機能一覧
バージョン3.xと比較してバージョン4で新しく追加された機能、または大幅に強化された機能は強調表示されています。
- 1つの親ウィンドウ内に複数の子ウィンドウを表示できるMDI形式のグラフィカルユーザインターフェイスを採用した、Microsoft Windows用の32bitアプリケーションです。オブジェクト指向のメニュー、ツールバー、ポップアップメニューなどを利用して操作を行います。同時に複数の構造を処理することもできます。
入力と出力
- Diamond3/4形式(独自のバイナリファイルの形式、拡張子:.diamdoc):
- 結晶構造と分子構造の両方に対応します(対称性の有無によらず)
- 1つのドキュメントの中に複数の結晶/分子構造のデータセットを格納できます:
- 原子パラメータ
- 格子パラメータと空間群(オプション)
- 異方性変位パラメータ
- 接続パラメータ (結合、水素結合、非結合接点)
- 化学的、図書目録的データ(作者、出典、オリジナルのデータベースなど)
- 1つのデータセットに複数の構造図を含むことが可能
自分で作成した結晶構造図をそのままの形で保存できます - Diamond2形式(DSF形式)のファイルと互換性があります
- 描写できる原子、結合、ポリヘドラ(多面体)の数はRAM容量のみに依存
- 結晶/分子構造データの手動入力や既存のデータの変更が可能
- 自動的にインポートできるデータ形式:
- CRYSTIN (ICSD、CRYSTMET。拡張子:*.cry )
- Cambridge Structural Database FDAT(拡張子:*.csd、*.dat )
- Brookhaven Protein Data Bank(拡張子:*.pdb、*.ent )
- SHELX-93(拡張子:*.ins、*.res、*.dat )
- CIF (Crystallographic Information File。拡張子:*.cif )
- XYZデータ(デカルト座標。拡張子:*.xyz)
- SYBYL MOL、MOL2(拡張子:*.mol、*mol2 )
- Cerius2 (CSSR。拡張子:*.cssr )
- MDL MOL形式(拡張子:*.mol、*.mdl )
- 構造データをエクスポートできる形式:
- CIF
- SCHAKAL
- XYZデータ
- Diamondに同梱されているPOV-Rayを利用することで、影や反射、テクスチャ、背景画像を使った写真のような構造図の画像を作成できます
- 構造図の3次元の世界をVRML形式にエクスポート可能:
- Wavefront OBJ (+ MTL材料定義ファイル)
- STL (テキスト形式)
- VRML 1 (WRL files)
- 結晶構造の2次元の図を以下の画像形式で出力可能:
- Windowsメタファイル(WMF ベクトルデータ)
- ビットマップ画像 (BMP 画像の幅と高さ、解像度を任意に指定できます)
- GIF、JPG、PNGファイル(HTMLファイルの中で表示させることができます)
- ドキュメント間でデータセットのカット&ペースト、コピー&ペーストが可能 。簡易的なデータベースのようなものとしてご利用いただくこともできます
- 化学データ、結晶データ、文献目録データの検索が可能:
- 選択したディレクトリ内の選択した種類のファイル
- IUCrジャーナルでのCIFファイルの検索と同様に"Crystallography Open Database" (COD)と"American Mineralogist Crystal Structure Database"(AMCSD)で検索 [参照: "www.crystallography.net"]
- 最も頻繁に使用される(無機)構造タイプの小さなデータベースで、構造データや定義済みの構造画像を挿入することができます
- ドキュメントファイルの中で、データセットの表データを構造化可能:
- 表として (「structure list」)
- 折りたたまれた形式として( 「structure info bar」)
- 複数の構造体を持つドキュメント内の構造体データセットを区別するための色分け
- すべてのドキュメントまたは選択したデータセットの構造図をサムネイルで表示可能
- 最後に編集した画像/ドキュメントのサムネイルを最近の画像リストに表示
- 構造体データをテキストで表現するためのデータシート:
- コンパクト表示または全体表示の形式
- またはアイテムのカスタマイズされた選択と順序
- 「Atom list」: 構造図の中の原子の階層的なリスト、原子のサイトおよび/またはグループごと、または分子ごとにグループ化されています。
- 選択したデータセット、データシート/ブリーフ、データの表、構造図の印刷が可能。データセットのテキストデータをWindowsのクリップボードを通じてコピー可能
- データシートと表をHTMLとしてエクスポート
結晶構造
- ウィザード形式の「アシスタント」という仕組みを使って、構造図を最初から作成したり、既存の構造図を変更することが簡単にできます
- 「Auto Picture Creator」 - ドッキングウィンドウで構造画像と並べて利用可能 - 図の構築だけでなく、図のデザインや表示方向をインタラクティブに変更出来ます
