新しい予測機能

EViews9では基本的な統計手法のツールボックスに多くの追加と改善が行われました。以下ではそのハイライトとして、自動ARIMA予測、予測評価、予測平均、VAR予測を取り上げます。

自動ARIMA予測

自動ARIMA予測は、ARIMA モデルに基づいて単一シリーズを予測するための手法です。

既存のEViews の推定式オブジェクトでも、ARIMA モデルの操作と推定について高度なツールを提供してきましたが、このタイプのモデルで予測を迅速かつ容易に行えることは特に重要です。EViews 9 では適切なARIMA 仕様を迅速に決定して予測を行う、自動ARIMA 予測機能が存在します。


予測評価と組み合わせ検定

EViews9は、複数の予測値のうちどれを用いるべきなのか、あるいは複数の予測値を平均して用いるべきなのかといった問題を解決するツールを提供しています。

変数の将来値を予測する場合、意思決定者は異なる予測値に直面することが頻繁にあります。たとえばモデルを変えると予測値が変わったり、算出した予測値が外部ソースから得られた予測値と異なっていたりする場合があります。このように同じ変数について異なった予測値が得られる場合、ベストな予測値を選ぶことが難しくなります。幸いなことに、EViews 9には以下で挙げる4つの異なる指標を用いて、予測の評価の問題を解決する機能があります。

  • 平均二乗誤差(Root Mean Squared Error, RMSE)
  • 平均絶対誤差(Mean Absolute Error, MAE)
  • 平均絶対誤差率(Mean Absolute Percentage Error, MAPE)
  • タイル不平等係数(Theil Inequality Coefficient)

さらに、EViewsは予測の平均が個別の予測よりも良いかどうかを評価するための、組み合わせ検定(Combination Test)または予測包括検定(Forecast Encompassing Test) (Chong and Hendry, 1986; Timmermann, 2006) を計算することができます。

予測評価


予測平均

EViews 9 は予測の平均化を実行するための便利なツール(単純平均法、最小二乗法、平均二乗誤差法、平均二乗誤差ランク法、平滑化AIC 法、近似ベイズモデル平均法、トリミング平均値、単純中央値法など)を提供します。

多くの研究(Timmermann 2006)で、複数の予測の平均は単一予測よりも正確であることが示されました。予測の平均化や予測の組み合わせは複数の予測値から単一予測値を作成する手法で、これは多くの場合単一の予測値からベストなものを選ぶより優れた手法です。


VAR予測

EViews9では、VAR オブジェクトから直接に予測を行うことができます。これにより、VARオブジェクトから一旦モデルオブジェクトを作ってモデルを解くという手間が省かれます。

VAR予測

VAR予測

page_top_icon