Vol.55 グラフ上でデータを絞り込み

これまで、異なるフィルタ条件で絞り込んだデータを比較する場合、ワークシートを複製など工夫が必要でした。これに対し、Origin 2025から追加されたスライサー機能を使えば、ソースデータを変更することなくグラフに直接フィルタを適用でき、複数の条件でのデータの比較を手軽に行えます。

この記事を読むとこれができます!

  • 1つのワークシートから、異なるフィルタ条件を持つ複数のグラフを簡単に作成
  • 条件に応じて複数のグラフを作成してデータを比較でき、データの傾向をインタラクティブに探求
ソースデータを変更することなくグラフに直接フィルタを適用して複数の条件でデータを手軽に比較

スライサーを使用するためには、Origin/Pro 2025以降のバージョンが必要です。それ以前のバージョンをお使いの方は体験版にて実際にお試しいただけます。

サンプルファイル

使用するサンプルファイルは、以下よりダウンロードできますので、お手持ちのOrigin/Pro上で実際の操作をお試しいただけます。

サンプルファイル(data_slicer.zip)

zip

zip(178KB)

ダウンロード後解凍し、サンプルOPJUファイルを開いたら、「表示:プロジェクト・エクスプローラ」を選択して開くウィンドウで、フォルダを切り替えてデータを使用してください。

スライサーの適用方法と基本操作

スライサーは、同じワークシートから作図されたグラフに対して使用可能です。ここでは、サンプルOPJUの「1. グラフにスライサーを適用」フォルダのGraph1にスライサーを適用します。

  1. Originでサンプルファイルを開きます。Graph1をアクティブにして以下のいずれかの方法でスライサーを適用します。
    • 「データ」メニューの「スライサー」を選択
    • ツールバーのデータフィルタボタンをクリック
    • グラフウィンドウ上部にマウスカーソルを移動し、カーソル表示が変わったらクリックして「データスライサー」ボタンをクリック
    グラフにスライサーを適用
  2. 「グラフにスライサーを追加」ダイアログの「列1」、「列2」でフィルタを適用する列を選択します。ここでは、「列1」で「H(Y):国」を選択し、「OK」をクリックします。
  3. ダイアログでフィルタを適用する列を指定
  4. グラフウィンドウの左側にスライサーパネルが表示され、フィルタ条件を変更できます。条件を変更するとグラフも更新されます。
  5. 左側のスライサーパネルでフィルタ条件を変更
  6. フィルタ条件の上で右クリックするとメニューが表示され、フィルタを無効にしたり、フィルタ列を変更できます。
  7. フィルタ上を右クリックしたメニューで、フィルタ無効化、フィルタ列変更などが可能
  8. 「複数選択」を選択すると、フィルタ列がテキスト列の場合に複数の項目をフィルタ条件として選択できるようになります。
  9. 複数選択も可能
  10. グラフウィンドウのタイトルバーで右クリックして「ウィンドウの複製作成」を選択すると、グラフを複製でき、ぞれぞれのグラフウィンドウで別のフィルタ条件を設定できます。
  11. フィルタ付きのグラフウィンドウを複製することでデータの手軽にデータ比較
  12. スライサーパネル上で右クリックすると、2つ目のフィルタを追加できます。
  13. スライサーパネル上で右クリックして2つ目のフィルタを追加
  14. グラフウィンドウ上部にマウスカーソルを移動し、カーソル表示が変わったらクリックして「レイヤフィルタタイトルの追加」ボタンをクリックすると、タイトルにフィルタ条件を表示できます。
  15. 「レイヤフィルタタイトルの追加」ボタンをクリックすると、タイトルにフィルタ条件を表示

1つのレイヤ内で複数の条件で比較

スライサーを適用する際に、データを複製することができ、1つのグラフレイヤ内で異なる条件でプロットを比較できます。

  1. サンプルOPJUファイルの「2. 同じレイヤでデータ比較」フォルダを開きます。
  2. プロジェクトエクスプローラでフォルダを開く
  3. Graph3をアクティブにして以下のいずれかの方法で「グラフにスライサーを追加」ダイアログを開きます。
    • 「データ」メニューの「スライサー」を選択
    • ツールバーのデータフィルタボタンをクリック
    • グラフウィンドウ上部にマウスカーソルを移動し、カーソル表示が変わったらクリックして「データスライサー」ボタンをクリック
    グラフにスライサーを適用
  4. ダイアログで、「列1」で「H(Y):国」、「列2」で「A(X):年」を選択します。また、「プロットを複製」を「同じレイヤ」にし、「複製の数」を「3」にします。これで1つのレイヤ内にプロットを複製し、合計4つのデータプロットを表示します。「凡例にフィルターを表示」にチェックを付けて「OK」ボタンをクリックすると、各プロットそれぞれにフィルタが適用されます。
  5. 1つのレイヤ内合計4つのデータプロットを表示してそれぞれでフィルタ条件を設定可能
  6. スライサーパネルのフィルタの項目上で右クリックし、「共通フィルタとしてページに移動」を選択すると、レイヤ内のプロット全てに同じ条件のフィルタを適用できます。
  7. レイヤ内のプロット全てに共通で適用するフィルタとして設定可能

