現実的な問題の取扱いが難しい理由の多くは、偏微分方程式中に含まれる係数が材質ごとに異なる値を持つという事実に起因します。
FlexPDEではこの点に対応するために2つの機能が用意されています。第1のスキームとして、材質パラメータにはDEFINITIONSセクションで名称とデフォルト値が与えられます。第2のスキームは材質パラメータに対してREGIONごとに固有の値が設定できるという点です。
これまでの議論においては対象としている問題が熱流体の問題なのか静電気の問題なのか、はたまた全く別の問題なのかによってほとんど違いは生じませんでした。しかしこれからの議論を具体的なものとするために、ここでは熱流の問題にフォーカスすることにします。すなわち熱源の間に熱伝導体(conductor)が置かれ、かつその中に非伝導体(insulator)が埋め込まれているモデルを想定します。円形のinsulatorに対しては熱伝導率0.001を、一方、周囲のconductorに対しては熱伝導率1を仮定することにしましょう。
まずDEFINITIONSセクションにおいてパラメータ名"k"とデフォルト値1を設定します。
DEFINITIONS
k = 1
それぞれのリージョン中でその値が再設定されない限り、このデフォルト値が"k"の値として使用されます。
このパラメータを偏微分方程式の中に導入します。
EQUATIONS
Div(-k*grad(phi)) = 0
次にRegion2(insulator)中でのパラメータ値を設定します。
...
REGION 2 'blob' { the embedded blob }
k = 0.001
START(1/2,0)
ARC(CENTER=0,0) ANGLE=360
Region1(conductor)においてk = 1という設定を明示的に入れておいても構いません。あいまいさを減らす上では有効です。
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