河川水理モデルを構築してみよう

地表流解析ソフトウェアSMSを使うと、河川水理モデルをグラフィカルに構築することができます。ここでは、SRH-2Dモデルでシミュレーションを行います。

SRH-2Dモデル(Sedimentation and River Hydraulics – Two-Dimension)は、河川システムの水理、堆積物、温度、植生を有限体積法で解析する二次元モデルです。

  • SRH-2Dは、特に二次元の影響が重要な問題に役立ちます。例えば、内部流、湾曲、滞留、水路、網状流路を伴う流れをシミュレーションできます。
  • 定常/非定常のシミュレーションが可能です。
  • 常流/射流/臨界流のシミュレーションに対応できます。
  • 水面の標高、水深、水深平均流速、マグニチュード、ベクトルを解析します。また、フルード数とせん断応力も出力されます。

例題について

  • アメリカ合衆国のオクラホマ州北部を流れるシマロン川について、堆積作用と河川水理のモデルを構築します。
  • サンプルデータには、既にポリゴンとメッシュが構築されています。本チュートリアルでは、サンプルデータに境界条件とマテリアル(河川/氾濫原/道路)を設定し、定常状態のシミュレーションを行います。

境界条件の設定

  • まず境界条件を設定します。境界条件は、モデルの流体力学的条件を決定します。
  • SRH-2Dでは、カバレッジiconに境界条件を設定します。このカバレッジはSRH-2Dシミュレーションの一部となります。
  • 本モデルでは、上流の境界条件に流入境界を設定し、下流に水面標高を設定します。

境界条件のアークを作成

カバレッジicon50 yrに境界条件を設定します。Create Feature Arciconツールを使って次の図のようにメッシュの左下に流入境界のアークを作成します。同様に、下流の端(画面右上)にもアークを作成します。


境界条件の設定

流入境界条件と流出境界条件を設定します。

  1. Select Feature arciconツールでアークをダブルクリックし、SRH-2D Assign BCダイアログを開きます。
  2. SRH-2D Assign BCダイアログで境界条件の設定を行います。
  3. 設定が終了したらOKをクリックしてダイアログを閉じます。

マテリアルのプロパティ設定

  • 自然界では、植生とメッシュの各エレメントの形状がこのエリアを通過する水流に対する抵抗となります。SRH-2Dでは、この抵抗をマテリアルタイプとして設定します。各マテリアルタイプには、それぞれのManning’s n roughness coefficientを設定します。
  • マテリアル範囲は、SRH-2Dマテリアルカバレッジにあるポリゴンを使って設定します。そのため、まずマテリアルカバレッジiconを作成します。
  • メッシュを生成するために河川、氾濫原、道路などのカバレッジを作成している場合、このカバレッジを複製してマテリアルのカバレッジとして使用できます。

マテリアルカバレッジの作成

  1. メッシュのカバレッジを複製して、iconSRH-2DにカバレッジiconMaterialsを作成します。
  2. iconMaterialsにマテリアルタイプを設定します。右クリックメニューから「Type>Models>SRH-2D>Materials」を選択します。Material Propertiesダイアログが開きます。

マテリアルリストの作成

SRH-2Dシミュレーションでは、Material Propertiesダイアログで関連付けされたマテリアルタイプを使用することができます。本シミュレーションでは、粗度の異なる3つのマテリアルタイプを設定します。

  1. iconMaterialsを右クリックして、メニューから「Material List and Properties」を選択します。ダイアログが開きます。
  2. Material Propertiesダイアログで下記の設定を行います。
    • Add Materialをクリックし、3つのマテリアルを作成します。
    • 各セルをダブルクリックして、マテリアル名(Name)と粗度係数(Manning’s N)をそれぞれのマテリアルに設定します。
    • 必要に応じて、マテリアルごとに色とテクスチャを設定することができます。
  3. 設定が終了したらOKをクリックしてダイアログを閉じます。

