Sample Scripts from GB Books
GB003:  2次元における電導

5. くびれのある矩形プレート

今度は右の図のようなくびれのある銅製プレート上での電導に関しFlexPDEで分析を行ってみましょう。1辺が 2 の正方形のプレートに対し、その中央部に幅が 0.6、深さが 0.7 のくびれが左右から入っているモデルを想定します。上辺に U = 1 の電位をかけ、下辺の電位は 0 に保持、その他の境界は絶縁されているとして電流の流れを分析します。
台形プレートのときの econduction01b.pde をベースに作成したのが次のスクリプトです。

5.1 Problem descriptor [ econduction01e.pde ]

  TITLE
    'Constricted Rectangular Plate'    { econduction01e.pde }


  SELECT
    Errlim = 3e-4


  VARIABLES
    U                     { Electric potential }


  DEFINITIONS
    L = 1.0  d = 0.3
    cond = 5.99e7         { Conductivity of Cu }
    Ex = -dx(U)  Ey = -dy(U)  E = -grad(U)  Em = magnitude(E)
    Jx = cond*Ex  Jy = cond*Ey  J = cond*E  Jm = magnitude(J) 
                          { Electrical current density }


  EQUATIONS
    div(J)=0              { 2nd order PDE in U }


  BOUNDARIES
    Region 1
      Start 'boundary' (-L, -L)
        Value(U) = 0    Line to (L, -L)
        Natural(U) = 0    { Insulated }
          Line to (L, -d) to (d, -d) to (d, d) to (L, d) to (L, L)
        Value(U) = 1.0  Line to (-L, L)
        Natural(U) = 0    { Insulated }
          Line to (-L, d) to (-d, d) to (-d, -d) to (-L, -d) to Close


Jx, Jy, Jm の等高線図に対しては塗りつぶしを施すべく painted という修飾子を指定している点がこれまでと異なります。
  PLOTS
   
Grid(x, y)
    Contour(U)    Surface(U)
    Vector(E) norm    Surface(Em)
    Contour(Jx) painted    Contour(Jy) painted    Contour(Jm) painted
    Elevation(U) on 'boundary'    Elevation(Jm) on 'boundary'

  END

5.2 実行結果

(1) Grid(x, y)
FlexPDEErrlim で指定された演算精度が得られなかった場合、メッシュの細分化を行った上で再度計算をやり直します。今回の場合、Grid#3 という出力に示されているように、メッシュの再構成(regridding)が2回行われています。結果としてくびれの角の部分でメッシュ密度が高いものとなっています。

(2) Contour(U)
解析対象領域(ドメイン)上での関数 U(x, y) の等高線図、すなわち等電位線は次のようになります。 本来水平線であるべき等電位線がくびれの部分に近づくにつれて大きく湾曲していることがわかります。

(3) Surface(U)
関数 U(x, y) の曲面の形状をプロットしたものです。

(4) Vector(E) norm
電場ベクトル E のベクトルプロットを示したものです。 norm という修飾子を指定しているため、ベクトル場の向きの変化は明確ですが、大きさの変化は少々読み取りにくいものとなっています。この点を補うものが(5)のプロットです。

(5) Surface(Em)
電場ベクトル E の絶対値が場所によってどう変化するかを示した曲面図です。くびれの角の部分で異常に大きな値となっていることがわかります。これは工学上も重要な意味を持ってきます。

(6) Contour(Jx) painted
電流密度ベクトル J のx成分の値に関する塗りつぶしを施した等高線図です。

(7) Contour(Jy) painted
電流密度ベクトル J のy成分の値に関する塗りつぶしを施した等高線図です。

(8) Contour(Jm) painted
電流密度ベクトル J の絶対値に関する塗りつぶしを施した等高線図です。J = cond*E という関係式を考慮すると Jm の曲面図は(5)と同じ形状となります。くびれの角の部分におけるピークには注意を払う必要があります。

(9) Elevation(U) on 'boundary'
境界線上での U の値の変化をプロットしたものです。

(10) Elevation(Jm) on 'boundary'
境界線上での Jm の値の変化をプロットしたものです。くびれの角の部分におけるピークの存在が明確に示されています。

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