EViews ユーザ事例 第10回
アメリカ留学の時に出会ったEViews(2)
名古屋大学大学院 国際開発研究科 藤川清史 教授
EViewsとの付き合いは米国留学時代に利用したMicroTSPから始まりました。
―― EViewsを知ったきっかけと、実際に利用しはじめた時期を教えてください。
【藤川先生】
使い始めはずいぶん古く、1995年にペンジルバニア大学に短期留学した頃だったと思います。バージョンが1だったと思います。当時は大型汎用機からPCに置き換わって行く時代で、その時に、MicroTSP(EViewsの前身)を使い始めました。
2006年、甲南大学で働いていた時に、EViewsの最新バージョンの様子を知ろうということでライトストーンの講習会に参加しました。名古屋大学に移籍した現在も、EViewsを使っています。
―― EViewsをご自身の研究では、どのような目的のために利用していますか。また、どのような機能が便利だとお感じになりますか。
【藤川先生】
主にマクロ計量モデルの開発や利用のためにEViewsを利用しています。利点は色々ありますが方程式を保存でき、モデルの方程式を簡単に入れ替えられることが挙げられます。それまではモデルにはAREMOSを使っていました。
ライセンスを持っている研究所をやめてしまったので、つかわなくなりました。その後、マクロ計量モデルから遠ざかっていて、たまに触る程度でしたが、現在は日経センターの研究員の方と共同で社会保障モデルをつくるのに使っています。
―― 4月に東大出版会から出た「社会保障の計量モデル分析」の中では、「短期マクロ計量モデルによる分析」ということで研究成果を発表なさっていますね。
【藤川先生】
国立社会保障・人口問題研究所のプロジェクトで書きましたが、実はこれは第二弾で、2年程前にその第一弾を出しています。主に、2004年度の年金改革の内容解説と経済状況の整理、そしてモデルの標準解とシミュレーションの実行、最後にマクロ経済の見方とモデル構造の関係、厚生年金の適用拡大の影響について述べています。
マクロモデルは学問的には若干の問題点があるのですが、実際の景気予測の場面などではまだまだ使われています。ただ、マクロモデルの「利用者」が減っているのも事実で、このままでは使える人が少なくなってしまいます。
マクロモデルを自分で作ることで、マクロ経済学の理論を自分なりに理解できる部分もあるので、実務上、そして教育上、マクロモデルの有用性というものはまだまだあると思います。
―― 学生への教育用には、EViewsをどのように利用なさっていますか。また、EViewsの機能で不便だと思われるところを教えてください。
【藤川先生】
開発統計学、途上国経済の数量分析という講義を担当しています。前者は通常の統計学なのでExcelで事足りますが後者では、Excelに加えて、EViewsとSPSSを使っています。
不便だという所は特にありません。かつては日本語マニュアルがなかったので日本人には敷居が高かったのですが、現在は日本語マニュアルのおかげでハードルが下がったと思います。
―― 貴重なお話を伺うことができました。ご協力ありがとうございました。
弊社で藤川先生と記念撮影