EViews11の新機能
(2019年4月)EViews11がリリースされました。
EViews11がリリースされました。ここではEViews11の新機能の一部を紹介します。
1. インターフェース
2. データ操作
3. グラフ機能
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ジオグラフィカルマップ
EViewsは新しいオブジェクトとしてgeomapオブジェクトを用意しました。このオブジェクトはシェープファイルを読み込むためのオブジェクトです。シェープファイルは地図情報の保存と記述を可能にするデータファイルで、インターネット上の様々なサイトから入手可能です。EViews11では、シェープファイルの地図情報にワークファイルの変数を対応させることで数値の空間的な特徴を視覚的に表現することができます。
- ファンチャート
4. 計量経済学と統計
4-1. 推定機能
EViews11では、これまで一推定式において利用可能であったMIDASの機能をVARモデルでサポートしました。さらにベイズと古典的なVARの技術を利用した非加重UMIDASをサポートしています。
VAR分析で利用する変数は月次や四半期など一定の観測度数に統一する必要があります。しかし、マクロ経済変数を扱う研究者にとって、この条件を満たすことが難しいケースがあります。
実際のデータ分析の場面では止む無く、高頻度のデータを低頻度のデータに変換して全ての変数の観測度数を一致させるしかありませんでした。データの集約により、一定割合の情報がモデル推定において失われていました。
シンプルな一推定式の場合は前バージョンからサポートしたMIDAS推定(ユーザーズガイド第28章 MIDAS回帰)により、この問題は解決されていました。
MIDASは仕組みとして高頻度のデータを複数の低頻度のデータで構成しており、高頻度データの情報を損なうことはありません。この手法の負の側面はモデルにおける変数の数が増え、これは自由度を小さくしてしまうことです。
しかし、MIDASモデルは工夫として多項式を利用した加重手法を利用して、自由度減少の程度を和らげます。四半期や月次データのように年次データに比べ変数の増加の程度がそう極端でない場合は非加重の手法であるUMIDAS(Ghysels 2016)を一般的に利用します。
VAR分析ではデータの集約に対応したいくつかのアプローチが近年提案されています。異なる度数のデータを用いたVARでは次の3つの提案に代表されます。
- Schorfheide and Song(2013)の状態空間モデルによるアプローチ
- Ghysels(2016)によるUMIDAS
- Ghysels(2016)による多項式加重を利用したMIDAS
これまで一推定式において利用可能であったレジームスイッチングの機能をVARモデルでサポートしました。
一推定式と同じくスイッチングの種類としてシンプルとマルコフの選択肢があります。そしてレジームごとに変化する項目として平均とモデルの定数項のどちらを選び、レジームの数を設定します。また、係数がレジームごとに変化するか否かの選択も可能です。その他にレジームごとに変化する項目として離散的なカテゴリ変数、ラグ付内生変数、外生変数、そして誤差項の共分散行列についても設定できます。
VARモデルの推定後は一推定式の場合と同じくレジーム確率の一期先、フィルタード、平滑化の予測値の計算とグラフ作成、表の作成を行えます。
古典的な回帰分析における線形回帰モデルは被説明変数と説明変数間に線形な関係を想定するものです。一方で、両者の間に非線形な関係がある場合には説明変数のべき乗項を利用する多項回帰というものも用意されています。
ただし、多項回帰の場合、決定係数が自動的に高くなってしまったり、極端な外れ値を発生させてしまうことがあります。また、多項式回帰によるフィット曲線は滑らかになりすぎるという欠点があり、微妙な変動を適切にモデル化することができません。
関数型係数回帰は本来の説明変数を他の変数の関数としてモデル化し、推定値を変数ではなく、他の変数からなる関数に対応させるものです。このテクニックの舞台裏ではテイラーの定理による線形化と、ローカルエリアを越えるデータに対するペナルティの作成メカニズムを利用しています。