一般統計機能に関する新機能
- 本リリースのハイライト機能は因子変数の機能です。これについては こちら をご参照ください。
-
推定事後機能のコマンド
margins
が新規にサポートされました。margins
はマージンと限界効果の推定を行います。周辺平均の推定や補正予測値、予測マージン、限界効果、等の計算が行えます。
margins は旧コマンド mfx と adjust に代るものです。mfx と adjust はマニュアル上に記載されていませんが、Stata 11 の段階では引続き使用できます。
margins については こちら をご参照ください。 - 新コマンド mi は 多重代入 の機能を提供します。
- 新コマンド misstable は欠損値のパターンを理解する上で参考になる表を作成します。
- 新コマンド gmm は一般化モーメント法による推定機能を実装しています。gmm では線形/非線形モデル、1段階/2段階/反復推定法をサポートしています。横断的データ、時系列データ、パネルデータに対応しており、またパネルスタイルの操作変数も扱うことができます。gmm については こちら をご参照ください。
-
anova と manova
では因子変数を用いた構文を使用できます。
- 他の推定コマンドの場合、変数名の前に i. を付けない限り、共変量は連続変数とみなされます。これに対し anova と manova では、c. が付加されない限り、共変量は因子変数として扱われます。
- 交互作用を指定する場合には varname*varname ではなく varname#varname という表記法を使用してください。* は変数名を拡張するものとして解釈されることになります。ネスト構造の記述には | が引続き使用できます。
- varname1##varname2 は完全因子配置、すなわち varname1 varname2 varname1#varname2 を意味します。3元因子配置の場合には varname1##varname2##varname3 という表記を用いることができます。
- カテゴリ変数に対して負の、あるいは非整数のレベルを指定することはできなくなりました。オプション category(), class(), continuous() も使用できません。i. や c. といった因子変数表記を使用することになります。
- レポーティングオプション regress は使えなくなりました。結果を再表示させるためには、anova 実行後であれば regress と、manova 実行後であれば mvreg とコマンド入力してください。
- オプション detail は必要なくなったためドロップされました。anova と manova からの出力は自明なものとなり、また因子レベルの情報が欲しい場合には regress または mvreg を用いることによって求めることができるからです。
- オプション noanova は使えなくなりました。他の推定コマンドの場合と同様、コマンドの前に quietly を付ければ出力を抑止することができます。
- 新オプション dropemptycells を使うと、観測値を持たない交互作用はすべて e(b), e(V) 中からドロップされるので、anova, manova によるメモリ使用効率を改善することができます。ただし欠点は margins が推定不能性を判別できず、適切な警告メッセージを発行できなくなることです。
- regress の場合と同様、次の推定事後機能コマンドが anova 後に利用できます:dfbeta, estat imtest, estat szroeter, estat vif, hausman, lrtest, margins, predictnl, nlcom, suest, testnl, testparm。estat hettest のフル構文も利用できるようになりました。
- mvreg の場合と同様、次の推定事後機能コマンドが manova 後に利用できます:margins, nlcom, predictnl, testnl。
- anova 実行後の test コマンドにおいては anova 専用の特殊構文が引続き提供されていますが、regress 実行後に使用できるすべての構文も利用できるようになりました。
-
manova 実行後の test コマンドにおいては
manova 専用の特殊構文が引続き提供されていますが、mvreg
実行後に使用できるすべての構文も利用できるようになりました。
-
bootstrap, jackknife
プリフィックスコマンドに関する変更点:
- anova, manova との併用が可能になりました。
- bootstrap の新オプション jackknifeopts() は、BCa信頼区間に対する加速値計算用に jackknife に対しオプションを引渡すことを可能にします。
-
bootstrap
はプリフィックスされたコマンドによって保存されたマクロ e(version)
を上書きすることがなくなりました。
- 分数多項式回帰に関する変更点:
- 既存のコマンドである fracpoly と mfp の構文が改められました。これらはプリフィックスコマンドとして扱われるようになったので、fracpoly, ...: estimation_command や mfp, ...: estimation_command という形で使用されるようになります。ただし旧構文も Stata 11 では引続き使用できます。
- fracpoly, mfp, fracgen のオプションである adjust() は center() という名前に改められました。ただし旧オプションも Stata 11 では引続き使用できます。
