RATS バージョン9.0

RATS 9.0 の販売は終了しました。

RATS新バージョン9.0をリリースいたしました(2014/10/29)。既存のバージョン8.1, 8.2, 8.3で成された一連の機能追加の最終版となるものです。

マニュアルの更新

新たに、 "ARCH/GARCH and related models"、"Threshold, Breaks and Switching"、 "Cross Section and Panel Data"という章を追加しました。これら3つの項目についてはeコース(開発元が販売しているウェブサイトを利用した学習コース)における最新のコンテンツにもなっています。GARCHとパネルデータの操作方法については全く新しい解説方法を採用しました。GARCHとレジームスイッチングモデルの推定において意味のある結果を得るためには、慎重な分析が必要となります。近年、お寄せいただく技術的質問には、これに関するものが多くありました。したがって、新しいマニュアルには、これらの質問に関する技術的情報をできるだけ多く追加しました。

インタフェースの改良

  • オンラインヘルプの機能を全面的に改良しました。リファレンスマニュアルの内容をすべて網羅し、さらに、100個以上の、極めて重要なプロシージャについては構文の解説と例題を載せました。また、オンラインヘルプの利便性を向上させるクロスリファレンスを利用しました。
  • GARCHモデルの推定に利用するウィザードは一変量と多変量で、それぞれ別に用意しました。共和分関係のモデルを推定するための、新しいウィザードもあります。これにより、@JOHMLE、@FM、 @SWDOLS プロシージャを簡単に利用できるようになりました。
  • File-Propertiesは既に開いているファイルの名前を省略せずにすべての文字列を表示します。したがって、パス名が長く、ファイル名が短縮されてしまうような状況でも、簡単にファイルのコピー&ペーストが実行できるようになりました。
  • Help-News...は開発元ウェブサイト経由で新しい、更新情報を取得します。
  • すでにv8.3の時にテキストエディタを、新しいパブリックドメインソフトのScintillaに変更しました。このエディタの良い点はプログラム中にマーカーを配置することができ、さらに、検索において定型的な表現(regular expression)を利用できる所にあります。Enterキーを押しながら操作すると、コマンド行をスキップするというバグはv9で修正しました。
  • v8.3との大きな違いとしてファイル中での検索機能があります。例題として用意されているプログラム中で、例えば、DLM, BEKK GARCH, SPGRAPHなどの文字列を簡単に見つけることができます。これにより、プログラムの生産効率を大きく、向上させることができます。

プログラミング機能の更新

  • 重要な改良点は、パラメータやオプションと同じく、関数についても受け渡しができるようなったことです。これにより、RATSプログラミング言語は大きく変化する可能性を手に入れました。つまり、格段にプログラミングが容易になる可能性が出てきました。
  • 既にv8.2でHASHとLISTのアグリゲータ機能を導入しました。v9ではさらに、これらの機能が使いやすくなりました。ドキュメントや例題に、詳しいその用法を追加しました。
  • 範囲外の配列要素にアクセスする場合の診断機能を改良しました。また、コード入力時の支援機能を追加し、タイプミスを回避できるようにしました。

その他の新機能

  • データをXLS形式に加えてXLSX形式でもエクスポートできるようになりました。この機能はデータのエクスポートだけでなく、REPORTウィンドウの情報をエクスポートする際の全てのコマンドに適用されます。
  • SPGRAPHコマンドでグラフ行列のキーを取得できるようになりました。
  • GARCH推定の新しいオプションとしてVARIANCES=KOUTMOSをサポートしました。このオプションはegarchモデルを利用したccおよびdccモデルの単変量分散の計算を可能にします。その計算手法はKoutmos(1996) "Modeling the Dynamic Interdependence of Major European Stock Markets", Journal of Business Finance and Accounting, vol 23, 975-988によります。
  • IMPULSEコマンドに新たにFKATTENオプションを追加しました。これにより、モンテカルロモデルにおいて、より簡単に計算結果を%%RESPONSESに保存できます。また、FACTORオプションは(列の)ランク落ちした行列の操作も可能にするので、構造ショックのサブセットだけの影響を考察する場合に便利です。
  • HEIGHTとWIDTH オプションにより、GRPARMコマンドでグラフを標準化させることが可能になりました。
  • GRAPHコマンドに新しいオプションSERIESを追加しました。これにより、シリーズをベクトル化したり、VECT[INTEGER]という形式で利用することで、シリーズを入力情報として取り扱うことができます。多くのグラフを利用するVARモデルの推定において、この機能は重宝します。
  • DATAコマンドに新しくORG=MULTILINEというオプションを追加しました。これにより、特定の行のデータをスプレッドシートから除外することが可能になりました。

 

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