構造方程式モデリング -Structural equation modeling (SEM)-
SEMについてご存知なければこちら(開発元StataCorp.)をご参照ください。
SEMは構造方程式モデリング (structural equation modeling) の略です。SEMは構造方程式を指定するための記法であり、それらに対する考え方であり、それらに関するパラメータの推定法でもあります。
SEMは線形回帰から計測モデル、連立方程式に至る広範なモデルをカバーし、確認的因子分析 (CFA: confirmatory factor analysis)、相関のある独自性モデル、潜在成長モデル、多指標及び多原因 (MIMIC: multiple indicators and multiple causes) モデルをその中に含みます。
Stataの新semコマンドはSEMのフィットを行います。
機能
- GUIベース、あるいはコマンド言語でのモデルの指定
- 標準化された、あるいは標準化されていない結果
- 直接/間接効果
- 適合度統計量
- 修飾インデックス、スコア検定、Wald検定を含む省略パス検定、モデル簡略化検定
- 予測値と因子スコア
- (1) 推定パラメータの線形/非線形検定、及び (2) 推定パラメータとCIの線形/非線形組合せ
- グループをまたがった推定はコマンドにgroup(sex)を追加するのと同様の簡便さで実行可。グループ不変性の検定。グループをまたがった制約の追加と緩和。
- 生データ、及び要約統計データに対してSEMをフィット可。
- 最尤 (ML) 推定と漸近分布フリー (ADF: asymptotic distribution free) 推定。ADFは一般化モーメント法 (GMM: generalized method of moments) としても知られる。MAR (missing at random) データはFIMLによってサポートされる。
- 標準誤差、及びクラスタ化標本用標準誤差のロバスト推定
- サンプリング重み、層化、事後層化、クラスタ化サンプリングを含むサーベイデータのサポート
GUI/コマンドインタフェース
GUIベースでのモデル入力、
またはコマンド形式での入力が可能。
. sem (L1 -> m1 m2) (L2 -> m3 m4) (L3 <- L1 L2) (L3 -> m5 m6 m7)
これらは同一のモデルを表しています。
StataのGUIは標準的なパス記法を用いています。
コマンド構文の場合、パスダイアグラムをタイプインします。大文字の名称は潜在変数を、小文字の名称は観察される変数を表します。矢印の方向はどちらでも構いません。上記のモデルは次のように表現することもできます。
. sem (m1 m2 <- L1) (L2 -> m3 m4) (L3 <- L1 L2) (L3 -> m5 m6 m7)
順序は任意であり、空白があっても構いません。
. sem (m1 m2 <- L1) (L2 -> m3 m4) (L3 -> m5 m6 m7) (L3 <- L1 L2)
パスを個々に指定することもできますし、
. sem (m1 <- L1) (m2 <- L1) (L2 -> m3) (L2 -> m4) (L3 -> m5) (L3 -> m6) (L3 -> m7) (L3 <- L1) (L3 <- L2)
まとめて指定することもできます。
. sem (m1 m2 <- L1) (L2 -> m3 m4) (L3 -> m5 m6 m7) (L3 <- L1 L2)
用例
Wheaton, Muthén, Alwin, and Summers (1977) からのデータを用いて、計測成分を伴う構造モデルをフィットさせてみましょう。
以下では
について示します。
モデルのフィット
参照論文の著者による簡略化されたモデルフィット例は多くのSEMソフトウェアマニュアルに記載されています。一例を次に示します。
コマンドで入力することもできます。
結果は次のようになります。
注釈:
- 計測成分: 1967年、1971年の双方とも、失語症と筋無力症が同一の2年間における精神障害を表す内生潜在変数に対する尺度として使用されている。教育と職業的地位は外生潜在変数SESに対する尺度として使用されている。
- 構造成分: SES->Alien67, SES->Alien71, Alien67->Alien71
- モデル対飽和カイ2乗検定はモデルのフィットが良好でないことを示す。
修飾インデックス
モデルのフィットが良好でないということで修飾インデックスのチェックを行ってみます。
注釈:
- モデルに加えることのできる統計的に有意なパスが数多く存在する。
- これらの中には理論的にも妥当なものがある。
- 特に重要なのはe.anomia67とe.anomia71間、及びe.pwless67とe.pwless71間の共分散である。
モデルの再フィット
これら2つの共分散を加えたモデルをフィットしなおしてみます。
結果は次のようになります。
注釈:
- e.anomia67とe.anomia71間の共分散は有意であることがわかる (Z=5.14)。
- e.pwless67とe.pwless71間の共分散は5%の水準では有意ではない(Z=1.29)。
Stata 12で追加された新機能の詳細についてはこちらを参照ください。
'Stata is a registered trademark of StataCorp LLC, College Station, TX, USA, and the Stata logo is used with the permission of StataCorp.'