Vol.39 自作のフィット関数を共有するときのヒント

作成したユーザ定義フィット関数に非線形曲線フィットダイアログ上の「数式」タブや「曲線サンプル」タブに表示する画像を追加することができます。自作のフィット関数を共有する際には共有相手がどんな数式・曲線であるかを確認しやすくなるので便利です。

「数式」タブの表示
「曲線サンプル」タブの表示

事前準備

ここでは使用するユーザ定義フィット関数が作成されている状態から、「数式」と「サンプル曲線」の画像を追加する方法をご紹介していきます。
使用するユーザ定義フィット関数の作成方法については下記ページをご覧ください。

数式の画像作成にはLaTexアプリを使います。Originアプリのインストール方法については下記リンクページをご覧ください。

また、LaTeXアプリの利用にはアプリ自体だけでなく、追加で2つのソフトウェアをインストールする必要があります。追加インストールを行うソフトウェアについてはLaTeXアプリページをご覧ください。

作成手順

数式画像を作成

  1. 数式記述用に、空のレイアウトウィンドウをOrigin上部メニューの ファイル:新規作成:レイアウト から作成します。
  2. レイアウトを新規作成

  3. レイアウトウィンドウが選択された状態でLaTeXアプリを起動して数式を記述します。
  4. LaTeXアプリを起動してLaTeXの文法で数式を記述

  5. 「OK」ボタンをクリックすると数式がレイアウトウィンドウに追加されます。(デフォルトのサイズは小さめになっております)
  6. レイアウトに数式が追加されます

  7. 数式の大きさやレイアウトウィンドウをダブルクリックして開く作図の詳細ダイアログでレイアウトのページの大きさを調整します。
  8. 作図の詳細ダイアログで幅や高さを調整します

  9. 調整したらレイアウトウィンドウがアクティブな状態で、上部メニューの ファイル:レイアウトのエクスポート(詳細) をクリックして画像にエクスポートするためのダイアログを開きます。
  10. 関数グラフ作成ボタンを選択

  11. 「画像の種類」を"Windows MetaFile(*wmf)"に設定、「パス」をフィット関数が保存されているフォルダと同じパスに、さらにファイル名をフィット関数と同じ名前(ここではMyExp)に設定して「OK」ボタンでエクスポートします。
    (フィット関数はデフォルトではユーザファイルフォルダ直下の"fitfunc"フォルダにあります。ユーザファイルフォルダの場所はOrigin上部メニューの ヘルプ:フォルダを開く:ユーザファイルフォルダで確認できます。)
  12. エクスポートダイアログの設定

  13. このあと上部メニューの 解析:フィット:非線形曲線フィット でダイアログを開き、ユーザ定義関数MyExpを選択して「数式」タブを確認すると作成した数式画像が表示されます。
  14. 関数グラフ作成ボタンを選択

補足

グラフウィンドウからでも同様に数式の画像を作成できます。(軸や目盛を消す必要がない分レイアウトウィンドウのほうが手間はかかりません)

グラフウィンドウにLaTeXアプリで作成した数式を挿入

曲線サンプルを作成

  1. グラフを作成します。関数グラフを作成する場合はOrigin上部にあるボタン群の中から「2Dグラフ作成」のボタンを選択します。
  2. 2Dグラフ作成ボタンをクリック

  3. 数式には作成したユーザ定義フィット関数と同じものを記述し、パラメータの欄にもパラメータ名と値を入力し、「OK」ボタンでグラフを作成します。
  4. 数式とパラメータを入力

    作成されるグラフ

  5. 「サンプル曲線」タブに表示するように編集していきます。軸の消去や曲線情報を追加し、グラフを整えます。
  6. 編集後グラフ

  7. グラフをエクスポートします。「数式」と同様に上部メニューから ファイル:グラフエクスポート(詳細) をクリックしてダイアログを開きます。
  8. グラフエクスポート(詳細)を選択

  9. 設定では「画像の種類」を"Windows MetaFile(*wmf)"に設定、さらにファイル名をフィット関数と同じ名前(ここではMyExp)に設定し、「パス」はデスクトップなどのフィット関数が入っているフォルダとは別のパスを指定して「OK」ボタンでエクスポートします。
  10. グラフエクスポートダイアログ

  11. エクスポートした画像の拡張子を変更します。"wmf"となっている拡張子を"cuv"に変更します。(警告メッセージは「はい」を選択して変更します)
  12. 関数グラフ作成ボタンを選択

  13. cuvに変更したファイルをフィット関数が保存されているフォルダに移動させます。
  14. サンプル曲線画像ファイルをフィット関数のフォルダに移動

  15. これでOriginの上部メニューから 解析:フィット:非線形曲線フィット を起動して作成した関数を選択し、「曲線サンプル」タブを確認すると作成した曲線の画像が表示されます。
  16. 「曲線サンプル」タブの表示

補足

フィット関数のグラフの作成方法は下記リンクページでもご紹介しています。

他のユーザとフィット関数を共有する

他のユーザとファイルを共有する場合、zipファイル等で他のユーザに渡すこともできますが、Originのパッケージマネージャ機能を使用してzipファイルのように作成したユーザ定義フィット関数と今回の数式やサンプル曲線の画像をopx形式にして1つのパッケージにまとめることができます。opx形式の場合には他のユーザが自分のOriginにドラッグアンドドロップするだけでフィット関数を共有することができます。
opx形式はOriginのテンプレートやXファンクション、LabTalkスクリプトなどのカスタムアプリケーションを配布する際に使われます。

opxを使って画像とフィット関数を共有する場合

  1. Origin上部メニューから ツール:パッケージマネージャを開きます。
  2. パッケージマネージャを選択

  3. 「ファイルの追加」ボタンからフィット関数"MyExp.FDF"と今回作成した数式の画像"MyExp.wmf"とサンプル曲線画像"MyExp.cuv"を選択します。
  4. ファイルを選択

  5. 最後にパッケージマネージャ上部のメニュー ファイル:名前を付けて保存 で任意の名前をつけて保存します。
  6. ファイルとして保存

これで作成された".opx"形式のファイルを共有したいユーザに送付し、ユーザがこのファイルをOriginにドラッグアンドドロップすることでフィット関数がインストールされ、使えるようになります。

opxファイルをドラッグアンドドロップ

その他パッケージマネージャの設定項目については下記リンクからOrigin開発元ページをご覧ください。

サンプルデータ(MyExp.zip)

今回作成した画像とフィット関数のファイルをパッケージにしたものを下記からダウンロードできます。実際に画像が見られることを確認したい場合にはこちらもご利用ください。

zip

zip(35.1KB)

zipファイルなどopxを使わずに画像とフィット関数を共有する場合

zipファイルにして共有する場合やそれぞれのファイルをそのまま共有する場合は、zip形式に圧縮したあと共有先のPCで解凍し、フィット関数のFDF形式のファイルはOriginにドラッグアンドドロップすることで関数をOriginに認識させて共有することができます。メッセージが表示された場合には「はい」でユーザファイルフォルダにコピーしておくことをおすすめします。

FDFファイルをドラッグアンドドロップした際のメッセージ

数式とサンプル曲線画像は画像を作成したPCと同様にフィット関数と同じフォルダに置くことで認識されます。

画像をフィット関数と同じフォルダに配置

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