FlexPDEはスクリプトベースの有限要素法モデルビルダであると同時に数値演算に基づく偏微分方程式ソルバでもあります。すなわちユーザによって記述されたスクリプトを入力として、FlexPDEはまず偏微分方程式の記述を有限要素法モデルに変換、次にそれを解き、その結果をグラフィックスや表形式のデータとして表示します。
FlexPDEは問題解決用の統合環境でもあります。それは偏微分方程式を解くために必要となる一連の機能、すなわち
• | 有限要素法のメッシュを構築するためのジェネレータ |
をすべて含んでいます。スクリプトを作成、演算を実行し結果を確認、さらにスクリプトを編集し計算をやり直す --- このような一連の操作をFlexPDE環境の中ですべて行うことができます。
FlexPDEにはあらかじめ規定された問題領域があるわけではなく、また解法対象の方程式一覧が用意されているわけでもありません。どのような偏微分方程式を解くかはユーザが判断することです。
FlexPDEのスクリプト言語は自然言語と呼べるものです。通常の数学的記法を用いて偏微分方程式や問題領域の規定を行うことができます。
例えばスクリプト中のEQUATIONSセクションでラプラス方程式を記述する場合には次のように入力します。
Div(grad(u)) = 0
同様にスクリプトのBOUNDARIESセクションで2次元の矩形領域を規定する場合にはその周囲をなぞる形で次のように指定します。
Start(x1,y1) line to (x2,y1) to (x2,y2) to (x1,y2) to close
このようなスクリプト形式を用いることのメリットには次のようなものがあります。
• | スクリプトによって方程式の系や問題領域が厳密に規定されます。問題固定型のシステムに良く見られるようなあいまいさは全くありません。 |
• | 新たな変数や方程式、条件等を自由に追加することができます。従って特定の損失条件や物理的効果を表現できないといった問題は生じません。 |
• | 多様な問題がFlexPDEという一つのプログラムによって解決できます。問題ごとに別個のプログラムについて学習し直すといった煩わしさはありません。 |
スクリプトモデルには次のような副次的効果もあります。
• | ユーザは対象とする問題を数学的な形式で記述できなくてはなりません。
教育環境においてこれは良いことと言えます。学生はまさにそれができるようにならなくてはならないからです。
産業界においては特定の精通したユーザがスクリプトを用意し、それを一般ユーザが利用する、あるいは修正して利用するといった形態が考えられます。またアプリケーションスクリプトのライブラリは貴重な資産となるでしょう。 |
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