折れ線グラフは、時系列データをグラフで表現する目的で最もよく使われているグラフです。ここでは、折れ線グラフの使い方や作図上の注意点などを紹介します。
折れ線グラフが一番得意なのは、データの「推移」を表現することです。例えば、「時間」と「気温」のような関係のある2つのデータについて、変化のようすを表現するときに使用されます。
次のグラフは、1876~2020年の東京の年間平均気温を折れ線グラフで表現したものです。短期間で区切って見ると線が上下していて大きな変化がない場合でも、約150年分のデータの推移をみることで、明らかに平均気温が上昇しているとわかります。
また、折れ線グラフでは、複数のデータを一つのグラフに重ねて表現することもできます。棒グラフと比べ、データの種類が増えても見づらくなりません。
複数のデータを折れ線グラフとして作図する場合は、4、5本程度までがお勧めです。それ以上になると、見づらいグラフになってしまいます。
データが多い場合は、下図のように別のグラフに分けることを検討しましょう。また、データが複数あるときは必ず凡例を表示します。
なお、複数のグラフ並べて比較する場合は、正しく比較するためにスケールを統一します。
データ同士の差が大きいと、折れ線と折れ線の間が開きすぎてバランスが悪かったり傾向がつかめないことがあります。その場合は、軸破断を利用することで途中を省略して表現できます。
また、軸破断は、折れ線とゼロの線の間が開きすぎてバランスが悪い場合にも利用できます。
折れ線グラフの縦軸は0から始めるのが普通ですが、変化をみたい場合は必ずしも0で始める必要はありません。相対的に小さな変動が重要な意味をもつなら、スケールを変えて強調することもあります。ただし、スケールを変更することで、印象が大きく変わる場合があるので注意が必要です。
伝えたいメッセージに適したスケールを設定することが大切です。
時系列データの場合は折れ線グラフでの作図がお勧めですが、データが少ない場合は棒グラフを使う場合もあります。使い分けとしては以下のように考えるといいでしょう
これらの違いをうまく活かしたグラフが、次図のような平均気温と降水量のグラフです。気温は季節とともに少しずつ変化するので、「増えている(上がっている)」「減っている(下がっている)」というデータの変化を表現する折れ線グラフにしています。一方で、降水量は多い月と少ない月で差が大きいので、棒の高さで大小を比べやすい棒グラフで表現しています。
試しにグラフタイプを逆にして、平均気温を棒グラフ、降水量を折れ線グラフで表したものが下のグラフです。データの特性に合わせてグラフタイプを選ぶことで、変化のようすや大小の違いが、より伝わることがわかると思います