質的データ分析を始めよう

インタビューやアンケートの自由記述を分析する方法として、「質的研究」「定性的研究」「質的データ分析」「QDA(Qualitative Data Analysis)」といった言葉を聞いたことはありませんか?「実際に始めるのはハードルが高い」「参考書を読んでもよくわからなかった」というお悩みを解決するために、質的データ分析の概要についてまとめました。

最近流行りの「質的研究」「質的データ分析」ってなに?どんなことができるの?まっきゅすクンと一緒に学びましょう!

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MAXQDAの妖精
まっきゅすクン

質的データと量的データの違いは?

まず、質的データと量的データの種類を具体的に見てみましょう。

質的データ(定性データ)の例量的データ(定量データ)の例
フィールドノーツ、インタビュー記録、日誌、社史、議事録、小説、エッセイ、アンケートの自由記述回答、写真や絵画、音楽や映像、ブログやSNSへの投稿、企業理念 質的データの例 アンケートの選択式回答(サーベイデータ)、国勢調査データ、視聴率、内閣支持率、犯罪統計、企業の財務データ、株価チャート、体温・血圧などの測定値 量的データの例

いかがでしょうか?
量的データの本質は、すべて数値で表すことができます。
それに対して、質的データでは情報の本質が数値で表されません。そして、量的データにはない豊かな意味を内包しています。

質的データ分析とは?

質的データ分析は、その名の通り質的データを分析の対象とします。それでは、質的データを対象に研究すれば、質的データ分析と言えるでしょうか?
実は、テキストマイニングのように「出現する単語の種類と出現回数を数える」「ある単語と別の単語が同時に出現する(共起する)回数を調べる」といった分析は、量的データ分析に含まれます。

質的データ分析には、下記のような特徴があります。

  • 個人の主観的な世界、あるいはそれを支える構造的な条件を研究対象とし、主観的な意味世界を解明しようとするアプローチ(能智 2011)
  • 質的データから文脈を考慮に入れながら意味を読み取り、要素を体系化して概念モデルを構築する分析方法

複雑かつ構造的な意味世界を解明できるのが質的データ分析の強みです。

質的研究が活躍する分野

質的研究の具体例を見てみましょう。質的研究は、以下のような場合に強みを発揮します。

佐藤(2008b)の分類を元に具体例を作成

研究の進展状況からして数値化がまだ難しい場合

研究テーマ
子供が新しいことに挑戦する際に渋る原因は?
量的研究のアプローチ
子供が「やりたくない」と発言する回数や時間帯、年齢などの統計を取り、相関を見つける。
質的研究のアプローチ
保護者のインタビューを分析して、「やりたくない」に至る理由(「失敗したくない」「方法が分からない」「別のことに興味がある」「空腹や疲労などの身体的要素」)を調査する。

数値に還元することがほとんど意味を持たない場合

研究テーマ
ある疾患と患者が表現する症状の関係を分析する
量的研究のアプローチ
痛みを5段階で表現し、痛みの持続や回数のデータを数値化、標準化する。
質的研究のアプローチ
アンケートの自由記述回答から、「ずきずき痛い」「刺すような痛み」「痛痒い」などの数値化できない「痛みの質」を調査する。「歩きたくない」「眠れない」「物事に集中できない」など、痛みに起因する生活の質の低下も明らかにする。

質的研究は、看護の研究から発展し、医療、社会科学、教育学、人文学など様々な分野で広く行われています。近年は、マーケティングや工学などの分野でも活用されつつあります。

質的データ分析の理論

「インタビューを読んで論文を書くってどうするの?個人の感想になってしまわないかな?」
そんな声が聞こえてきそうですね。問いに対する答えを理論的に導くために、質的データ分析にも型やルールがあります。それぞれの分析の理論や手順を理解した上で分析を進めていきましょう。

代表的な分析方法

  • グラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA):文章を細かく分断した内容に具体的なコード(ラベル)を付けて、そのコードをさらにグループ化したりグループを関連づけたりすることで現象を表し、相関関係を調べる方法。
  • 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA):GTAに分析シートの利用を取り入れ、より実践しやすく修正した方法。
  • SCAT:M-GTAと同様に分析シートを利用する方法。4ステップのコーディングを行う点が特徴。
  • 混合研究法(mixed methods research):質的データ分析と量的データ分析の両方を取り入れた方法。質的データを人の年齢や性別などの量的データでグループ分けして比較検討することが多い。
  • その他:内容分析、会話分析、エスノグラフィー 等
質的研究法マッピング - サトウ(2019)より抜粋

