FlexPDEには種々のデータエクスポート機能が用意されているので、そのデータを他のアプリケーションや視覚化ソフトで利用することが可能です。
EXPORT 修飾詞
最も簡単な方法はプロットコマンドに "EXPORT" または "PRINT" という修飾詞を付加することです。この場合、プロットデータは既定の様式でテキストファイル中に出力されるため、table入力機能を使った他のFlexPDEプログラムでそれを利用することができます。ELEVATIONS または HISTORIES の場合、出力は時刻、あるいはX-, Y-, Z-座標値のリストにデータ値のリストが続く形となります(table入力機能の項を参照)。2次元プロットの場合、等間隔の矩形グリッドが構成され、データはtable入力形式で出力されます。
FORMAT ストリング
EXPORT 修飾詞によって生成されるテキストファイルの様式は FORMAT "string" という修飾詞を含めることによって制御できます。
この修飾詞が EXPORT や PRINT 修飾詞と共に使用された場合、ファイルにはグリッドの各点ごとに1行のテキスト行が挿入されます。行の内容は <string> によって指定されたものとなります。
• | "#" を除くすべての文字はそのまま出力行にコピーされる。
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• | "#" はエスケープ文字として解釈され、種々のオプションが "#" に続く文字によって選択される。
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#x, #y, #z 及び #t はデータ点の空間座標値、時間座標値を出力する。
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#1 から #9 はプロット関数リスト中の対応する要素の値を出力する。
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#b はタブ制御文字を出力する。
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#r は残りのフォーマットストリングをプロットリスト中のプロット関数ごとに繰り返すことを指示する。
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繰返しのストリング内での #i はプロット関数リスト中での現行要素の値を出力する。
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用例については "export_format", "export_history" を参照ください。
FORMAT指定のエクスポートの場合、ファイルの出所に関する情報がヘッダとして出力されます。ヘッダは "{" と "}" によって仕切られます。2次元のグリッドにおいては、テーブル中でドメイン外の点についても { } が付加され、外部の点であることが示されます。これらのコメント形式がインポート側のアプリケーションにとって不都合な場合には、データファイルを手で編集してください。
テーブル出力
テーブル形式のエクスポートファイルを生成するには table プロットコマンドを使用することもできます。このコマンドは EXPORT 修飾詞付きの CONTOUR コマンドと等価ですが、グラフィック出力を伴わない点が異なります。テーブル出力の場合にも FORMAT "string" 修飾詞を使用できます。
他のFlexPDEプログラムへのデータ転送
FlexPDEは有限要素メッシュ上で定義されたデータを直接転送する機能も備えています。TRANSFER 出力機能は現状のメッシュ構成と指定されたデータ値をASCIIテキストファイル中に出力します。別のFlexPDEプログラムからは TRANSFER 入力機能を用いることによってこのファイルを読むことができます。転送されたデータは作成元の基底関数を持った出力メッシュ上に補間されます。TRANSFER 入力メッシュは必要な領域をカバーできる限り計算用のメッシュと同一である必要はありません。
TRANSFER ファイルのデータ形式は TECPLOT ファイル(下記参照)と同様です。しかし TRANSFER ファイルの場合には計算に際しての2次式、3次式基底関数が保持されるのに対し、TECPLOT ファイルの場合には1次式の基底関数に変換されてしまいます。通常のASCIIテキストファイルなのでユーザアプリケーションとのデータ転送にも利用できます。TRANSFER ファイルのデータ形式についてはコマンドリファレンスマニュアルを参照ください。
視覚化ソフトへの出力
FlexPDEはthird-partyの視覚化ソフトに対するデータエクスポート機能をサポートしています。データのエクスポートはプロットコマンド中で指定しますが、その場合、CONTOUR等のプロットタイプを指定する項でエクスポート様式を指定することになります。現状 CDF, TECPLOT, VTK の3種類に対応しています。
