メタ分析(メタアナリシス)

メタ分析(メタアナリシス)とは

メタ分析(メタアナリシス)は、同一のリサーチクエスチョンに対し発表された複数の研究結果を分析する統計手法です。
例えば、

  • 運動により長生きになるのか?
  • 睡眠不足はがんのリスクをたかめるのか?
  • 心臓発作に対する措置としてのアスピリンの服用は効果的なのか?

等、結論が出ない、あるいは相反する結論を示す研究報告が存在します。
メタ分析は、多くの研究から得られる多くの情報を、原則的な方法で集約し、1つの統一された最終結論に導くか、そのような結論に達しない理由を提供するのに役立ちます。
ソフトウェアStataでは、Palmer and Sterne (2016)のように、Stata研究者によって貢献されたメタアナリシス手法の長い歴史があります。

更に、Stata18では新しい推定コマンドmeta meregressmeta multilevelが導入されました。
研究全体の効果量を合わせるだけでなく、グループの入れ子関係を考慮し、異なる階層レベルの効果量間の変動性を評価できるようになりました。

メタ分析

メタ分析は従来からadoファイルにより実行可能でしたが、純正コマンドによって使い勝手を向上させました。
これにより一次研究の効果量を統合して考察することが可能になりました。
例えば、血圧に一定の効果を与える事を報告している20本の一次研究を集め、メタ分析により統合した効果量を求めることができます。

iconメタ分析 具体的な使用例

統計解析の流れ

  1. 研究間の効果量の統合
  2. 研究間の異質性の吟味
  3. 小規模研究・出版バイアスの影響に関する考察

metaコマンドのセットは豊富な機能と使いやすさを両立しました。メタ分析を行う際は次のような設定を最初に行います。
. meta set effectsize stderr

統合した効果量とその信頼区間を推定する時は統計的異質性を確認したり、統合の結果を視覚的に表現するために、フォレストプロットを作成できます。
metaのコマンドセットはこれだけではありません。メタ回帰分析とサブグループ分析は一次研究の異質性を評価する用途にも利用可能です。
これらの分析を行うために
meta regress, meta forestplot, subgroup(), meta summarize, subgroup()

などのコマンドセットが用意されています。
潜在的な出版バイアスを調べることもできます。一次研究の非対称性を視覚的に捉えるファンネルプロットの作成には
meta funnelplot,

非対称性の仮説検定は
meta bias,

非対称性をもたらしている一次研究の欠落を補って出版バイアスを調査するコマンド
meta trimfill
を用意しました。

累積メタ分析の実行には
meta summarize, cumulative()
を利用します。

iconさらに詳しくは分析機能例題集で!

メタ分析 機能一覧

Stataでは、複数の研究結果を統合、全体的な結果を推定するモデルの種類として、common-effect model・fixed-effects model・random-effects modelが利用できます。
一次研究の効果量のグラフ化として、フォレストプロットで視覚化します。
研究のサブグループでの異質性を評価や、メタ回帰分析を行います。出版バイアスや小規模研究の効果を調べるには、ファンネルプロットや検定を行います。
出版バイアスの影響はtrim-and-fill分析で確認します。
その他、累積メタ分析の実行や、metaコマンドやコントロールパネルを使用して全ての分析を行えます。

データのセットアップと効果量

  • 二値データの効果量
    • オッズ比
    • Petoのオッズ比
    • リスク比
    • リスク差
  • 連続データの効果量
    • Hedgesのg
    • Cohenのd
    • Glassのデルタ
    • 非標準化平均差
  • 全体の効果量
  • 相関や効用などの変形した効果量
  • 二値データのゼロセル調整法
  • メタ設定の随時更新
  • メタ設定の表示

メタ分析モデル

  • 共通効果モデル
    • 逆分散法
    • Mantel-Haenszel
  • 固定効果モデル
    • 逆分散法
    • Mantel-Haenszel
  • 変量効果モデル
    • 反復法: REML、MLE、経験的ベイズ法
    • 非反復法: DerSimonian-Liard、Hedges、Sidik-Jonkman、Hunter-Schmidt
    • Knapp-Hartungの標準誤差調整
    • 予測区間
    • 感度分析: ユーザ定義のtau2とI2の異質性パラメータ

