ウェーブレット変換
ウェーブレット変換は、位相や周波数の急激な変化を伴う信号研究において、正確で信頼できるツールです。オーディオ、イメージ、ビデオ分析と処理、データ圧縮、信号スムージングとノイズ除去、音声認識と生体医学イメージングに役立ちます。
OriginProのウェーブレット変換ツールは、標準ウェーブレットを使い、連続または離散変換をサポートしています。また、マルチスケールウェーブレット分解、ウェーブレットスムージング、ノイズ除去のツールも使用できます。
※この機能はPro版でのみ使用できます。
連続ウェーブレット変換
OriginProの連続ウェーブレット変換(CWT)ツールで、1次元の実信号または複素信号のウェーブレット係数を計算できます。この機能には3つのタイプのウェーブレット関数があります。Morlet、Mexican Hat 、Gaussianウェーブレットの派生です。
1次元離散ウェーブレット分解と再構成
OriginProには、1次元および単一レベルの離散ウェーブレット分解のための ウェーブレット分解(離散ウェーブレット変換)ツールがあります。また、離散ウェーブレット変換により出た係数から信号を再構成するためのウェーブレット再構成 (IDWT) ツールもあります。2つのツールとも、Haar、 Daubechies、双直交ウェーブレットなどの 標準ウェーブレットをサポートしています。ウェーブレット分解または再構成を実行する時、信号のパディング方法を拡張モードとして指定でき、境界近くのデータポイントに応じて結果の計算に十分なサンプルを得ることができます。拡張モードには2つの手法があります。ゼロパディング と周期的パディング (入力信号を周期信号とし、繰り返しパターンを使って列を詰める手法)です。
2D ウェーブレット分解と再構成
OriginProは、2次元離散ウェーブレット分解と再構成もサポートしています。 2次元離散ウェーブレット分解(DWT2)ツールは、行列に保存された2次元信号を、近似係数、水平詳細係数、垂直詳細係数、対角 詳細係数に分解することができます。また、2次元ウェーブレット再構成は、係数から2次元信号への逆変換ができます。2次元離散ウェーブレット分解と再構成ツールは、Haar、Daubechies、双直交ウェーブレットなどの標準ウェーブレット族をサポートしています。
Multi-Scaleウェーブレット分解
OriginProの複合レベルのウェーブレット変換(MDWT)ツールを使って、1次元離散ウェーブレット分解が実行できます。分解のレベルを指定でき、実行にあたってウェーブレットタイプをHaar、 Daubechies、双直交ウェーブレットから選択できます。
ウェーブレットノイズ除去
OriginProのウェーブレットノイズ除去 (WTDENOISE)ツールで、ウェーブレット変換を使って信号からノイズ除去ができます。フーリエ変換に基づいたノイズ除去に比べて、ウェーブレットノイズ除去は、特に急激な変化をする信号など、実信号の形を維持する点で優れています。ウェーブレットノイズ除去の計算は、実際複合レベル1次元離散ウェーブレット変換に基づいています。入力信号を多くのレベルに分解した後、このツールではしきい値を使って詳細係数の値を変えます。 そして、近似係数と詳細係数を使って逆ウェーブレット変換を実行します。その結果がノイズ除去された信号です。離散ウェーブレット変換、ウェーブレットタイプ、しきい値化を実行する手法のレベルがツールのダイアログで編集できます。
ウェーブレットスムージング
OriginProのウェーブレットスムージング (WTSMOOTH) ツールは、ウェーブレット変換を使って信号のスムージングを実行します。このスムージングは、急激に変化する信号など実信号の形を維持するのに非常に有効です。ウェーブレットノイズ除去と同様、ウェーブレットスムージングの計算は複合レベル1次元離散ウェーブレット変換に基づいています。詳細係数は分離の後で変化し、近似係数を使って実信号を再構成するのに使われます。ウェーブレットスムージングでは、そのインデックスがある数よりも大きい場合、いくつかの詳細係数がゼロに設定されるのに対し、ウェーブレットノイズ除去では、詳細係数が変化するかどうかはその値によるという違いがあります。ウェーブレットスムージングツールでは、分解のレベルとウェーブレットタイプを指定することで、複合レベルの分解を編集できます。さらに、カットオフする詳細係数のパーセンテージも指定できます。