状態空間モデル
Stata の新コマンド sspace を使うと、広範な多変量時系列モデルを線形状態空間モデル(ベクトル自己回帰移動平均 (VARMA) モデル、構造型時系列 (stS) モデル、動的因子モデルを含む)に投影することによってフィットが行えます。
状態空間モデルは観測された従属変数を観測不能の状態変数の関数としてパラメータ化します。sspace は観測された従属変数と観測不能の状態変数双方が外生共変量の関数であることを許容します。
sspace は2種類のカルマンフィルタを用いて、観測不能の状態と尤度関数の計算に用いられた計測された従属変数双方に対する条件付き平均値と分散を再帰的に算出します。sspace ではモデルを共分散形式、誤差形式、いずれかの形で表現できます。sspace は非定常なモデルや定常なモデルを扱うことができます。オプションを使うと状態方程式、観測方程式に対する誤差共分散行列の構造を指定することができます。またカルマンフィルタに対する初期値を制御するオプションも用意されています。
ここに米国製造業分野における設備稼働率を自然対数化した lncaputil と労働時間を対数化した lnhours というデータがあります。これらの変数の第1階差は安定であるものとして、D.lncaputil と D.lnhours を制約付き VARMA(1,1)(1次ベクトル自己回帰移動平均)過程としてモデル化することにします。
predict コマンドを使うと、2つの観測不能な状態の1ステップ予測を求めることができます。
. predict u1 u2, states
それらをグラフ化するには次のようにコマンド入力します。
. tsline u1 u2
predict コマンドを使うと、2つの従属変数に対する1ステップ予測も計算することができます。
. predict caputilhat hourshat
設備稼働率の対数値の1階差分とその予測値を対比させたグラフは次のようになります。
. tsline D.lncaputil caputilhat
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