生存分析系の新機能
- Stata の新コマンド stcrreg は競合リスク回帰モデルのフィットを行います。競合リスクモデルにおいては、被験者は複数の異なる、場合によっては相関を持った原因によってリスク状態に置かれます。stcrreg 実行後、既存の stcurve コマンドを用いて累積発生関数をプロットさせることができます。
- 新機能である 多重代入機能 は stcox, streg, stcrreg に対して使用することができます。
- stcox, streg, stcrreg に対しては 因子変数 を使用できます。
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predict に関する変更点:
- stcox 後の predict では3つの影響統計量である
DFBETAs、尤度距離、LMAX統計量が計算できるようになりました。
- stcox 後の predict では診断統計量
basesurv() ,basechazard() ,basehc() ,mgale() ,effects() ,esr() ,schoenfeld() ,scaledsch() の算出を行うことができます。従来、これらはモデルフィット時に stcox コマンドに対するオプションとして指定する必要がありました。しかし Stata 11 では推定実行後、predict を使って計算が行えるようになりました。stcox に対するオプションは依然指定できますが、マニュアル上の記述はなくなりました。
- stcox, streg 後の predict では被験者レベルの残差がデフォルトで算出されます。従来はレコードレベルの結果が出力されていました。これは複数レコードデータの場合にのみ影響します。この変更は stcox 後の predict オプションである mgale, csnell, deviance, scores に対して、また streg 後の predict オプションである mgale, deviance に対して影響を及ぼします。ただし predict, deviance は例外で、これは常に被験者レベルの結果を出力します。
例えば旧来のバージョンで. predict cs, csnell
と指定した場合、レコード単位の Cox–Snell 残差が算出されました。被験者レベルの残差を求めるには次のような指定が必要でした。. predict ccs, ccsnell
しかし Stata 11 で. predict cs, csnell
とコマンド入力した場合には被験者レベルの残差が得られることになります。レコード単位の情報を求めたい場合には新たな partial オプションを指定してください。. predict cs, csnell partial
他の残差についても同様です。
streg 後の predict, scores に対しては影響は及びません。パラメトリックモデルにおける対数尤度スコアはレコードレベルで定義されているためです。
- stcox 後の predict では3つの影響統計量である
DFBETAs、尤度距離、LMAX統計量が計算できるようになりました。
- レポーティングの新オプション baselevels と allbaselevels
は因子変数のベースレベルの表示様式を制御します。一方、これもレポーティングの新オプションである noemptycells
は交互作用中の欠損セルを表示するか否かを制御します。
これらの新オプションは推定コマンド stcox, streg, stcrreg と既存の推定事後機能コマンドである estat summarize, estat vce によってサポートされます。 -
レポーティングの新オプション noomitted
は共線性によってドロップされた共変量をレポートするか否かを制御します。デフォルトの場合、これらの変数に対しては1行がアサインされ、“(omitted)”
という表記がなされます。noomitted が指定された場合にはこれらの行は出力されなくなります。
noomitted は推定コマンド stcox, streg, stcrreg と既存の推定事後機能コマンドである estat summarize, estat vce によってサポートされます。 -
新オプション vsquish
は出力テーブル中における空白行を削除します。因子変数や時系列演算子付きの変数は空白行を置いて表示されますが、vsquish
オプションが指定された場合にはこれらの空白行が削除されます。
vsquish は推定コマンド stcox, streg, stcrreg と既存の推定事後機能コマンドである estat summarize によってサポートされます。 - 推定コマンド stcox, streg, stcrreg では係数の凡例を表示するための新オプション coeflegend がサポートされました。これらの凡例は test コマンドや制約の定義式において係数をどう参照したら良いかを知る上で役に立ちます。
- 推定コマンド streg, stcrreg では制約の出力を抑止するためのオプションである nocnsreport がサポートされました。
- stcox では tvc() オプション中で最大100個までの時間依存共変量を指定できるようになりました。従来の上限は10だったものです。
- 既存のコマンド stcurve, estat phtest を使用する上で、stcox に対し事前に対応するオプションを指定しておく必要はなくなりました。これらのコマンドは必要な統計量を自動的に生成します。
- epitab 系のコマンドである ir, cs, cc, mhodds において by() 中の欠損カテゴリの扱いが改善されました。デフォルトの場合、欠損カテゴリは計算の対象からはずされます。この設定は by() の新オプション missing によって変更できます。
- 既存のコマンド sts list に対し新オプション saving() が追加され、結果を含むデータセットを生成できるようになりました。