レーダーチャート

レーダーチャートはスパイダーチャートとも呼ばれ、複数のデータを一つのグラフに表示することにより、全体の傾向をつかむのに用いられるグラフです。試験結果や体力測定の結果等を表現するのによく使用されます。

どんな時に使う?

レーダーチャートが得意なのは、複数あるデータ項目を比較することです。データの項目数に応じて円の中心から放射状に線を引き、それぞれの線上に、データを表示します。そして、それらを線で結んで、その形状を見ることで、全体の傾向を表現できます。

次のレーダーチャートは、国内の主要国際空港において、2019年に日本へ訪問した韓国人と台湾人の数を表したものです。レーダーチャート内の2つの線をみて、「韓国人と台湾人で人気の空港が異なるようだ」ということにすぐに気付けます。これは、全体のバランスを表現できるレーダーチャートだから読み取れることです。

出典:法務省 出入国在留管理庁「出入国管理統計統計表」

このように、線で結ばれた面の「大きさ」と「滑らかさ」を比べてデータの大小やバランスを感覚的につかめるのがレーダーチャートの特徴です。上図と同じデータで棒グラフを作成するとどうなるか見てみましょう。

出典:法務省 出入国在留管理庁「出入国管理統計統計表」

棒グラフの場合、「関西空港が1番人気なようだ」ということはすぐにわかりますが、どうしてもデータの大小の比較に目がいってしまい、「韓国人と台湾人で人気の空港が異なるようだ」ということには気付きづらいことがわかります。

気を付けること

尺度が異なる場合

尺度の違うデータをそのままレーダーチャートにすると、いびつな形になり、バランスを表現することが難しくなることが多いです。そのような場合は、比率や偏差値などを計算してからレーダーチャートを作成します。

外に行くほど大きい(良い)データに

レーダーチャートは、通常、外に行くほど大きい(良い)データになるようにします。例えば、上の図2-2の体力測定の結果に50m走を追加する場合は、タイムが短いほど良いデータなので、そのままでなく逆数をとって「秒速」に直し、「データ値が大きいほど良い」データに変換するとよいでしょう。

データを重ねすぎないように

レーダーチャートの中には複数の線を描くことができますが、重ねて描きすぎると同じようなデータが並んだときに見づらくなるので注意が必要です。また、塗りつぶす場合は線が2~3本までにして、それ以上になる場合は塗らない方がわかりやすいです。

出典:文部科学省「食品成分データベース」

線が多い場合は、複数のレーダーチャートに分けることを検討するとよいでしょう。

出典:文部科学省「食品成分データベース」

なお、レーダーチャートの軸の数に相当するデータ項目数は4~8項目程度にしておくと見やすいです。

項目の並べ方で印象が変わる

レーダーチャートは、項目の並び順で見る人が受ける印象が大きく変わることがあります。例えば、以下の2つのグラフは同じデータを使用していますが、ずいぶん見た目が違います。

データ項目の並べ方で印象が異なるレーダーチャート

出典:酒蔵プレス「日本人の飲酒動向調査」

左図の場合は、突出した項目がすぐにわかりますが、右図のように値が大きいデータ項目から順に並べると項目間の値を比較しやすくなります。

また、似た項目どうしを近くに並べておくと偏りが表現しやすい場合もあります。下図の場合は、若い世代と中高年世代とで好みのお酒の種類が違うことが見て取れます。

似た項目どうしを近くに並べておくと評価しやすい場合も

出典:酒蔵プレス「日本人の飲酒動向調査」

この順番が良い、というものはありませんが、レーダーチャートを使って伝えたいことに応じてデータ項目の順番を決めると良いでしょう。

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