FFT(高速フーリエ変換)とは、時間領域の波形を周波数領域に変換する離散フーリエ変換(DFT)を高速に行えるアルゴリズムです。
フーリエ変換では、波形をsin波の合成と考えて分解しますが、高速フーリエ変換では離散フーリエ変換と比べて計算回数が少ないため、処理時間を大きく短縮することができます。
高速フーリエ変換は線形の系分析、電波研究、光学、ランダムプロセスモデリング、確率論、量子物理学、境界値問題 (Brigham, 2-3)など様々な分野で使われています。
Originには、高速で実行できるFFTWライブラリを使用する非常に強力なFFTツールがあります。OriginのFFTツールを使用してデータセットに対して高速フーリエ変換を実行できます。これにより、周波数データと複素数に変換された結果を得ることができます。パワー密度の見積もりは、MSA、SSA、TISAの3つの異なる方法で行えます。また、両側、片側のパワーを算出できます。
OriginのFFTツールでは位相の巻きの解消(アンラップ)をするかどうか指定できます。
位相は、-π ~ πの間の値なので、連続的なデータを作成するためにはギャップの補正(巻きの解消)をする必要があります。
右にあるグラフの一番上の図は、ある周期のsin波です。この曲線上の赤い点の位相を表しているのが、中央のグラフです。位相は0、(2/5)pi、(4/5)piと増加し、次は、(6/5)pi となるところが、位相の範囲制限により、突然負の値 (-4/5)pi になっているのがわかります。
こういった位相の性質を考慮して、所定の範囲を飛び越えたデータを補正し、スムーズな位相データに変換するのが巻きの解消です。
Originでは、FFTだけでなくIFFTやSTFT(短時間フーリエ変換)など関連する機能も利用できます。
※FFT関連機能にはPro版限定で利用可能な機能がありますので、ご注意ください。
Origin通常版とPro版の比較はこちら
これら以外にもOriginの追加機能としてインストールできるアプリにもいくつかFFT関連の機能があります。