ベイジアン時変係数VARを推定する

時変ベクトル自己回帰モデル(TVCVAR)は、時間変化と共に係数がスムーズに変化する非線形VARモデルです。EViews13ではベイジアンTVCVAR (BTVCVAR)の推定をサポートしています。BTVCVARは、ベイズ推定をあまり利用しない研究者の間でも良く用いられます。これは、BTVCVAR、それを必要とするモデルの収縮を誘発する便利な方法を提供するためです。このページは、EViews 13 ユーザーズガイドIIを参考に作成しています。


ベイジアン時変係数VARとは

  • パラメータが時間に依存せず一定であるというVARモデルの前提を満たすことが難しいことがある場合、一般的に、スイッチングVARや時変係数VAR(TVCVAR)が代替手段として考えられます。 EViews13ではこのTVCVARを、ベイズ推定を利用したベイジアンTVCVAR (BTVCVAR)が追加されました。時間ごとのインジケータ変数を設定すると、観測方程式は標本サイズに関わらず過剰定式化となってしまいますが、ベイズ推定によるTVCVARでは、事前情報を利用したモデルのシュリンクが可能です。
    グループオブジェクト

ベイジアン時変係数VARモデルの推定

操作方法

  1. サンプルファイルはC:\Program Files\EViews 13\Example Files\EV13 Manual Data\Chapter 47 - Bayesian Time-Varying Coefficients VAR Modelsにインストールされています。
    Chan and Jeliazkov (2009)のデータセットを用いて、EViewsでのBTVCVARの推定をデモンストレーションします。GDP、UNEMP(失業率)、INTEREST(金利)、INFLATION(インフレ率)を含む EViewsワークファイル”cj09.wf1”を開きます。ワークファイルのサンプル期間を、論文で使用している標本に合うように1948Q4 2009Q4に設定します。
  2. Quick > Estimate VAR...と操作し、VARモデルの推定ダイアログボックスを開きます。MethodドロップダウンリストでBayesian TVCVARを選択します。内戦変数にgdp, unemp, interest, inflationを選択します。1期のラグを指定するためLags for endogenousで"1 1"と入力します。
    グループオブジェクト
  3. OKをクリックして推定を開始します。EViewsはウィンドウ左下にサンプラの進捗状況を表示します。
    単位根検定の設定
  4. これをコマンド操作で行うには、コマンド欄で次を実行します。
    var myvar.btvcvar(nu1=7, nu2=6, size=20000, burn=1000, usemean) 1 1 gdp unemp interest inflation
  5. 次のように結果が表示されます。BTVCVAR の推定結果はスプールオブジェクトで出力されます。要約がトップに表示され、方程式ごとの係数の時間ごとの変化を表すグラフが続きます。
    単位根検定の結果
  6. BTVCVARは計算を高速化するため、デフォルトで信用区間の計算を行いません。表示オプションを変更するには、VARツールバーのEstimateボタンをクリックしOptionsタブを開きます。例えば30%信用区間を網掛け表示するには、Show credibility intervalsにチェックを入れ、Credibility levels0.3と入力し、OKをクリックします。
    単位根検定の結果
    単位根検定の結果
  7. BTCVARはデフォルトで事後分布における中央値を描画します。これを事後平均に変更する場合は、上記のダイアログボックスのPoint estimate type:ドロップダウンリストでPosterior meanを選択し、再度推定します。

インパルス応答

  1. インパルス応答を行うには、View/Impulse Response...と操作するか、VARオブジェクトツールバーのImpulseボタンをクリックします。BTVCVAR専用のImpulse Responsesダイアログが開きます。
    単位根検定の結果
  2. DisplayタブにはDisplay informationDisplay optionsの2つのセクションがあります。前者は通常のVARモデルで使用するものと同じです。後者はBTVCVAR特有のものです。Impulse dateフィールドに入力された日付における係数に基いてインパルス応答が作成されます。Impulse dateはデータ標本内の日付と同様でなければなりません
    単位根検定の結果 単位根検定の結果
  3. 計算結果は、一般的なVARと同じくTable, Mutiple graphs, Combined graphsの3種類で表示できます。ウィンドウ左のツリーで表示方法を変更できます。グラフに信用区間を追加するには、推定時と同じように、Show credibility intervalsチェックボックスにチェックを入れます。
    単位根検定の結果
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