EViews8
計量経済学と統計学に関する新機能:計算機能
基本的な統計処理機能への機能追加と改良を施しました。その中でも特筆すべきものとして指数平滑化、パネルシリーズの共分散と主成分分析、さらに季節調整プログラムの新バージョンX-13のサポートを挙げることができます。
ETS指数平滑化
EViews 8はHyndman,Koehler,et al(2002)の提案したダイナミック非線形モデルのフレームワークを利用した指数平滑化の機能を新たにサポートしました。
ETS(Error-Trend-Seasonal/ExponenTial Smoothing)のフレームワークは標準的なESモデル(例えば,Holt and Holt?Wintersの加法/乗法モデル)を網羅する指数平滑化の拡張版です。拡張部分にはいくつかの新しい手法も含まれています。
ETS平滑化は尤度計算に依存した状態空間を利用してモデルの分析を行うだけでなく、予測の標準誤差をも考慮してモデル選択を行う機能を備えています。
センサスX-13
EViews8は米国センサス局の提供する、季節調整プログラムの新バージョンX13を新たにサポートしました。季節調整ステップに先だって行うARIMA回帰に関する設定を始め、より詳細な設定をEViewsのフロントエンドで行えます。もちろん、従来からあるX-11/X-12、TRAMO/SEATS ARIMA の季節調整も行えます。
パネル共分散
パネルデータ分析においてパネル共分散と相関の計算はニーズの高い計算機能のひとつです。
- 例えば、Obstfeld and Rogoff、2001、p.368にもあるように、複数の国家間でのマクロ経済変数の関係を調べる場合などに同時相関の計算が良く用いられます。
- また、Johnston and Dinardo(1997)、p.318にあるようにクロスセクションのZellner SUR型推定量の計算や、Pesaran(2004)のようにクロスセクションの依存性の検定を行う場合に残差の同時共分散を利用します。同様に単位根や他の検定(Bai and Ng、2004)において共通因子を得るための第一ステップとしてパネル共分散を利用します。これらの検定手法はEViewsには内蔵されていませんが、パネル共分散を利用して、手作業で算出することはできます。
パネル主成分分析
クロスセクション間や時点間のデータの結合の強さを計測する機能に加え、EViews 8ではパネルデータにおいて同様の計算を行う機能をサポートしました。
標準的なEViewsの主成分分析と同じく、EViewsは固有値、固有ベクトル、そして固有値を大きさの順番に並べたグラフ、負荷量と因子得点の散布などを作成できます。また、因子得点と負荷量の値はオブジェクトとしてワークファイルに保存できます。