多変量解析における新機能
- 新コマンド mvtest は平均、共分散、相関(1標本/複数標本)に関する多変量検定、及び単変量、2変量、多変量正規性検定を実行します。共分散、正規性に関する Box の M 検定、Doornik–Hansen のオムニバス検定、Henze–Zirkler 検定、Mardia の多変量尖度検定、Mardia の多変量歪度検定といった機能が含まれています。
-
因子変数サポート
に伴う manova への影響:
- manova の構文は刷新されました。
- manova は anova と同様、新たな因子変数構文を採用していますが、一工夫があるので注意してください。他の Stata コマンドの場合、連続変数であることが仮定されるため、カテゴリ変数であることを明示するには i.varname という指定を行う必要があります。しかし manova と anova の場合にはカテゴリ変数であることが仮定されるため、連続変数に対しては逆に c.varname という明示が必要となります。category(), class(), continuous() といったオプションはドロップされました。
- 交互作用を構成するには varname1#varname2 のように指定します。従来は varname1*varname2 という表記が用いられていましたが、* は変数名拡張を表す記号として扱われるようになりました。manova y* = a b* a#b* といった指定は正当なものとして処理されます。| という記号はネスティングを表すものとして引続き使用できます。
- varname1##varname2 という指定は
varname1 varname2 varname1#varname2 の省略形として解釈されます。3元配置の指定には varname1##varname2##varname3 という記法が使用できます。
- manova の構文は刷新されました。
- anova 後に regress が実行できるように、manova 後に既存コマンド mvreg を実行することにより、回帰スタイルの出力を得ることができます。
- manova 後の test では従来の特殊構文以外に、標準的な test 構文も利用できるようになりました。
- manova 後に predictnl, nlcom, testnl, testparm コマンドが使用できるようになりました。
- manova 後に推定事後機能の新コマンド margins が使用できます。
- manova ではカテゴリ変数が非負の整数値を取ることが前提となります。これまでは -1, 2.5, 3.14159 といった値を取ることも許されていました。
- manova の新オプション dropemptycells を指定した場合には、観測値を持たないレベルに対して係数値を0にセットするのではなく、モデル式中から該当レベルが削除されます。統計学的にはどちらのアプローチでも違いはありません。しかし計算上は空のセルが残っていた方がより大きな matsize を必要とします。多くの交互作用を含むモデルにおいてはこのオプションの指定が必要となることがあります。
- プログラマ向け:manova 実行後の e(b), e(V), 等の行/列名は意味のあるものとなり、標準的な因子変数表記に従ったものとなりました。
-
既存コマンド biplot に対する改良点:
- biplot
はより大きなデータセットに適用できるようになりました。従来は行の次元は Stata の最大 matsize
によって制限されていました。
- biplot の新オプション generate() により観測値の座標値を変数中に格納することができます。
- biplot の新オプション rowover(), row#opts() により、グラフ上でのグループの強調表示と表示様式のカスタマイズが可能になりました。
- 新オプション rowlabel() によって行のカスタマイズがより簡便に行えるようになりました。
- biplot は一定の変数を計算から削除します。
- biplot の特異値分解のコードが改善されました。
- rowopts(), colopts(), negcolopts() は引用符合を含む名前を許容するようになりました。
- biplot は別個のグラフ(オプション separate)に対してオプション scheme(economist) を許していませんでしたが、この点が是正されました。
- biplot
はより大きなデータセットに適用できるようになりました。従来は行の次元は Stata の最大 matsize
によって制限されていました。
- 既存のコマンド canon のデフォルトの出力が変更されました。従来は推定出力のように見える出力を表示していましたが、標準誤差が条件付きであるためにこれは適切ではありませんでした。出力はより適切なものとなっています。条件付きの出力は新オプション stderr を指定するか、あるいは set version を10に設定することによって得ることができます。
- マニュアルにはグロッサリが追加されました。