EViews8

計量経済学と統計学に関する新機能:検定と診断

EViews 8では既存の診断と検定の機能に追加や改良を施しました。

複数のブレークポイントに対する検定

EViews 8では既存のChow及びQuandt-Andrewsの構造変化に対する検定機能を拡張し、複数のブレークポイントに対する検定を実行できるようにしました(Bai,1997;Bai and Perron, 1998,2003)。線形回帰モデルを最小二乗法推定し、未知で複数(最大値を指定)のブレークポイントに対する検定を行うことができるようになりました。

EViewsのサポートしている検定手法は次の通り:

  • 連続なL+1ブレーク対L個のブレーク
  • すべてのサブセットに対する連続検定
  • グローバルなL個のブレーク対ブレーク無し
  • L+1個のブレーク対グローバルにL個のブレーク
  • グローバル情報基準

レジーム毎にすべてのリグレッサが変化するピュアなブレークポイントだけでなく、特定の係数だけが変化する場合にも検定可能です。

multibreak

パネル系列相関の検定

EViews 8ではGMMにより推定したパネル推定式に対しては、その1次と2次の系列相関の検定をArellano and Bond (1991)法を用いて行います。 検定では1次と2次で統計値をそれぞれ算出します。イノベーションがi.i.dであれば、一次の統計値は負の自己相関係数で有意になり、2次の統計値は有意にはなりません。

abtest

パネル共和分検定

EViews 8ではパネルデータ用のグレンジャーの意味での因果性検定をサポートしました。

EViews 8には2つの異なるアプローチでパネルデータの因果性検定を行います。一つはパネルデータを大きなひとつのスタック型データとみなして通常の手順でグレンジャーの因果性検定を行うものです。もちろん、隣接するクロスセクションのデータのつなぎ目は適切に認識します。もう一つはDumitrescu-Hurlin(2012)を利用するもので、クロスセクションごとに係数が異なるという仮定のもとで、因果性検定を実行します。

GLMモデルにおけるHAC共分散

EViews 8はGLM推定によるモデルにおいて不均一分散と自己相関(HAC)に対応して共分散の計算をサポートしました。

ロバーストなワルドのF統計量

EViews 8は推定において堅牢な係数共分散の利用を選択した場合に、定数項以外の係数が同時にゼロであるという帰無仮説に対する堅牢なワルド統計量を算出します。

旧バージョンは帰無仮説の検定に残差を用いたF統計量のみを出力しました。旧バージョンのF統計量は係数推定値のみに依存し、標準誤差は考慮しませんでした。つまり、不均一分散や系列相関の無い場合にのみ利用できる統計量でした。通常の最小二乗法推定によって得られるF統計量(帰無仮説:定数項以外の係数はゼロである)は数値としてワルド統計量と同じ値になります。しかし、堅牢な標準誤差を用いる検定の場合、両者の数値は異なるものになります。

 

 

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