第7回学生論文コンテスト「光石賞」にご応募・ご提出いただきました皆様に、改めて御礼申し上げます。
厳正なる審査の結果、第7回「光石賞」学生論文コンテストの入賞者は次のように決まりましたのでご報告いたします。
慶應義塾大学
石井陽一郎 様、坂入雄毅 様、清水絢香 様、坪井拓斗 様、西村友里 様
受賞論文:「大学の都心回帰に関する実証分析‐大学の移転が志願者倍率や地域に及ぼす影響と地方創生に向けた政策提言‐」
熊本県立大学
北原夕貴 様
受賞論文:「学校外教育費支出の意識を覗く‐子供の教育格差は親で決まる?‐」
慶應義塾大学
石井陽一郎 様、坂入雄毅 様、清水絢香 様、
坪井拓斗 様、西村友里 様
「大学の都心回帰に関する実証分析‐大学の移転が志願者倍率や地域に及ぼす影響と地方創生に向けた政策提言‐」(PDF, 565KB)
この度は、光石賞という栄えある賞を受賞することができ、大変嬉しく思っております。本研究を進めるにあたって、指導教員である山本勲教授から、大変熱心なご指導ご鞭撻を賜ってきました。また、所属する研究会の学生からは、たくさんの有益な助言と励ましの言葉を頂いてまいりました。多くの皆様に支えられてきたからこその、今回の受賞だと存じます。この場を借りて、心より感謝いたします。 5人での共同執筆を進めるにあたり、万事順調ということは決してなく、時には停滞することもございました。しかし、5人だったからこそ、最後までやりぬくことができたのだと存じます。今回の経験と光石賞の受賞を糧とし、今後も日々精進を続け、少しでも社会に貢献できるよう努力してまいります。本当にありがとうございました。
左から順番に山本勲 先生、西村友里 さん、清水絢香 さん、坂入雄毅 さん、坪井拓斗 さん
留学中の石井陽一郎 さん
専修大学 商学部 大林 守 教授
大学の都心回帰を大規模パネルデータにより、都心回帰が志願者および志願倍率に与えた影響、さらに都心回帰が地域経済に与えた影響を分析した分析手法に隙のない、バランスの取れた光る論文である。
都心回帰による志願者増が個別に報告されてきたが、総合的かつ適切な推計手法により、志願者増・志願倍率への好影響は短期的であり、競合校の都心回帰により効果は消えてしまうことを明らかにしたものであり、合成の誤謬が起こっていると結論している。また、都心回帰が地域経済に与える悪影響を的確な手法で確認している。
さて、合成の誤謬と呼ぶか、Conjectural Variationと考えるか、あるいはゲーム理論的状況を背景に考えるかには議論の余地があろう。都心回帰をしなかった場合に志願者・志願者倍率が悪化する可能性があれば、増加効果がなくても行うという経営判断もありうるからである。また、立地再規制に肯定的であるが、それは本当に解であろうか。本論文の範囲を超える地域経済振興の問題とはいえ、少子化による大学経営悪化を考えると、地方大学経営破綻による地域経済への悪影響が否定できないからである。
熊本県立大学
北原夕貴 様
「学校外教育費支出の意識を覗く‐子供の教育格差は親で決まる?‐」(PDF, 319KB)
大学生活の集大成として必死に取り組んだ本研究が、準光石賞という素晴らしい賞を頂き、非常に嬉しく思っております。今回の論文コンテストの機会を設けてくださった、御社ならびにデータ提供をしてくださった、東京大学社会科学研究所附属社会調査・データアーカイブ研究センターSSJデータアーカイブ様には感謝しております。 本研究を進めるにあたって、分析方法の模索や、データの収集など様々な困難に直面し、分析結果と睨み合う日が続きました。しかし、同じゼミの仲間や先輩、後輩から多くのコメントや、ゼミ担当の本田先生による、高みを目指すためのご指導を頂いたことにより、今日の結果に至ることができました。 今回の経験を誇りとし、まだまだ成長していきたいと思っております。支えてくださった皆様、ありがとうございました。
専修大学 商学部 大林 守 教授
学校外教育に焦点をあて、保護者の意識と子供の能力に関して、アンケート調査の個票を利用し、興味深い結果を手に入れた論文である。
保護者の学校外教育費の分析では、子供に希望する学歴と親の持つ学校への不安感の2変数が学校外教育費を押し上げる主要因であることを発見している。加えて、子供の能力を数値化可能な認知能力と、性格や気質といった非認知能力に分類し、アンケート質問項目から代理変数を選択した順序付Probit分析の結果、学校外教育費増は認知能力にプラスであるが、非認知能力にはマイナスの効果を発見している。そして、共通の効果として、親のはたらきかけが能力向上に重要であるとしている。
データとして利用したアンケートは本分析のために行われたものではないことから、代理変数とすることの適正性を議論しはじめるときりがない。本論文が光るところは、テーマ選択のセンスと推計結果の解釈の妙である。