Vol.56 拡張テンプレートですぐ作る実践的なグラフ

Origin/Proでは、作図メニューから利用できる標準のテンプレート以外にも「拡張テンプレート」が用意されています。これは、無料のアドオンである「アプリ」のように、ユーザが特定のグラフを描画したいときに必要なテンプレートだけをダウンロードして使用できる仕組みです。多彩な拡張テンプレートが提供されており、グラフだけでなく、ワークブックのテンプレートも用意されているため、実践的な作図と解析を短時間で行うことができます。

この記事を読むとこれができます!

  • 自分の研究や業務に合わせ、利用したいグラフやブックの拡張テンプレートをダウンロードして活用
  • 実践的なグラフの作図や解析を短時間で実行

拡張テンプレートをダウンロード

拡張テンプレートは、Origin/Pro内にある「テンプレートセンター」からダウンロードできます。

  1. テンプレートセンターは、Origin/Proのメインメニューで「ツール:テンプレートセンター」を選択すると開けます。
  2. 「テンプレートの種類」ドロップダウンリストで、表示するテンプレートの種類をグラフかブックか選択できます。
  3. テンプレート種類を選択
  4. テンプレートで必要なバージョンを確認し、使用したいテンプレートの「Download and Install」アイコンをクリックするとダウンロードされます。アイコンがチェックマークに変われば利用できます。
  5. テンプレートをダウンロード

    ダウンロードがうまくいかない場合

    テンプレートセンターでのダウンロードがうまくいかない場合、OriginLabのページからOPXファイルをダウンロードできます。ダウンロードしたファイルは、Origin上にドラッグ&ドロップすることでインストールして使用できるようになります。

    なお、File Exchangeページの左側の「Refine by Type(種別で制限)」で「Graph Template」または「Book Template」を選択して絞り込みできます。

    OPXファイルをOrigin上にドラッグ&ドロップしてインストール
  6. ダウンロードしたテンプレートを使用する際は、グラフとブックで操作が異なります。
    • グラフテンプレートの場合
    • 「作図:拡張テンプレート」でテンプレートを選択すると作図できます。このカテゴリにない場合、あるいはサンプルデータを開く場合は、「作図:ユーザテンプレートに作図」を選択して「テンプレートライブラリ」を開くと利用できます。

      テンプレートライブラリで使用したいテンプレートを選択すると、下側にある「サンプルを開く」や「作図」ボタンを使用できます。

      テンプレートライブラリでサンプルデータを確認したり、作図可能

      下図のようにテンプレートライブラリでリストモードにして「メニューで表示」にチェックが付いている項目を減らすと、「作図:拡張テンプレート」に表示されるようになります。

      作図:拡張テンプレートメニューに表示するテンプレートを指定
    • ブックテンプレートの場合
    • 「ファイル:新規作成:ワークブック:参照...」を選択します。

      ブックの拡張テンプレートを開くための操作

      「新しいブック」ウィンドウで、緑色の「i」のアイコンをクリックすると、ブックの概要を確認できます。使用したいテンプレートを選択して「開く」をクリックすると開けます。

      新しいブックウィンドウでブックの拡張テンプレートを選択して開く

拡張グラフテンプレートの使用例(風ベクトルスティックダイアグラム)

拡張テンプレートとして、「風ベクトルスティックダイアグラム」のような特殊なグラフも利用できます。このテンプレートはOrigin/Pro 2025で新機能として追加され、時間経過とともに測定した風向きと風速のデータを、ベクトルを使ってわかりやすく可視化できます。

風ベクトルスティックプロットで時系列の風向風速データを表現

使用するサンプルファイルは、以下よりダウンロードできますので、お手持ちのOrigin/Pro上で実際の操作をお試しいただけます。ダウンロード後解凍(展開)してからデータを使用してください。

サンプルファイル(tokyo_wind2025.zip)

zip

zip(76.8KB)

なお、このグラフを作成するためには、Origin/Pro 2025以降のバージョンが必要です。それ以前のバージョンをお使いの方は体験版にて実際にお試しいただくことができます。


