ROC分析 -ROC analysis-
共変量について制御した形のROC曲線をモデル化できるようになりました。それはROCに関する回帰のようなものと考えることができます。
Nortonら(2000)は新生児を対象にした聴覚障害に関する研究について調査を行っています。そこでは30-53ヶ月の幼児を対象に聴覚テストが行われています。分類コード y1(DPOAE 65 at 2kHz)は成長が進むにつれて正確さが向上するものと信じられています。
Stata 12では、このテストの感度と特異度が年齢にどのように依存するかをモデル化するのにrocregが使えるようになりました。子供に聴覚障害があったときのy1に対するその時点での年齢の追加効果はroccov()を指定することによって推定されます。年齢と性別による対照集団効果はctrlcov()を指定することによって推定されます。
この結果からすると、その時点での年齢はROC曲線に対してかろうじて有意な陽の効果を持つことがわかります(p値 = 0.045)。
新たに追加されたコマンドrocregplotを使うと種々の年齢でROCを比較することができます。50ヶ月と40ヶ月の時点で曲線をプロットすると次のようになります。
. rocregplot, at1(currage=40) at2(currage=50) /// . legend(order(3 "reference"40 mos." 2 "50 mos.") ring(0) rows(3) pos(5)) /// . title("ROC, by age") xsize(4) ysize(4)
曲線下の面積は年齢と共に増加しています。
年齢を制御した状態で、AUCが年齢と共に増加するかどうかに関する検定の実行、ある特異度に対する感度の推定(及びその逆)、部分AUC(偽陽性の与えられた点までの面積)の推定といった操作も行えます。
Wieandら(1989)はすい臓がんに関する研究を調査しています。共変量は記録されておらず、研究の形態は症例対照型でした。
調査された分類コード y2(CA 125)についてROC曲線を推定してみます。ノンパラメトリックな推定法が使用され、標準誤差はブートストラップ法によって推定されます。roc()オプションで特異度の値として.6を指定して感度の推定を行います。部分AUC(与えられた1-特異度の値までの曲線下面積)はpauc()オプションで.4を指定することによって推定されます。一方、症例対照サンプリングであることはbootccオプションによってrocregに伝えられます。
rocregplotを使うとy2(CA 125)に対するROC曲線をプロットすることができます。同時に特異度.6におけるROC値に対する正規分布ベースの信頼帯も表示させることにします。
. rocregplot, plot1opts(msymbol(i)) /// . legend(order(2 "reference"CA) ring(0) rows(2) pos(5)) /// . xsize(4) ysize(4) title("ROC, CA)
参照文献
Norton, S. J., M. P. Gorga, J. E. Widen, R. C. Folsom, Y. Sininger B. Cone-Wesson, B. R. Vohr, K. Mascher, and K. Fletcher. 2000.
Identification of neonatal hearing impairment: Evaluation of transient evoked otoacoustic emission, distortion product otoacoustic emission, and auditory brain stem response test performance. Ear and Hearing 21: 508–528.
Wieand, S., M. H. Gail, B. R. James, and K. L. James. 1989.
A family of nonparametric statistics for comparing diagnostic markers with paired or unpaired data. Biometrika 76: 585–592.
Pepe, M. S. 2003.
The Statistical Evaluation of Medical Tests for Classification and Prediction. New York: Oxford University Press.
Stata 12で追加された新機能の詳細についてはこちらを参照ください。
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