    フィルタ付きでレイヤを複製

    スライサーパネル上の何もない箇所で右クリックし、「フィルタ付きでレイヤを複製」を選択すると、同じフィルタ条件を持ったレイヤを同じグラフウィンドウ内に複製でき、それぞれ条件を設定して簡単にデータを比較できます。

    フィルタ付きでレイヤを複製

複数レイヤでフィルタを適用

単一レイヤのグラフにスライサーを適用する際に複数レイヤのグラフにして、それぞれのレイヤでデータを絞り込みすることも可能です。

  1. サンプルOPJUファイルの「3. 複数レイヤでデータ比較」フォルダを開きます。
  2. プロジェクトエクスプローラでフォルダを開く
  3. Graph4をアクティブにして以下のいずれかの方法で「グラフにスライサーを追加」ダイアログを開きます。
    • 「データ」メニューの「スライサー」を選択
    • ツールバーのデータフィルタボタンをクリック
    • グラフウィンドウ上部にマウスカーソルを移動し、カーソル表示が変わったらクリックして「データスライサー」ボタンをクリック
    グラフにスライサーを適用
  4. ダイアログで、「列1」で「H(Y):国」を選択します。また、「プロットを複製」を「複数レイヤ」にし、「列数」を2、「行数」を1にします。これで、水平方向に2つのグラフレイヤを並べて表示できます。「OK」ボタンをクリックすると、各レイヤにフィルタが適用されます。
  5. フィルタ適用時に複数レイヤグラフに変換してそれぞれのレイヤでフィルタ条件を設定
  6. グラフウィンドウ上部にマウスカーソルを移動し、カーソル表示が変わったらクリックして「レイヤフィルタタイトルの追加」ボタンをクリックすると、現在のフィルタ条件を示すタイトルが各レイヤ上部に表示されます。左側のスライサーパネルでフィルタ条件を変更したり、フィルタを追加できます。
  7. 「レイヤフィルタタイトルの追加」ボタンで現在のフィルタ条件を示すタイトルを表示可能

フィットなど解析をする場合の注意

先にスライサーを適用してデータを絞り込み、その後解析を実行してください

フィットなどの解析が実行されているグラフでスライサーを適用しようとすると、以下のメッセージが表示されます。

解析が実行されているグラフでスライサーを適用すると表示されるメッセージ

メッセージダイアログで「OK」をクリックすると、フィルタを適用できますが、フィルタ条件を変更しても解析結果は更新されず、スライサー適用前のデータに対する結果が表示されたままになります。

そのため、絞り込んだデータでの解析結果を得たい場合は、必ず先にスライサーを適用し、その後、解析を実行するようにしてください。

スライサーが適用されたグラフで解析を実行するとフィルタデータに対して解析結果が更新

また、解析実行後にレポートシートを確認したい場合は、グラフ上の緑の鍵のアイコンをクリックして「結果に行く」を選ぶとシートが開きます。

鍵のアイコンから「結果に行く」メニューを選んでレポートシートを表示

補足:ワークシートでフィルタを適用

ワークシート上のデータについて、条件に応じてをかけて絞り込みたい場合は、データフィルタの機能を使用します。

  1. サンプルOPJUファイルの「4.ワークシートでフィルタ適用(データフィルタ)」フォルダを開きます。
  2. 選択した列にデータフィルタを適用
  3. Book2のB列を選択してツールバーの「データフィルタ」ボタンをクリックします。
  4. プロジェクトエクスプローラでフォルダを開く
  5. 列に表示された漏斗のアイコンをクリックしてフィルタ条件を変更できます。条件に応じてデータが絞り込まれると、このシートのデータから作図されたグラフや解析も更新されます。
  6. 漏斗のアイコンをクリックしてフィルタ条件を変更

テクニカルサポート

ご不明な点がございましたら、お気軽にお問合せフォームよりテクニカルサポートまでご連絡ください。

その際、必ず「製品名」「バージョン」「シリアル番号」をご連絡ください。

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