メタ分析の要約

  • 標準的なメタ分析
  • フォレストプロット
  • サブグループのメタ分析
    • 1つのグループ変数
    • 複数のグループ変数
    • サブグループのフォレストプロット
  • 累積メタ分析
    • 標準的な分析
    • 層化分析
    • 累積フォレストプロット
  • Leave-one-out メタ分析

フォレストプロット

  • 標準的なフォレストプロット
  • フォレストプロットのカスタム
  • サブグループのフォレストプロット
  • 累積フォレストプロット
  • Leave-one-out フォレストプロット
  • 切り取り信頼区間
  • 複数の全体効果

異質性

  • 基本的な要約
  • フォレストプロット
  • 二値データのL'Abbeプロット
  • サブグループのフォレストプロット
  • メタ回帰
  • バブルプロット
  • Galbraithプロット

メタ回帰

  • 連続およびカテゴリカルな調整変数
  • 固定効果および変量効果回帰
  • Multiplicative and additive residual heterogeneity
  • Knapp-Hartungの標準誤差調整
  • 推定後機能
    • フィット値
    • 残差
    • 変量効果
    • 予測の標準誤差
    • バブルプロット
    • 限界効果、比較などの標準的な推定後機能

小規模研究

  • ファンネルプロット
  • 小規模研究の検定

ファンネルプロット

  • 標準的なファンネルプロット
  • 等高線を伴うファンネルプロット
  • 片側または両側有意の等高線
  • Y軸の正確規準
  • 層化ファンネルプロット
  • カスタマイズ性

ファンネルプロットの非対称性と小規模研究効果の検定

  • Eggerの回帰検定
  • Harbordの回帰検定
  • Peterの回帰検定
  • Beggの順位相関検定
  • 異質性を担保した調整変数の調整
  • 伝統的および変量効果

出版バイアス

  • ファンネルプロット
  • ファンネルプロットの非対称性検定
  • ノンパラメトリックなtrim-and-fill法
    • 欠損した研究数に対する3つの推定手法
    • ファンネルプロットの右または左側の研究の代入
    • 9つの反復推定方法
    • 9つのプーリング推定方法
    • 研究の欠損したファンネルプロットの選択
    • 観測された研究または代入した研究の基準線または等高線付きファンネルプロット

多変量メタ回帰

  • 多変量メタアナリシス
  • 固定効果と変量効果の多変量メタ回帰
  • 推定方法:REML、MLE、Jackson--White--Riley
  • 多変量不均一性統計
  • ジャクソン-ライリー標準誤差調整
  • 研究間共分散構造
  • 感度分析
  • 欠損値
  • 事後評価機能
    • 適合値
    • 残余
    • 変量効果
    • 予測量の標準誤差
    • 異質性を評価する
    • マージン、コントラストなどの他の標準的な事後評価ツール

コントロールパネル

  • データのセットアップと効果量の計算
  • 特定の設定を随時更新
  • 結果表の要約とフォレストプロット作成
  • サブグループの分析と累積メタ分析の実行
  • メタ回帰と様々な推定後機能の実行
  • 出版バイアス分析の実行
  • 多変量メタ回帰を実行し、さまざまな事後推定ツールを選択

例題集

下記の機能の操作方法を解説した日本語の例題集をご用意しております。

  • メタ分析の概要とサブグループのメタ分析、累積メタ分析
  • フォレストプロット、バブルプロット、ファンネルプロットを作成する

詳細資料

詳細は、開発元StataCorp.の機能紹介ページにあるマニュアルをご覧ください。

関連書籍

Meta-Analysis in Stata: An Updated Collection from the Stata Journal, Second Edition by Tom M. Palmer and Jonathan A. C. Sterne (editors)

Stata is a registered trademark of StataCorp LLC, College Station, TX, USA, and the Stata logo is used with the permission of StataCorp.

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