- 「Building schemes」 (Diamond 3では「Auto-Builder」という名称でした)という機能を使って構造図を全自動で作成したり、あらかじめのユーザーの設定により自動的に作成することができます。同種の構造を数多く視覚化するときにとても役立つ機能です
- 結晶を表示するか、分子を表示するか、簡単に変えられます。結晶格子を追加/削除したり、対称性の情報を追加/削除できます
- 選択した中心原子のまわりに、球状または箱状(単位格子、複数の格子、 指定した結晶格子の範囲)に結晶の構成原子を表示することができます
- 画面内のユーザー定義された長方形の領域を結晶構造で満たすことができます
- 平面間、または平面に沿った板状の空間、座標軸でできた平面を、結晶の構成原子で満たすことができます
- 副格子を構成する原子の選択(「フィルタ」)
- 隣接する原子や結合を検索する際の乱れた部分のサポート、および「フィルタ」機能のサポート
- 原子サイトのディリクレ領域から原子環境の作成(および議論)
- 選択された原子タイプ間の距離分布と結合パラメータからの距離分布を示すヒストグラムを用いた接続性の議論と、距離範囲の自動計算とチェック
- 結合の作成は、結合性に基づいて自動的に、または2つの原子間にそれぞれ結合を挿入して手動で行うことができます
- 原子パラメータリストのすべての原子(および任意で結合、H結合、接点)と接続パラメータリストを追加します
- 複雑な構造を作成するときに、パラメータリストから作成した原子が、図を作成していく足がかりとして役立ちます
- 選択した原子のまわりに、球状に配位圏にある原子を付け足していくことができます
- "Pump up": 選択された原子を中心とした複数の球体の生成とその反転("shrink")
- 細胞の端で切り取られた分子や断片の補完を自動的に生成します
- 分子単位の定義(原子定数リストから)
- 対称性等価位置にある分子単位からの分子の生成
- 選択した原子や分子の近くにある分子を検索
- 分子パッケージの作成(平行六面体、球、厚板や層)
- 分子フラグメントやポリマーの拡大/縮小
- 無限小の連結、レイヤ、または3Dフレームワークに信号を送るための壊れている結合の作成。壊れている結合と通常の結合を変換
- H結合と非結合の接点接続性の定義。H結合と接点の作成。
- H結合および/または接触を介して隣接する原子または分子に拡張し、分子クラスターを構築して反転("reduce")します。
- マウスホイールで分子クラスターの拡大・縮小と球の接触を検討
- 構造図の構成要素を、構造図間でコピー、切り取り、貼り付けできます:
- 構造図の断片(またはすべて)をコピーできます
- コピーした構造の断片は、新規の構造図や同じデータセットを持つ別の構造図に貼り付けることができます
- 一度組み立てた枠組みから、ユーザーの意図するように特定の構成要素を取り除くことができます
- アンドゥとリドゥ(操作の取り消し、やり直し)の機能(画像サムネイルでも)がとても強力です。構造図の作成を失敗しても、簡単にやり直しがききます
可視化
- "Design schemes"(スタイルシートの一種)他の構造画像にすばやく簡単に適用するための画像デザインと表示設定が含まれています。
- レイアウトモード:
- 通常モード/ウィンドウ表示
- 印刷モード A4ページサイズ、背景は白
- ビットマップ画像作成向けのモード 解像度と画像の大きさ(X、Yそれぞれについて)を指定します
- ズーム機能を使って大きさを変えられます (Diamond2の「Page view」モードを強化しました)
- 原子や結合のモデルの形式は、全体を同じにしたり、原子の種類ごとに同じにしたり、個々の原子ごとに変えたりすることが可能です(異なる形式を1つの図の中に混在させることができます)
- Ball-and-stick(標準)
- ellipsoid
- Space-filling(空間充填モデル)
- Sticks or Wires(結合の太さの半径の設定により、Stick状にもWire状にもできます)
- 視点を特定の平面や軸に沿った方向にするというように設定できます(例えば、XY平面を正面に見る方向から表示する、というような指定の仕方が可能です)
- 立体の表示形式を中心射影と平行射影に変えられます。デプスキューイング(depthcueing:オブジェクトが遠ざかるほどぼんやり見える処理)、ステレオ表示(両目を平行にしたりより目で画像を見ることによって、目の前にあるかのように立体的に見えます)ができます
- 構造図の光源をユーザーが定義したり、原子の材質などを設定することができ、写真品質の結晶/分子モデルを作成できます(OpenGL)
- 同じ種類の原子や結合ごとに色やスタイル、原子や結合の図の半径を変えられます。また、個別の原子にかぎって、それらの設定を変えることもできます
- マウスホイールで原子と結合の半径を変更
- Diamondのレンダリングモードとフラットモードのどちらでも、ORTEPライクの原子の表示スタイル(ellipse、octants)を利用できます
