Match! の主な機能
Match! は、簡単に粉末回折データから結晶の相同定を行えるソフトウェアです。試料の中に存在する結晶相を同定するために、実験で得られた試料の粉末回折パターンとリファレンスパターンが含まれたデータベースを比較します。単相だけでなく、多相の場合も同定できます。ピークデータとraw (profile)データのどちらも利用できます。
最新版Match! で強化された機能
- Windows版のほか、Mac OS X版、Linux(PC用インテル32bit、64bit)版もリリース
3つのOSのどれでもMatch!をネイティブに動作させることができます。もちろん、作成したドキュメントファイルを他のプラットフォームで使用することもできます。
- 複数の回析パターンを表示、比較できます
追加の回折パターンをインポートし、重ねて表示できます。この機能により、メインの実験パターンと比較できます。
- 直接、特定の相やエントリを見ることができます
サンプル内に特定の相があると分かっていたり、いくつかの化合物の回析パターンと実験で得られた回折パターンを比較をしたい場合、新バージョンではその操作を簡単に行えます。
- 追加情報による結果の絞り込みが簡単に実行できます
サンプルについての追加情報、例えば含まれる原子や含まれてはいけない原子の情報、密度の情報等を、今までのバージョンよりも簡単に設定できます。
- 選択項目の保存
条件に合う選択基準(例えば、元素や密度など)を入力した後に、名前を付けて保存できます。保存後はわずか2クリックで再び呼び出すことができます。
- バックグラウンドの定義を快適に実行可能
自動で算出されるバックグラウンドの曲線について、コントロールポイントをマウスでシフトさせたり消去することができます。バックグラウンドを生データに対応して定義する際に行うことができます。
- ズーム機能の強化
バージョン2では、強度(intensity)の軸(縦軸)に対してもズームできるようになりました。さらに、マウスのホイールを使えば、ズームしたいエリアを簡単に拡大できます。
- バッチ処理と自動化
初心者でも熟練者でも、好みやレベルに合わせて設定できます。スキルレベルを調整すると、各ステップで細部までコントロールするレベルからMatch!に自動的に解析させるレベルまで、さまざまなレベルを選ぶことができます。
- FullProfを使用するリートベルト精密化(Rietveld refinement)(バージョン2.1.0で実装されました!)
わずか2回のマウスクリックでデータ(例えば、相同定の結果)をFullProfソフトへ簡単に転送し、リートベルト精密化を実行できます。
(動画チュートリアル(YouTube)で具体的な操作をご覧いただけます)
※FullProfはFullProfの開発元のWebサイトから、別途ダウンロード、インストールしてください。 - TreorやDicvolを使用する指数付け (単位格子の決定)(バージョン3.5.0で実装されました!)
指数付けは、Endeavourのようなソフトウェアを使い粉末回折のデータから結晶構造を解くために必須のステップです。非常にたくさんの指数付けプログラムがありますが、Match!は、そのなかでももっとも著名な2つのプログラムTreor90とDicvol06を使用して指数付けを行うことができます。
Match! の機能一覧
他の機能には次のようなものがあります。
- 粉末回析データから単相、多相の同定をすばやく行えます。
- COD(I/Ic を含む)から計算された無料のリファレンスパターン、ICDDのPDFデータベース、ICSD/Retrieve(リリース1993~2002までのバージョンで、有効なライセンスが必要です。ICSDの現在のバージョンは、法的な問題から一括インポートの機能には対応していません)、あるいはご自身の回析データ(または結晶構造データから算出されたパターン(CIFファイル))を相同定に利用できます。
- リファレンスデータベース(ユーザ作成データベースを含む)は臨機応変に扱えます。新たなデータベースのインデキシングの必要もなく、簡単に別のデータベースに切り替えることができます。
- X線回析または中性子回析のデータベースをCIFファイル等から作成できます。
- データベースマネージャにより、ユーザデータベースを簡単かつ快適にメンテナンスできます。(エントリの追加、インポート、編集、削除、ソートが可能)
- 強力なCIFおよびICSD/Retrieveファイルのインポート機能を搭載しています。粉末パターン、I/Ic、密度も計算できます。
- 原子座標を利用できます。例えば、データシートの中にICSD、ICDD PDF-4+または無料のリファレンスデータを表示したり、リートベルト解析のためにCIFファイルやテキストファイルへのエクスポート等を行えます。
- 入力データシートや回析パターンにミラー指数(hkl)を表示できます。
- ユーザ自身の回折データとPDFデータを統合した形で扱えます。(サーチマッチ、検索、データ参照について)
- 特定できた相について、自動残差検索を行えます。
- 生データを自動的に処理します。(Kα2線の除去、バックグラウンドの除去、ピーク検索、プロファイルフィッティング、エラー訂正)
- ピーク検索の感度を自動的に最適化します。
- エクスポートしたプロファイルデータに、粉末回折データのすべてまたは選択したピークデータのパラメータをフィットできます。
- マウスやキーボードを使い、ピークの編集(追加、移動、削除、フィット)を手動で快適に行えます。
- 半定量的分析(Reference Intensity Ratio method)が可能です。
- 補足的な知識(構成、PDFサブファイル、結晶のデータ、色、密度など)を簡単に使用できます。
- PDF、COD、ユーザ作成データベースの検索システムとビューワが統合されています。
- 複数回のアンドゥ/リドゥ操作ができます。
- ユーザ設定可能な解析の自動化機能があります。
- サーチマッチの過程で自動的にd値を変化させることができます。(オプション)
- 強度の性能指数(FOM)への貢献度は定向性に応じて少なくできます。
- ピークデータと候補のパターンを、表と図の両方で快適に比較できます。
- ユーザ設定でレポートの出力ファイル(HTML、PDF、テキストファイル)を選ぶことができます。
- オンラインアップデート(自動と手動の両方)を行えます。
利用可能な回折データのファイル形式
利用可能な回析データファイル形式は次の通りです。(自動検出)
- ASCII profile (start, step, intensities or 2 columns)
- Bruker/Siemens raw data (old and new) (*.raw)
- Bruker/Siemens DIFFRAC AT peak data (*.dif)
- DBWS (*.rfl, *.dat)
- ENDEAVOUR peak list (2 columns: 2theta/d intensity; *.dif)
- Inel raw data (*.dat)
- Ital Structures raw data (*.esg)
- Jade/MDI/SCINTAG raw data (*.mdi)
- JEOL ASCII Export raw data (*.txt)
- PANalytical XRDML Scan raw data (*.xrdml)
- PANalytical/Philips peak data (*.udi)
- PANalytical/Philips raw data (*.rd, *.udf)
- Rigaku raw data (*.raw)
- SCINTAG raw data (*.raw, *.rd)
- Shimadzu raw data (*.raw)
- Siemens (*.uxd)
- Sietronics XRD scan data (*.cpi)
- Stoe raw data (*.raw)
- Stoe peak data (*.pks)