Vol.54 等高線 + 勾配ベクトルグラフ

等高線 + 勾配ベクトルグラフは、Origin 2024bで追加された新しいグラフ形式で、等高線図に勾配ベクトルを重ね合わせて表示できます。このグラフは、表形式の行列データから作図する必要があるため、ここでは、ワークシートに1列ずつ用意したXYZデータを行列データに変換後、等高線 + 勾配ベクトルグラフを作成する操作をご案内します。

この記事を読むとこれができます!

  • ワークシートに用意したX、Y、Zデータを行列データに変換(XYZグリッディング)
  • 行列データから等高線 + 勾配ベクトルグラフを作成
バージョン2024bで追加された等高線 + 勾配ベクトルグラフ

このグラフを作成するためには、Origin/Pro 2024b以降のバージョンが必要です。それ以前のバージョンをお使いの方は体験版にて実際にお試しいただくことができます。

サンプルファイル

使用するサンプルファイルは、以下よりダウンロードできますので、お手持ちのOrigin/Pro上で実際の操作をお試しいただけます。

サンプルファイル(contour-gradient.zip)

zip

zip(84.5KB)

ワークシートのXYZデータを行列に変換

Originでは、ワークシートに一列ずつ用意されたXYZデータを行列に変換できます。中でも、「XYZグリッディング」機能を使用すると、ソースデータのXY座標がランダムな場合でも等間隔な行列データに変換することが可能です。

  1. Originでサンプルファイルを開きます。Book1のZデータが入力されているC列を選択し、ミニツールバーで「Zとして設定」ボタンをクリックして列属性を変更します。
  2. Zデータが入力された列をZ属性に設定
  3. 「ワークシート:行列に変換:XYZグリッディング」を選択してダイアログを開きます。
  4. 「グリッディング設定」でどのようにグリッディングを実行するか指定します。ランダムデータの場合はデータポイントの数などに応じて、様々なアルゴリズムが利用できます。ここでは、デフォルトで選択されている「ランダム(Renka Cline)」を選択します。各手法についての詳細は、以下のOriginヘルプを参照してください。
  5. 「グリッディング設定」でどのようにグリッディングを実行するか指定
  6. 「列」「行」では出力される行列の行数と列数を指定します。「自動」のチェックを外し「列」に20、「行」に20を入力します。ダイアログ右側の「結果のプレビュー」タブでグリッディング結果のプレビューをみることができます。プレビューで表示するプロットタイプは「プロットタイプのプレビュー」で選択できます。
  7. 出力される行列の行数と列数を指定
  8. 「出力行列」にチェックが付いていることを確認して、「OK」ボタンをクリックすると、行列データが出力されます。行列データのヘッダ部分には、通常行番号と列番号が表示されますが、「表示:X/Yを表示」メニューを選択すると、実際のX/Yの値を表示できます。
  9. 出力される行列の行数と列数を指定

等高線 + 勾配ベクトルグラフの作成と編集

  1. 行列ウィンドウをアクティブにして、「作図:特殊グラフ:等高線+勾配ベクトル」を選択すると作図できます。
  2. 等高線+勾配ベクトルグラフを作図
  3. グラフ上でダブルクリックして開くダイアログでグラフの編集が可能です。
  4. グラフ上でダブルクリックして開く作図の詳細ダイアログでグラフの編集
  5. また、作図と同時に新しいブックが作成され、ベクトルをプロットするためのデータが出力されます。このワークシートの緑の鍵のアイコンをクリックして「パラメータを変更」を選択することでダイアログが開き、描画するベクトルの密度を変更可能です。
  6. ベクトルの密度を変更可能

そのほかの行列変換機能と仮想行列

上述の操作ではワークシートに用意されたXYZデータを変換する「XYZグリッディング」を使用して行列に変換しましたが、ほかに「直接」と「拡張」というオプションでの変換も可能です。

直接

  1. サンプルファイルのBook2のデータのように、XYZデータを表形式で用意し、1列目、または1行目にXまたはYデータを用意します。Book3のようにX、Yデータがない場合も変換可能です。
  2. 行列データに変換する前の表形式でXYZ値が入力されたワークシートデータ
  3. 行列に変換するワークシートをアクティブにしてメインメニューの「ワークシート:行列に変換:直接」を選択してダイアログを開きます。
  4. 「データフォーマットで、XYデータの有無を指定します。Book2のような形式で、1行目がXデータで1列目がYデータの場合、下図のように設定します。
  5. 1行目がXデータで1列目がYデータの場合の設定
  6. 「OK」をクリックすると、行列ウィンドウにデータが出力されます。行列データのヘッダ部分には、通常行番号と列番号が表示されますが、「表示:X/Yを表示」メニューを選択すると、実際のX/Yの値を表示できます。
  7. 表形式でXYZ値が入力されたワークシートデータを行列データに変換

    X、Yなしで変換した場合

    Book3のようなX、Yデータがない形式で用意した場合、ダイアログの「データフォーマット」は「X、Yなし」で実行します。この場合は行列のXYデータは行と列番号を同じ値で設定されますが、手動で設定することもできます。

    「行列:次数/ラベルの設定」メニューを選択して開くダイアログで、下図のようにしてXおよびY値の開始と終了の値を指定することで設定できます。

    行列のXYデータを手動で設定

    仮想行列

    Book2やBook3のように表形式でXYZデータを用意した場合、このまま行列データに変換せずに「仮想行列」として3Dグラフや等高線図などの作成が可能です。通常の行列データではX/Yデータは等間隔データですが、仮想行列の場合、X値とY値が不等間隔データも扱えるという利点があります。
    ※今回ご紹介した「等高線+勾配ベクトル」グラフなど一部のグラフは行列からのみ作図できます。

    仮想行列データから3D曲面図を作成

拡張

サンプルファイルのBook4またはBook5のデータのように、行列データの1行分のデータがワークシートの複数行あるいは列にわたって入力されている場合には、「拡張」で変換します。

行列データの1行分のデータが複数行にわたって入力されている場合には、「拡張」で変換
行列データの1列分のデータが複数列にわたって入力されている場合には、「拡張」で変換
  1. 行列に変換する列を選択して「ワークシート:行列に変換:拡張」を選択してダイアログを開きます。
  2. 「各行および各列に対して拡張」の項目で、ワークシートの何行または何列分を行列データの1行のデータになるのかを値で指定します。また、「向き」の設定でデータの方向を指定します。
  3. ワークシートデータを拡張して行列データに変換
  4. 「OK」をクリックすると、行列ウィンドウにデータが出力されます。
  5. X、Yデータの設定

    「拡張」で変換した場合、行列のXYデータは行と列番号を同じ値で設定されますが、手動で値を設定することができます。

    「行列:次数/ラベルの設定」メニューを選択して開くダイアログで、下図のようにしてXおよびY値の開始と終了の値を指定することで設定できます。設定後は「表示:X/Yを表示」メニューを選択すると、実際のX/Yの値を表示できます。

    行列のXYデータを手動で設定

テクニカルサポート

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