Origin2023で追加された新グラフ形式「二重Y軸」では、レイヤは1つで全く別の2つの軸を作成することができます。このグラフ形式では従来のグラフ形式と比べて簡単に軸の数を変更できるため、一度作図したあとに1軸から2軸に変更する際に非常に便利です。ただ、今までのOriginのグラフの原則からは外れたグラフ形式ですので、Originを長く使っている方は混乱することもあるかもしれません。そこで、今回は「二重Y軸」の特徴や利点、作図操作をご紹介します。
Origin2022bまでにあったグラフ形式「二重Y軸」はOrigin2023では「2Y軸Y-Y」に名前が変更になりました。
名前が変更になったグラフ形式はこちらからご覧ください。
レイヤについてはこちらをご覧ください。
新しい形式の二重Y軸グラフは、メニューの 作図:複数区分/軸:二重Y軸 を選択して作図します。すると、レイヤは1つのまま全く別スケールのY軸が2本用意され、それぞれの軸にプロットを表示できます。
また、いったん 作図:基本の2Dグラフ:折れ線 といったメニューで1つの軸の折れ線グラフや散布図などを作図してから2軸目を追加することもできます。その場合、別軸に移したいプロットをクリックして表示されるミニツールバーで「単一」タブを開き、「右Y軸にプロット」をクリックすることで簡単に2軸目にプロットを移動できます。
これにより、従来のグラフでは、作図前にレイヤや軸の数を決めておく必要がありましたが、作図後に「やっぱり2軸にしよう」という場合でも柔軟に対応できるようになりました。
新しい二重Y軸グラフの利点は、レイヤ1つで別々の2軸を描けるという手軽さにあります。従来のグラフではレイヤ1つにつき1つの軸が基本でしたので、2軸必要な場合はレイヤを2つにしてそれぞれのレイヤで軸を作成する必要がありましたが、二重Y軸ではクリック操作だけで可能になっています。
また、これまで2軸に対応していなかったグラフ形式でも2つ目の軸を追加して表示できるも魅力です。
例えば、下図のように単位の異なる2つのデータをメニューの 作図:基本の2Dグラフ:線系 を選択して作図し、ミニツールバーから「右Y軸にプロット」を選択することで、2軸にできます。
線系グラフだけでなく、下図のような2軸のボックスチャートの作成も今までに比べて簡単になっています。
Originのグラフはページ、レイヤ、プロットの3層で構成されています。
この考え方は新しい二重Y軸グラフでも従来の2Y軸Y-Yグラフでも同じですが、従来のグラフ形式ではレイヤ1つにつき1軸が基本ですので、別々の2軸を用意したい場合は下図のようにレイヤを2つにしてそれぞれのレイヤで軸を作成し2軸グラフにしていました。
二重Y軸グラフでなくとも1レイヤに複数の軸を表示することはできますが、これは「片方の軸のコピー」を表示するだけで、全く別の2軸にはできませんでした。
今回ご紹介している二重Y軸グラフでは1レイヤにスケールや単位の異なる全く別の2軸を追加することができます。
Originのグラフ構成についてはこちらの動画の説明が詳しく、理解しやすいです。こちらの動画では従来の2Y軸Y-Y形式を使った作図も行っています。
Origin2022bまでにあった旧グラフ形式「二重Y軸」はOrigin2023では「2Y軸Y-Y」に名前が変更になりました。新グラフ形式の追加の影響があったグラフ形式については下表をご覧ください。
Origin2022bまでの 名前 |
Origin2023以降の 名前 |
作図メニューの アイコン |
レイヤ数 |
---|---|---|---|
二重Y軸 | 2Y軸Y-Y | 2レイヤ | |
二重Y軸縦棒 | 2Y軸縦棒 | 2レイヤ | |
-- | 二重Y軸 (新グラフ形式) |
1レイヤ | |
-- | 二重Y軸縦棒 (新グラフ形式) |
1レイヤ | |
-- | 二重Y軸 縦棒・線+シンボル (新グラフ形式) |
1レイヤ |
新しい二重Y軸グラフの形式は3軸以上には対応していません。3軸以上のグラフを作成する場合は従来の3Y軸Y-YYなどグラフ形式で作成する必要があります。
3軸以上のグラフの作り方については、弊社が過去に開催した「Originで多軸グラフを作ろう」ウェビナーのアーカイブ動画をご視聴ください。
ご不明な点がございましたら、お気軽にお問合せフォームよりテクニカルサポートまでご連絡ください。
その際、必ず「製品名」「バージョン」「シリアル番号」をご連絡ください。