- 結合を点線に変えたり、2色で表現することができます
- 原子や結合の透明度をサイト占有率に合わせて調整することができます
- 混合サイトの成分のランダム分布
- 原子と結合に元素名や結合距離のラベルを自動的に付けることができます。また、画像の中の自由な場所にユーザーが設定した文字列を書き込むことができます(日本語フォントは書き込めません)
- ポリヘドラ(多面体)の表示では下記のような細かい設定が可能です:
- 選択した1つの原子、または同じ種類の原子を中心として作成可能
- 配位子を選択して多面体を生成します
- オプション設定で多面体の透明度や表面の斜線の色や種類などを設定できます
- ポリヘドラ(多面体)の構築を強化しました:
- 原子と結合を選択(クリック)して角と境界を定義
- 境界を削除して、三角形をより高いポリゴンに増やす
- 同じサイトの原子間でポリヘドラ(多面体)の構造をコピー&ペースト
- 選択した原子を通る直線や平面、格子面の定義が可能
- 構造図内に原子へのベクトルを描き込むことが可能です。磁気能率などの表現に利用できます
- 酸化数や占有率(SOF:Site Occupation Factor)などの違いによって別の色を割り当てられます
- 全画面表示(ウィンドウフレーム付き、メニュー、ツールバー非表示)
アニメーション
- 構造図の動きについて:
- 構造を動かすモードの種類:
- X、Y軸に沿って回転、Z軸に沿って回転
- 水平方向、垂直方向に移動
- 拡大・縮小の変化(構造図の1Åを画面上で何cmにするか指定できます)
- 視点の位置の変化(遠近感の効果)
- 構造図の見た目を変化させる手段:
- マウス(回転などの操作をすばやく行えます)
- キーボード(キーを1回押すと角度を1度回転させる、などの細かい操作が行えます)
- 数値の入力(ダイアログに数値を入力して構造図を変化させることができます)
- スピン機能を使って、回転などの動きを加速させることができます
- 回転などの構造図の動きを止めるまでずっと続けさせることができます
- 構造を動かすモードの種類:
- 「Grab mode」: マウスカーソル下での原子のアークボール回転。マウスの右ボタンを押した状態での移動。マウスのホイールで拡大率を変更
- 「Walk-through」モードにすると、構造図に向かって視点を近づけ、さらに結晶構造や分子を通り抜けていくことができます
- 画面上で変化させた構造図の動きを、AVIファイルなどの動画ファイルとして保存できます
- 保存された画像から、あるいは単一構造の画像上でのアニメーションから、POV-Ray画像のシーケンスや動画を作成することができます
調査
- マウスのホイールボタンを使い、選択した原子に近接する原子や結合をハイライト表示することができます
- 粉末回折パターンの計算:
- 設定できる回折パラメータ:
- 放射光のタイプ:X線(実験室系、放射光施設)、中性子線、電子線
- 波長
- LP補正(Lorentz factor、Polarisation factor)
- 表示する2θの範囲
- プロファイル関数(Gaussian、Lorentzian、Pseudo-Voigt(擬フォークト関数))
- 回折パターン図の設定(図のスタイル、背景や軸やラベル、ラインの色を変えられます)
- ズームイン/ズームアウトと2θの範囲でのトラッキングによる反射パラメータの表
- 設定できる回折パラメータ:
- 距離と角度の計算(標準不確かさを含む):
- データ一覧の表の中で選択した原子の間の距離がわかります
- 構造図内でマウスで原子を選択して距離と角度の計算が可能
- 選択した同じ種類の原子間の距離をヒストグラムとして表示可能
- 距離、角度、ねじれ角をインタラクティブに計測可能(標準不確かさを含む)
- 幾何学的な応用的な測定機能として、以下の測定が可能です(標準不確かさを含む):
- 2つの平面間(hklまたは3つ以上の原子によって定義される平面間)の角度
- 2つの直線間の距離
- 平面の法線と別の直線との距離
- 平面または直線から、ある原子までの距離
- 複数の原子の中心(重心)座標
- 複数の原子の集まりの平面性または直線性(平面や直線から構成原子までの距離)
- 「プロパティパン」に以下の情報を表示できます:
- 構造図の内容(原子、結合、ポリヘドラがいくつあるか、など)
- 現在の「式の合計」は、原子グループに関連付けられた作成された原子の数を意味します。
- 構造図やプロパティパンで選択したオブジェクト(原子や結合など)についての情報(例えば、原子のパラメータリストなど)
- 選択しているオブジェクトについての情報を表として表示
- 選択した原子のまわりにある原子の距離
- 選択した2つの原子間の距離
- 選択した複数の原子の中心の座標(重心)
- 選択した原子の平面性と直線性、平面または直線からの原子の偏り
- 原子グループや原子のパラメータリストで原子グループ名を選択すると、そのグループに属する原子を一覧表として表示できます
- 結合グループ名を選択すると、そのグループに属する結合を一覧表示できます
- ポリヘドラの配位子、エッジ、表面の情報
- 選択した原子サイトのディリクレ境界
- 選択されたボロノイ多面体の隣接する原子と頂点