CDF
CDF(arg1 [,arg2,…] ) という指定の場合、netCDF v3 の形式が選択されます。CDFは "common data format" の略であり、SlicerDicer (www.visualogic.com ) 等、いくつかの製品によってサポートされています。CDF、及びそれをサポートするソフトウェア製品の一覧については www.unidata.ucar.edu/packages/netcdf をご参照ください。
CDFデータは等間隔の矩形メッシュに制限されるため、不等間隔のドメインの場合には一部の矩形が欠落する場合があります。そのため材質境界の定義情報が抜け落ちたりすることがあります。細部の解像度を維持するためにはドメインに対するZOOM指定を検討ください。
CDFプロットステートメントに対しては ZOOM あるいは "ON SURFACE" という修飾詞を付加することができます。またメッシュ密度は POINTS 修飾詞によって制御できます。グリッドサイズをグローバルな形で制御するには "SELECT CDFGRID=n" というステートメントを使用してください。これによってグリッドサイズはすべてnにセットされます。デフォルトのグリッドサイズは50です。
引数の数に制限はなく、そのすべてが同一ファイル上にエクスポートされます。出力ファイルのデフォルトは "<problem>_<sequence>.cdf" ですが、FILE 修飾詞を使えば特定のファイル名称を設定することもできます。
TECPLOT
TECPLOT(arg1 [,arg2,…] ) という指定の場合、TecPlot形式での出力が選択されます。TecPlotは有限要素法のデータ形式をサポートした視覚化ソフトであるため、FlexPDEで定義された材質境界が保持されます。このため ZOOM とか POINTS の制御は特に使用する必要はありません。計算メッシュ全体が材質番号でグルーピングされた形でエクスポートされます。TecPlotではこれらのグループを有効にするかどうかが選択できます。引数の数に制限はなく、そのすべてが同一ファイル上にエクスポートされます。出力ファイルのデフォルトは "<problem>_<sequence>.dat" ですが、FILE 修飾詞を使えば特定のファイル名称を設定することもできます。
TecPlotに関する情報については www.amtec.com をご参照ください。
VTK
VTK(arg1 [,arg2,…] ) という指定の場合、Visual Tool Kit形式での出力が選択されます。VTKはフリーの視覚化ソフトであり、多くの視覚化ソフトの基盤として採用され始めています。このファイル形式は VisIt (www.llnl.gov/visit) のようなVTKをベースとしていない一部のソフトでも読むことができます。この形式でも有限要素法のメッシュ構造は保持されるため、FlexPDEで定義された材質境界も保持されます。このため ZOOM とか POINTS の制御は特に使用する必要はありません。計算メッシュ全体がエクスポートされます。ただし視覚化ソフトの機能の中にはFlexPDEで制御できないものもあります。引数の数に制限はなく、そのすべてが同一ファイル上にエクスポートされます。出力ファイルのデフォルトは "<problem>_<sequence>.vtk" ですが、FILE 修飾詞を使えば特定のファイル名称を設定することもできます。
VTK形式では2次式の基底関数をサポートしていますが、3次式には対応していません。3次式の基底関数に基づく計算結果をエクスポートする場合には VTKLIN を使用してください。
VTKLIN(arg1 [,arg2,…] ) によって生成されるVTK形式のファイルでは、FlexPDEの計算用セルが1次式の有限要素法セルに変換されています。
VTKに関する情報については public.kitware.com/VTK/ をご参照ください。
用例については以下を参照ください。
• | Samples | Misc | Import-Export | Export.pde |
• | Samples | Misc | Import-Export | Export_Format.pde |
• | Samples | Misc | Import-Export | Export_History.pde |
• | Samples | Misc | Import-Export | Transfer_Out.pde |
• | Samples | Misc | Import-Export | Transfer_In.pde |
• | Samples | Misc | Import-Export | table.pde |
Note:
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他社製品への言及があったからといってそれは PDE Solutions Inc. のエンドースメントを意味するものではありません。
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