Sample Scripts from GB Books
GB011:  2次元の完全流体

3. 円柱のまわりの流れ(非対称配置)

今度は障害物の円柱が一方の壁の近くにあるケースについて考察します。対称配置の場合のスクリプトをベースに、チャネル左岸のドメイン境界の位置を変更するアプローチで対応します。入口での流速 vx0、圧力 p0、出口での流速 vx0 という境界条件は変わりません。

3.1 Problem descriptor [ pfluid01c.pde ]

前ケースのスクリプト pfluid01b.pde に対する変分のみを記すことにします。
  TITLE
    'Obstacle across a Channel, Close to Wall'    { pfluid01c.pde }

BOUNDARIESセクションにおける指定を次のように変更します。'obstacle'についての記述に変更はありません。
  BOUNDARIES
    Region 1
      Start 'outer' (-Lx, 0.3*Ly) Point value(phi) = 0
        Natural(phi) = -vx0 Line to (-Lx, -Ly)    { In }
        Natural(phi) = 0    Line to (Lx, -Ly)     { Wall }
        Natural(phi) = vx0  Line to (Lx, 0.3*Ly)  { Out }
        Natural(phi) = 0    Line to Close         { Wall }

      Start 'obstacle' (a, 0)                     { Cut-out }
        Natural(phi) = 0 Arc(Center = 0,0) Angle = 360

PLOTSセクションの末尾に2つのelevationプロットを追加します。
  PLOTS
   
...
    Elevation(p) from (-Lx, -Ly) to (Lx, -Ly)
    Elevation(p) from (-Lx, 0.3*Ly) to (Lx, 0.3*Ly)

  END

3.2 実行結果

(1) Grid(x, y)
FlexPDEによって自動生成されたメッシュ構造を示しています。

(2) Contour(vm) painted
速度ベクトルの絶対値 |v| に関する等高線プロットです。流速は障害物の上端部で最大になっています。

(3) Contour(p) painted
圧力 p に関する等高線図です。左右 の対称性は維持されていますが上下は非対称です。障害物上端の方が圧力は低いため、円柱にはチャネル左岸側への力が働くことになります。

(4) Elevation(p) on 'obstacle' Report(p1)
障害物の境界上での圧力の値をプロットしたものです。障害物の上端と下端における圧力の違いが明確に示されています。

(5) Vector(v) norm
ドメイン全域での流線の様子を示すベクトルプロットです。速度の大きさは色で表現されています。

(6) Vector(v) norm zoom(-3*a/2, -3*a/2, 3*a, 3*a)
障害物の近傍部分における流線の様子を拡大表示したものです。

(7) Elevation(p) from (-Lx, -Ly) to (Lx, -Ly)
チャネルの右岸壁上で圧力がどう変化しているかを示すプロットです。積分値 195523 は右岸壁にかかる力の大きさを示しています。

(8) Elevation(p) from (-Lx, 0.3*Ly) to (Lx, 0.3*Ly)
チャネルの左岸壁上で圧力がどう変化しているかを示すプロットです。積分値 188794 は左岸壁にかかる力の大きさを示しています。プロット(7)の積分値との差 6729 が障害物によって引起される流体への力と言えます。

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