Hodrick-Prescott フィルタは、系列の長期トレンド成分の滑らかな推定値を得るために広く使用されている平滑化手法です。この手法は、戦後の米国の景気循環を分析するために Hodrick and Prescott によってワーキングペーパーで初めて提案されました。EViews 14 では、Phillips and Shi (2020) によって提案された反復 (ブースト) HP フィルタのサポートにより、既存のルーチンが強化されています。
Phillips and Shi (2020)は、HPフィルタを反復させて「よりスマートな平滑化デバイス」を作成することを提案しました。このboosted HPフィルタは、循環系列$c$を受け取り、フィルタをもう一度実行して、新しい平滑化された循環系列を生成します。フィルタリングプロセスが繰り返され、各反復でさらに平滑化された系列が生成されます。この反復手順の利点は、最終的な平滑化された系列が$\lambda$の選択にあまり依存しないことです。
Phillips and Shiは、設定された反復回数の後にプロセスを繰り返すか、情報基準を使用して最適な反復回数を決定することを推奨しています。
最初に平滑化したデータの名前を入力します。EViewsはデフォルト名を設定していますが、これは自由に変更できます。次に平滑化パラメータ$\lambda$の値を整数で入力します。このパラメータを決める際にはRavan and Uhlig (2002)の周波数-振幅法(1年に含まれる観測期間数を4で割り、データは1,600倍する)を利用するか、または$\lambda$を直接入力します。デフォルトでは2乗値を利用しますので、元のHodrick and Prescottの$\lambda$は次のようになります。
$\lambda$
頻度
100
年次データ
1600
四半期データ
14400
月次データ
Ravan and Uhligは4の乗数を推奨しています。EViewsは整数値以外の値が入力されても、丸めて整数化します。
Hodrick, R. J. and E. C. Prescott (1997). “Postwar U.S. Business Cycles: An Empirical Investigation,” Journal of Money, Credit, and Banking, 29, 1–16.
Phillips, Pter C. B. and Zhentao Shi (2020). "Boosting: Why You Can Use The HP Filter," International Economic Review, 62(2), 521-570.
Ravn, Morten O. and Harald Uhlig (2002). “On Adjusting the Hodrick-Prescott Filter for the Frequency of Observations,” Review of Economics and Statistics, 84, 371-375.