パネルデータ系の新機能
Stata の xt 系コマンドにおける新機能は次の通りです:
- 新コマンド xtunitroot はパネルデータに対する単位根検定機能として、Levin–lin–Chu, Harris–Tzavalis, breitung, Im–Pesaran–Shin, Fisher-type, 及び Hadri ラグランジュ乗数検定をサポートしました。
-
既存の xtmixed コマンドに関する変更点:
- xtmixed
では線形混合モデルにおいて残差誤差構造をモデル化できるようになりました。独立、交換可能、自己回帰(AR)、移動平均(MA)、無構造の5種類の構造がサポートされます。新オプション
residuals() を指定してください。residuals() の中では分散不均一性に対応するために by(varname)
サブオプションを指定することもできます。例えば residuals(independent, by(sex))
と指定した場合には、男女別に異なった残差分散が推定されることになります。
- xtmixed には行列平方根と行列対数の分散成分パラメータ化を行うための新オプション matlog, matsqrt が追加されました。従来 xtmixed は行列対数パラメータ化のみをサポートしていましたが、matsqrt のサポートに伴い、デフォルトも matsqrt に変更されました。
- xtmixed は時系列演算子をサポートしました。
- xtmixed
では線形混合モデルにおいて残差誤差構造をモデル化できるようになりました。独立、交換可能、自己回帰(AR)、移動平均(MA)、無構造の5種類の構造がサポートされます。新オプション
residuals() を指定してください。residuals() の中では分散不均一性に対応するために by(varname)
サブオプションを指定することもできます。例えば residuals(independent, by(sex))
と指定した場合には、男女別に異なった残差分散が推定されることになります。
- xtmixed 後の predict では予測される変量効果(最良線形不偏予測)の標準誤差を求めるための reses オプションがサポートされました。
- 既存の xtreg
コマンドに関する変更点:
- xtreg, re vce(robust) という指定は xtreg, re
vce(cluster panelvar)
と同義のものとして扱われるようになりました。これによってより幅広いバラツキに対して頑健な推定が行われるようになります。
- Stock and Watson (2008) による結果に基づき、xtreg, fe vce(robust) も xtreg, fe vce(cluster panelvar) と同義のものとして扱われるようになりました。
- xtreg は in レンジ修飾子をサポートしました。
- xtreg, re vce(robust) という指定は xtreg, re
vce(cluster panelvar)
と同義のものとして扱われるようになりました。これによってより幅広いバラツキに対して頑健な推定が行われるようになります。
- xt 系のすべての推定コマンドにおいて因子変数を用いた varlist 表記が使えるようになりました。ただし xtabond, xtdpd, xtdpdsys, xthtaylor コマンドは例外とします。またこれらのコマンドにおいては因子変数関連のレポーティングオプションが利用できます。
- 推定事後機能の新コマンドである margins がすべての xt 系推定コマンド実行後に利用できます。詳細は こちら をクリックください。
-
既存の xtmelogit, xtmepoisson コマンドに関する変更点:
- デフォルトの行列平方根パラメータ化を明示するためのオプション matsqrt
が追加されました。
- これらのコマンドでは時系列演算子がサポートされました。
- デフォルトの行列平方根パラメータ化を明示するためのオプション matsqrt
が追加されました。
- 既存のコマンド xtmixed, xtmelogit, xtmepoisson においては、変量効果のモデル式中に対してはレベル変数(または _all)に続けてコロンを置くことが必要となりました。従来これらが省略された場合には、_all: というレベル指定が仮定されたため、コロンのみが省略された場合と混同が生じていました。現在ではコロンを省略した場合にはエラーが報告されます。
-
既存のコマンド xttab では結果を含む行列が r(results)
中に、パネル数が r(n) 中に返されるようになりました。
参考文献
- Stock, J. H., and M. W. Watson. 2008.
- Heteroskedasticity-robust standard errors for fixed effects panel data regression. Econometrica 76: 155–174.