  1. Origin/Proのメインメニューで「ツール:テンプレートセンター」を選択してテンプレートセンターを開きます。「テンプレートの種類」ドロップダウンリストで、グラフを選択します。
  2. テンプレートの種類を選択
  3. 「風ベクトルスティックダイアグラム」の「Download and Install」アイコンをクリックするとダウンロードできます。検索バーで「風」等を入力して検索することもできます。
  4. テンプレートをダウンロード
  5. Originでサンプルファイルを開きます。Book1にある、2025年1月1日~3日の風向風速データを使用します。A列に日時、B列に風向(単位:度)、C列に風速(単位:m/s)のデータが入力されています。
  6. 2025年1月1日~7日の風向風速データを使用
  7. A~C列を選択し、「作図:拡張テンプレート:風ベクトルスティックダイアグラム」を選択して作図します。「拡張テンプレート」カテゴリにない場合、「作図:ユーザテンプレートに作図」を選択して「テンプレートライブラリ」を開き、「風ベクトルスティックダイアグラム」を選択して「作図」ボタンをクリックします。
  8. 「作図:拡張テンプレート:風ベクトルスティックダイアグラム」を選択して作図
  9. 作図されたグラフ上でダブルクリックして「作図の詳細」ダイアログを開き、「ベクトル」タブで「規約」の設定を「気象学」に変更し、「適用」ボタンをクリックします。
  10. 「作図の詳細」ダイアログの「ベクトル」タブで「規約」の設定を「気象学」に変更
  11. 同じ「ベクトル」タブで、「倍率」を「1」にすると、ベクトルが風速の値と同じ長さになります。「OK」をクリックしてダイアログを閉じます。
  12. 「倍率」を「1」にすると、ベクトルが風速の値と同じ長さに
  13. 軸やカラーマップなどを調整すると下図のようになります。
  14. 風ベクトルスティックプロットで時系列の風向風速データを表現

16方位で入力された風向データを角度データ(lookup関数)

気象庁の「過去の気象データ・ダウンロード」ページからデータをダウンロードすると、風向データは北、北北東、北東、・・・のように16方位で入力されています。今回のデータではこの風向データを角度でのデータにする際にlookup関数を使用しています。実際の操作は以下の動画でご確認いただけます。

16方位の風向データを角度でのデータにする際にlookup関数を使用

拡張ワークブックテンプレートの使用例(線形キャリブレーション)

拡張テンプレートはグラフだけではなく、ワークブック(データ処理)のテンプレートも充実しています。ここでは「線形キャリブレーション」テンプレートを使用して、手軽に検量線を作成する方法をご紹介します。

「線形キャリブレーション」テンプレートを使用して、手軽に検量線を作成

使用するサンプルファイルは、以下よりダウンロードできますので、お手持ちのOrigin/Pro上で実際の操作をお試しいただけます。ダウンロード後解凍(展開)してからデータを使用してください。

サンプルファイル(calibration.zip)

zip

zip(18.6KB)


  1. Origin/Proでサンプルファイルを開きます。
  2. メインメニューで「ツール:テンプレートセンター」を選択してテンプレートセンターを開きます。「テンプレートの種類」ドロップダウンリストで、「ブック」を選択します。
  3. テンプレートの種類を選択
  4. 「線形キャリブレーション」の「Download and Install」アイコンをクリックするとダウンロードできます。検索バーで「線形」等を入力して検索することもできます。
  5. テンプレートをダウンロード

    「ファイル:新規作成:ワークブック:Linear Calibration.ogwu」を選択します。ない場合は、「ファイル:新規作成:ワークブック:参照...」を選択して開く「新しいブック」ダイアログで開けます。

    ブックの拡張テンプレートを開く
  6. 開いたブックの「Notes」シートには、このテンプレートの使用方法が書いてあります。「Data」シートを開きます。
  7. Book1のA、B列を選択してデータをコピーし、「線形キャリブレーション」ブックテンプレートの「Data」シートのA1セルに貼り付けます。すると、貼り付けたデータをもとに線形フィットの結果が更新され、グラフに結果が表示されます。
  8. 2025年1月1日~7日の風向風速データを使用
  9. C列に未知のY値を入力すると、対応するX、Xエラーの値が算出され、グラフにプロットが追加表示されます。このグラフはダブルクリックすれば通常のグラフウィンドウとして開くので、編集やエクスポートが可能です。
  10. 未知のY値を入力すると、対応するX、Xエラーの値が算出

分析テンプレートの作成と利用

拡張テンプレートだけでなく、自分で作った解析結果を含むワークブックをテンプレートとして保存することもでき、同じ形式のデータに対して同じ分析処理をするときに使ったり、バッチ処理のベースとして使用できます。

テクニカルサポート

ご不明な点がございましたら、お気軽にお問合せフォームよりテクニカルサポートまでご連絡ください。

その際、必ず「製品名」「バージョン」「シリアル番号」をご連絡ください。

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