サトウ(2019)より抜粋

質的研究のプロセス

質的研究は次のような流れで進めます。

  1. 「問い」の設定:「○○とは何か?」「○○とはどうなっているのか?」「○○の課題は何か?」
  2. データの収集:「問い」に従って適切なデータを収集する。インタビュー、アンケート、フィールドノーツ、SNSの投稿等
  3. データの分析:要素を体系化して概念モデルを構築する。
  • コーディング:データの一部について内容を解釈し、ラベル(見出し)を付ける。
  • カテゴリ化:「問い」を明らかにするために必要と思われるカテゴリを生成する。
  • 関係づけ:カテゴリ間の関係を考察する。
  • 結果の可視化:各事例の分析結果を表にまとめる、概念モデルを図式化する 等
  1. 論文執筆・発表

実際はこの順番通りに進むわけではなく、分析を進める中で「問い」の再検討や、コーディングの修正を行うことがあります!

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CAQDASの活用

質的研究では、研究の過程で分析対象のデータや研究メモ、引用文献など、膨大な量のデータが発生します。情報カードなどを使うアナログな分析方法では、情報の管理に手間がかかる、収納スペースが必要、データを検索できないなどの問題が起こってしまいます。

アナログな分析方法

そこで、質的データ分析のために設計された専用のコンピューターソフトウェア・CAQDAS(Computer Assisted Qualitative Data Analysis Software)を使うと、情報の整理や分析を効率良く進めることができます。

MAXQDA

MAXQDAマックスキューディーエーは、どの分析手法でも使いやすいように設計された、日本語完全対応のCAQDASです。膨大な量のデータを整理する、繰り返しコーディングを行う、データを俯瞰する、データの細部を引用するといった、質的データ分析に必要な作業を強力にサポートします。さらに、テキストマイニングなどの量的データ分析も併用できるよう、単語の計数機能や統計分析機能も搭載しています。MAXQDAを活用して、質的データ分析を快適に進めましょう。

MAXQDAの特徴

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研究者によって開発された30年以上の歴史あるソフトウェアです!
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ライトストーンユーザ様には日本語の無償テクニカルサポートをご提供!

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株式会社ライトストーンは、MAXQDAの正規販売代理店です。初めてMAXQDAをご利用される皆様を全力でサポートいたします。

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開発元・VERBI社(ドイツ)より日本語での技術サポート・サービスの提供が評価され、Certified Partnerに認定されました。引き続き、日本のユーザ様向けに役立つ情報を発信できるよう精一杯努めてまいります。

Certified Partnerが販売可能なライセンスおよびユーザ様に提供するサポートは次の証書の通りです。日本語でのウェビナー開催、メールや電話でのテクニカルサポートの提供、メールマガジンの配信、大学向けのサイトライセンスや学生版ライセンスの販売が許可されているのは、Certified Partnerのみとなります。

Certified Partner証書

参考文献

  • Creswell J.W.(2015) A Concise Introduction to Mixed Methods Research. Thousand Oaks, CA: SAGE Publications. 抱井尚子訳(2017) 早わかり混合研究法.ナカニシヤ書店
  • Glaser, G. Barney & Strauss, L. Anselm(1967) The Discovery of Grounded Theory: Strategies for Qualitative Research. Chicago: Aldine Publishing Company. 後藤隆・大出春江・水野節夫訳(1996) データ対話型理論の発見ー調査からいかに理論をうみだすか.新曜社
  • M-GTA研究会(2022) “M-GTAとは”.実践的グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)研究会.https://m-gta.jp/mgta.html,(参照 2022-12-05).
  • 大谷 尚(2022) “SCAT とは何か”.SCAT Steps for Coding and Theorization 質的データの分析手法.https://www.educa.nagoya-u.ac.jp/~otani/scat/index.html#02,(参照 2022-12-05).
  • 佐藤郁哉(2008a) 質的データ分析法:原理・方法・実践.新曜社
  • 佐藤郁哉(2008b) 実践 質的データ分析入門:QDAソフトを活用する.新曜社
  • サトウタツヤ(2019) 本書の構想.サトウタツヤ・春日秀朗・神崎真美(編)質的研究法マッピング:特徴をつかみ、活用するために.新曜社,2-8
  • 能智正博(2011) 臨床心理学をまなぶ6 質的研究法.東京大学出版会
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