- fracpoly と intreg との併用が可能になりました。
-
mfp と intreg and mprobit との併用が可能になりました。
- estimates コマンドに関する変更点:
- estimates save に append オプションが追加されました。これによって推定結果を既存のファイル中に追加できるようになりました。
- estimates use と estimates describe using に新オプション number(#) が追加されました。これによって推定結果の番号を特定することができます。
-
estimates table
では因子変数や時系列演算子付きの変数を指定できるようになりました。これに伴い、vsquish, noomitted,
baselevels, allbaselevels, noemptycells
といった新オプションのサポートも追加されました。
- ivregress コマンドに関する変更点:
- ivregress 2sls と ivregress gmm に対して提供される推定事後機能新コマンド estat endogenous により、内生回帰変数が外生変数として扱えるかどうかを検定することができます。
-
ivregress 2sls と ivregress gmm に対して新オプション
perfect が追加されました。内生回帰変数が除外操作変数と共線関係にあるかどうかのチェックをスキップすることができます。
- regress に関する変更点:
- 既存の推定事後機能である dfbeta コマンドの変数命名方法が変りました。従来の DFname に代って _dfbeta_# という名前となります。
-
新オプション notable により係数テーブルの表示を抑止できます。
- 既存の推定コマンド blogit, bprobit, logistic, logit, ologit, oprobit, probit において制約の使用が可能になりました。新オプション collinear によりモデルから共線変数を削除しないように指示できます。
- 推定コマンド用の新オプション nocnsreport により制約の表示を抑止することができます。
- 既存のコマンド pcorr において準偏相関係数の計算が可能になりました。
- 既存のコマンド pwcorr に対し新オプション listwise が追加されました。このオプションを指定した場合、変数のいずれかが欠損値である観測データは省略されることになるため、correlate と同様の振舞いを pwcorr に対して行わせることができます。
- 既存のコマンド glm において family(nbinomial ml) の場合に ml オプションが指定できるようになりました。これによって最尤法による推定が可能となります。
-
既存のコマンド asmprobit, asroprobit
の機能が強化されました:
- 新オプション factor(#) は次元が # の因子共分散構造を使用するよう指示します。
- 新オプション favor(speed|space) によって性能とメモリのトレードオフを設定できます。デフォルトは favor(speed) です。
- 新オプション nopivot は積分計算において区間ピボットを使用しないよう指示します。デフォルトの場合、多変量積分において積分区間の広いものがピボットとして使用されます。これによって数値積分の精度は向上しますが、2階導関数の計算において不連続性が生じることがあります。
- 推定事後機能の新コマンド estat facweights により、共分散の因子重みを行列形式で表示できます。
-
既存の推定事後機能コマンド estat
correlation はデフォルトの出力様式として、従来の
%6.3f
ではなく %9.4f
を使用するよう改められました。
- 既存の品質管理コマンド cchart, pchart, rchart, xchart, shewhart に対して、グラフの出力を抑止する nograph オプションが追加されました。またこれらのコマンドからはグラフに関連した値が r() 中に返されるようになりました。さらに rchart に対しては generate() オプションが追加され、グラフ中にプロットされた変数を保存できるようになりました。
- ologit と oprobit 実行後の predict においてはデフォルトが改められ、第1のアウトカムに対する予測確率が計算されるようになりました。従来は outcome() オプションの指定が必要でした。
- 既存の推定コマンド reg3 に対し仕様変更が施され、制約が指定された場合には推定法によらず大標本統計量がデフォルトとして出力されるようになりました。
- いくつかの推定コマンドにおいて収束判定基準を表すオプション nrtolerance(#), nonrtolerance が指定できるようになりました。該当するコマンドには blogit, cnreg, dprobit, factor, logit, mlogit, ologit, oprobit, probit, rologit, stcox, tobit といったものがあります。デフォルトは nrtolerance(1e-5) です。
- 既存の推定コマンド exlogistic, expoisson の memory() オプションにおいて512 MBより大きな値が指定できるようになりました。
- Statistical Software Componentsアーカイブからユーザ作成のソフトウェアを得るためのコマンド ssc に対して新たな構文 ssc hot が追加されました。最もダウンロードの多いサブミッションをリスト出力させることができます。