形回帰
7logit ロジット回帰
8bootstrap ブートストラップ法による標本抽出と推定
9jackknife ジャックナイフ法
10margins 周辺平均、予測マージン、限界効果
推定コマンドを実行後に使用できます。
11predict 推定後の予測
推定コマンドを実行後に使用できます。

計算結果や時間の表示


 Stataでコマンドを実行すると結果ウィンドウに計算結果が表示されますが、より詳細な情報がメモリ上に格納されます。 このメモリ上に格納されている結果のことを Stored results と呼びます。ここでは、Stored results を参照するためのコマンドをご紹介します。 Stored results として格納される項目はコマンド毎に異なるため、どのような項目が保持されているかについてはヘルプファイル内の Stored results をご確認ください。
 また、計算に要した実行時間を計測するためのコマンドやエラーが生じる場合にデバッグの助けとなるコマンドをご紹介します。

項番コマンド説明使用例
1 return list 一般的なコマンドのStored resultsを表示
直近に実行したコマンドの計算結果のみを保持します。
後続の処理で値を参照したい場合、マクロ変数に退避させる必要があります。

実行例

2 ereturn list 推定結果に関するStored resultsを表示
直近に実行した推定コマンドの計算結果を保持します。
3 creturn list システム上のパラメータの表示
4 matrix list 行列の表示
推定された係数や分散共分散行列は行列として格納されます。
そのため、ereturn listコマンドでは具体的な値は表示されません。
行列の内容を表示するにはmatrix listコマンドを使用します。
5 set rmsg on
set rmsg off
実行時間の表示
コマンドを実行した際に計算処理に要した時間を表示します。
コマンド毎の時間に加えて、Doファイル単位でも実行時間を表示します。
6 set trace on
set trace off
プログラムの実行をトレース
デバッグ中にプログラムの実行を追跡するために使用します。
エラーが生じる原因を調査したい場合「set trace on」を実行後、
コマンドを実行してください。
7 capture
noisily
プログラム実行中にエラーが生じても処理を止めたくない場合に使用します。
コマンドの冒頭に「capture : 」と記述するとエラーが生じても処理を止めません。
capture を使用すると実行結果が表示されません。
結果を表示したい場合は noisily コマンドを併用します。

推定後の診断


 regressコマンドなど推定コマンドを実行後、推定結果の診断や保存するためのコマンドが用意されています。 ここでは推定後コマンドの一例を示しますが、推定コマンドごとに実行できる推定後コマンドは異なります。 どのような推定後コマンドがあるかを確認するには、「help コマンド名 postestimation」を実行して表示されるヘルプファイルをご覧ください。 (例:help regress postestimation)

項番コマンド説明使用例
1 predict 推定結果をもとに予測値の算出
2 estat hettest 不均一分散の検定
3 estat vif 分散拡大要因
多重共線性が生じていないか確認するための指標です。
4 estat ic AIC(赤池情報量規準)、BIC(ベイズ情報量規準)の表示
5 estat vce 推定された分散共分散行列
6 estimates store メモリ上に推定結果を保存
名前を指定して推定結果を保存します。
保存した推定結果は、estimates restoreコマンドで呼び出せます。
7 estimates save ファイル名を指定して推定結果を保存
「ster」という拡張子のファイルが生成されます。
保存したファイルは、estimates useコマンドで読込みます。
8 rvfplot 残差と予測値の散布図

Excelファイル出力


 集計表や推定結果の表をExcelファイルに出力したい場合は、collect export または etable , export() コマンドなどを使用して出力します。 また、グラフを出力したい場合は、graph export コマンドを使用して出力します。
 ここでは、Stataで計算した結果をより柔軟にExcelファイルに出力できる putexcel コマンドを ご紹介します。Excelファイルの指定( putexcel set )、出力( putexcel )、 保存( putexcel save )など複数のコマンドを使用して柔軟にExcelファイルに出力できます。
 日常的に行う定型的なExcelファイルへの出力作業は、これらのコマンドを活用することで手作業の手間を省き、 短時間で正確に行うことができます。

項番コマンド説明使用例
1 putexcel set ファイル名を指定して、
出力対象となるExcelファイルを設定します。
2 putexcel セル参照 = 値 指定したセル参照に値(数値や文字列)を出力します。
フォーマットオプションを指定して、
セルの背景色、罫線、フォントなどを指定できます。
3 putexcel セル参照 = matrix( 行列名 ) 指定したセル参照に行列を出力します。
フォーマットオプションを指定して、
セルの背景色、罫線、フォントなどを指定できます。
4 putexcel save Excelファイルを保存して閉じます。
5 putexcel describe 現在の出力設定を表示します。
6 putexcel clear 現在の出力設定をクリアします。

コマンドの記述例


 実際にデータ操作や分析をする場合、1つのコマンドで出来ることもありますが、複数のコマンドを適切に組合せて記述することで複雑な処理を実行できます。 ここではそのような具体的に操作を行う場面を想定して、コマンドの記述例を掲載します。Doファイルに貼り付けて適宜編集してご活用ください。

複数のCSVファイルからdtaファイルの生成

  • 作業フォルダに格納されている複数のCSVファイルを読み込んでdtaファイルとして保存し、1つのdtaファイルに結合します。
  • 複数のCSVファイルには同一の列が格納されており、縦方向に結合して1つのファイルにまとめます。
  • インポート、マクロ変数、繰返し処理などのコマンドを使用します。



2つの回帰モデルを作成してExcel出力

  • 2つの回帰モデルを作成し、その結果を比較する表を生成して、Excelファイルに出力します。
  • Stataでは回帰モデルの結果を参照するには保存する操作が必要であり、estimates storeコマンドにより保存できます。
  • こちらの例では2つの回帰モデルですが、3つ以上のモデルも同様の操作で表を作成、出力できます。



DPCデータのインポート
(ヘッダー情報が複数行にわたるデータ)

  • ヘッダー情報が複数行のデータをインポートするコマンド例です。
  • DPCデータ(Excelファイル)は厚生労働省のホームページよりダウンロードできます。
  • すべての列を文字列型で読み込んだあと、変数名と変数ラベルを編集し、特定の変数を数値型に変換します。



カテゴリーごとに回帰分析を行い
1つの変数に予測値を格納する

  • levelsofコマンドでカテゴリーを取得し、繰返し処理に使用します。
  • 変数yhat_by_catに予測値が格納されますが、変数rep78の値ごとに回帰式は異なります。
  • predictコマンドでresidualsオプションを指定して残差を求めることも可能です。



Stata is a registered trademark of StataCorp LLC, College Station, TX, USA, and the Stata logo is used with the permission of StataCorp.

page_top_icon