マテリアルポリゴンにマテリアルタイプを設定

マテリアルリストに設定したマテリアルを、各ポリゴンに設定します。

  1. Select Feature Polygoniconツールを使って、ポリゴンをダブルクリックします。Assign Materialダイアログが開きます。
  2. ポリゴンに設定したいマテリアルの行を選択して、OKをクリックします。
  3. 下図のようにすべてのポリゴンにそれぞれのマテリアルを設定します。

SRH-2Dシミュレーションの設定

  • SRH-2Dシミュレーションは、SMSのプロジェクトとは別のエンティティとして作成されます。シミュレーションのための個々のコンポーネントは、シミュレーションにリンクされます。また、モデルパラメータはシミュレーションに関連付けされます。

シミュレーションの作成

プロジェクトエクスプローラーの何もない部分を右クリックし、メニューから「New Simulation>SRH-2D」を選択します。新規のシミュレーションiconSteady Stateを作成します。
シミュレーション名は、モデラーを識別するために使用します。境界条件やマテリアルの状態などから、任意の名前を付けます(複数のシナリオでシミュレーションを行う場合に、区別できる状態にしておきます)。


コンポーネントの設定

シミュレーションにコンポーネントを追加し、設定を行います。

  1. iconI-35メッシュを右クリックし、メニューから「Apply to>SRH-2D Simulations→Steady State」を選択します。
  2. iconMaterialsとicon50 yrでも手順1と同様の操作を行います。
  3. iconSteady Stateにコンポーネントが追加されます。

SRH-2Dパラメータの設定

SRH-2Dのコントロールデータを設定し、モデルパラメータを設定します。

  1. プロジェクトエクスプローラーでiconSteady Stateを右クリックし、メニューから「Model Control...」を選択します。ダイアログが開きます。
  2. SRH-2D Model ControlダイアログのGeneralタブでパラメータの設定を行います。
  3. SRH-2D Model ControlダイアログをOutputタブに切り替え、結果の出力の設定を行います。
  4. 設定が終了したらOKをクリックします。ダイアログが閉じます。

SRH-2Dの実行

  • シミュレーションの実行には、「SRH-2Dファイルのエクスポート」「pre-processorの実行」「SRH-2Dの実行」「post-processorの実行」の4つのステップが関与しています。

下記の手順でシミュレーションを実行します

  1. プロジェクトエクスプローラーでiconSteady Stateを右クリックし、メニューから「Save project」を選択します。
  2. 番号を振り直す(renumbering)ダイアログが表示された場合は、「はい」をクリックして処理を続行します
  3. 3. 20秒前後の間に全シミュレーションが実行されます。

実行キュー情報の閲覧

  • シミュレーション実行についての情報は、Simulation Run Queueに表示されます。

進捗モニター

上の部分には、シミュレーション実行の構成とそれぞれの進捗が表示されます。シミュレーションが完了すると、すべてのバーが緑色(100%)になります。


PreSRH-2Dの実行

PreSRH-2Dの実行を確認します。

  1. Simulation Run Queueの「PreSRH-2D」をクリックすると下部に出力が表示されます。
  2. Command line欄を下までスクロールし、「==> SRH Processor is successfully executed」となっていることを確認します。

SRH-2Dの実行

PreSRH-2Dの実行を確認します。

  1. Simulation Run Queueの「SRH-2D」をクリックします。下部に出力が表示されます。
  2. Command line欄を下までスクロールし、「==> SRH is successfully executed」となっていることを確認します。

実行結果

Net Q Plotタブ

Mass Balanced Plotタブ

Wet Elements Plotタブ


Solutionのローディング

PreSRH-2Dの実行を確認します。

  1. シミュレーションが終了したら、Simulation Run QueueダイアログのCommand Line欄に完了のメッセージが表示されます。Load Solutionをクリックします。
  2. Closeをクリックしてダイアログを終了します。
  3. シミュレーション結果がSMSに出力されます。

より詳細な手順や設定方法は、ライトストーンユーザ様限定のコンテンツとして公開中です。

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