相同定の手順とMatch!の機能
相同定の作業を効率化!
X線粉末回折データから結晶の相同定を行うことは、今日では材料科学の研究者には日常的な業務となっています。Match! はその同定作業を効率よく行うことができる、使いやすいソフトウェアです!
一般的に、未知試料/粉末から相同定を行う手順は次のようになります。Match!は、この一連の流れのステップ2から7までを実行できます。ステップ1は機器による測定、ステップ8は確認作業ですので、Match! は相同定に必要な一連の処理をすべて行えるソフトウェアといえます。Match!には無料で使えるリファレンスデータベースも付属するので、Match! と粉末回折データがあれば、すぐに相の同定ができます!
相同定の解析作業の流れ
- X線回折パターンの測定
できるだけ高い精度、S/N比で未知試料のX線回折パターンを測定します。その結果は、rawデータと呼ばれている「強度 vs. 2θ」のデータを含むファイルになります(データによっては、実験条件の情報も含まれます)
- 回折データのインポート
回折データをMatch! のようなsearch-matchソフトウェアで読み込みます。
- rawデータプロセッシング
回折データはraw(profile)データのまま、「rawデータプロセッシング」と呼ばれる処理が行われます。以下のような処理が含まれます
- α2線除去(存在する場合)
- データのスムージング(平滑化)
- バックグラウンド除去
- ピークサーチ
- プロファイルフィッティング
- エラー補正
ゴールはできるだけ高精度のピークリスト(2θと積分強度の値)を得ることです。このステップ3をできるだけ精密に実行することは、このあとのsearch-matchプロセスで適切な結果を得るために非常に重要です。
- 補足情報の活用
試料についての追加情報(化学的な分類、化学式、組成、密度、色など)があれば活用します。search-matchの計算を縛る条件として利用します
- 同定(search-matchプロセス)
ピークリストが利用可能になったら、実際のsearch-matchのプロセスが実行できます。search-matchソフトウェアは、リファレンスパターンデータベースの回折パターンと未知試料の回折パターンを比較します。また、FoM(figure-of-merit)と呼ばれる一致度を表す数値を計算します
- 候補となる相のランクづけ
search-matchが終了したら、FoM値によって“candidate entries”と呼ばれる候補リストがランクづけされます。FoM値がもっとも高い登録データが、試料に含まれる相として有望です。ランクづけされたリストがユーザに対して提示されます
- 解析結果の検討
ユーザは、候補となっている登録データのリストをいちばん上から検討していき、もっとも合致すると思われるデータを選びます
- リートベルト法による精密化
最後に、マッチングの結果選ばれた相をオリジナルのraw(profile)データに対して、リートベルト法による精密化を行うべきでしょう。一般的に、精密化に成功したということが、相の同定が正しく完了したということの裏付けになります