2015 Japanese Stata Users Group meeting

 

日本のStataユーザの皆様の交流を促進し、情報交換を活発にすることを目的としたStataユーザ会「Japanese Stata Users Group Meeting」の第2回目を、2015年8月28日(金)に開催いたしました。 多くの方にご来場いただきまして誠にありがとうございました。
後日当日の様子を写した写真等を掲載する予定です。

 

 

発表タイトル / 発表者プロフィール

経済・医療の各分野の第一線で活躍されている研究者様方の御登壇を予定しております。

午前発表:[医療]
「Estimating survival-time treatment effects from observational data」
---喫煙習慣は心臓発作の再発間隔にどの程度の影響を与えるのか?---

Stata Corp, Director of Econometrics, David M.Drukker

観測データを利用した処置効果推定に、潜在的なアウトカムの存在を仮定する基本的な方法を確認した上で、Stata14で新たに追加された生存時間をアウトカムとする平均処置効果の推定法と、処置の割付が内生的に決まる場合の、新しい平均処置効果推定法を紹介します。 また、分位点処理効果に関する、新しい研究成果についても言及します。

発表のポイントをまとめた事前資料(PDF)をこちらからダウンロードできます。発表をお聞きいただく前にぜひともご覧ください。

 


発表1-1:「Stataによるデータ・マネージメント」 [全般]

慶應義塾大学 産業研究所 准教授 松浦寿幸 様

専門分野:応用経済学

松浦様Stataの強みは、多様な統計分析手法が利用可能であることのみならず、データ構築から分析、分析結果の出力までを一貫して行える点にあると言える。特に分析結果の出力については、他の統計分析パッケージより利便性の高いコマンドや、User Written Programがいくつも開発されている。本報告では、普段あまり重視されない、データ読み込み・加工、分析結果の出力の様々なテクニックやコツを紹介しながら、分析全体の効率化のためのスキルを解説する。

 


発表1-2:「サンプル脱落がもたらす推計バイアスに関する考察」[経済]

群馬大学 社会情報学部 准教授 坂本和靖 様

専門分野:労働経済学

坂本様 本研究では、同一対象を複数時点に渡って調査するパネルデータにおける途中脱落が推計に与えるバイアスについて分析することを目的とする。パネルデータは、クロスセクションデータ、時系列データと比べて、情報量が多く、有用性が高いデータである。しかし、パネルデータにも問題点がないわけではない。それは、同一個人を調査対象としているため、途中時点で回答を拒否された場合、代わりに他の対象者(予備サンプル)に調査を行うことができない点である。 対象者がランダムに脱落するのであれば問題ないのだが、脱落過程が観察可能な変数や、脱落時点以降の変数、調査では観察しえない変数などに規定されている場合は、脱落が推計に及ぼす影響は看過できない。本発表では、脱落対象の特徴に関する考察に加え、それらの情報を活かしたInverse Probability Weighting法による推計や、回答継続過程における仮定を緩めたBounds推計などを用いて、推計バイアスに関する考察を行う。

 


発表1-3:「日本の所得分配と経済成長に関する実証研究」 [経済]

龍谷大学 経済学部 准教授 大山昌子 様

専門分野:マクロ経済学、計量経済学、労働経済学

大山様本研究では、Stataを用いたSYSTEM GMM 推定等によって、所得分配が経済成長に与える影響に関する実証研究を行った。用いたデータは、日本の都道府県別パネルデータである。所得分配の指標として、ジニ係数、第3五分位の所得シェア、所得が最も多い十分位の所得シェア/第5十分位の所得シェア、所得が最も少ない十分位の所得シェア/第5十分位の所得シェアを用い、その多くで、所得分配が平等な方が経済成長が高くなるという結果を得た。

配布資料(PDF、560KB)をこちらからダウンロードできます。

 


発表1-4:「信用リスクのマクロストレステスト-モデルとインプリメンテーション」[経済]

神奈川大学 経営学部・経営学研究科 准教授 菅野正泰 様

専門分野:金融・ファイナンス

菅野様本研究では、信用リスクのマクロストレステスト実施において、監督当局より提示されるマクロストレスシナリオを自社の信用ポートフォリオリスク計量モデルのリスクパラメーターに変換するためのデフォルトリスク・モデルと、その実装法を提案する。このモデルは、個社の財務変数の他に、マクロ経済変数と潜在変数としての業種変数を説明変数として考慮し、個社の財務指標・マクロ経済指標のパネルデータ・時系列データを使用する。変数の推定では、多重積分を含む尤度関数を最尤推定法により同時推定するアプローチを採用する。また、推定した変数から、リスクパラメーターおよびストレスVaR (Value at Risk)を予測する方法について説明する。

 


発表1-5:「カルマンフィルターのファイナンスへの応用」 [経済]

早稲田大学 大学院ファイナンス研究科 教授 森平爽一郎 様

専門分野:リスク管理

森平様カルマンフィルターは未知の状態変数の確率的な振る舞いを推定する時系列分析手法として工学の分野でその理論と応用研究が盛んに行われてきた。お掃除ロボットや監視カメラの画像解析などはその身近な適用事例である。経済学への適用は、1970年代から行われて来たが、ファイナンスへの応用が盛んに成ったのは最近のことである。STATAではV11より初めてカルマンフィルターが利用可能になった。この報告では、ファイナンス分野でカルマンフィルターの適用事例のサーベーを行うとともに、先物価格からの未知の現物資産価格の推定方法、リスク回避度やインフレ期待などの未知の状態変数の推定、大震災や原発事故が企業のリスクにどのような影響を与えたかをリアルタイムで測定する方法、など幾つかの実際例について報告をする。

 


発表2-1:「平成23年国民生活基礎調査-国民健康・栄養調査-
歯科疾患実態調査のデータリンケージ状況と性・年齢の不一致について」 [医療]

国立保健医療科学院 統括研究官 安藤雄一 様

専門分野:疫学

安藤様平成23年に行われた歯科疾患実態調査の対象者は、同年の国民健康・栄養調査と国民生活基礎調査の対象者でもあり、個人レベルでのリンケージが可能である。これらの政府統計の個票データを目的外利用申請し、提供された固定長テキストデータを読み込んだ後、個人IDによるレコードリンケージを行い、リンケージできなかった割合を確認した。さらに各調査間の性および年齢の不一致状況も併せて確認した。これらの作業は、すべてStata上で行った。

 


発表2-2:「途上国における医療保険非利用の分析--不完全操作変数法の応用」 [経済]

京都大学大学院 経済学研究科 准教授 高野久紀 様

専門分野:開発経済学

高野様近年、発展途上国において、貧困層の経済的脆弱性の改善、医療サービスへのアクセス改善を目的として、医療保険を無償、あるいは割引価格で提供する試みが増えてきている。しかし、医療施設などの供給側のキャパシティに限界がある中で医療保険提供によって需要のみを増やしたことにより、一部の医療施設が混雑し、保険利用者に差別的待遇が行われ、結局保険が利用されなくなるケースも報告されている。本研究では、ベトナムにおける家計の医療保険利用のデータから、最も質の高い中央病院において保険利用が困難になっていることを明らかにする。家計は医療保険の利用可能性を予測しながら病院選択をしているという内生性の問題に対処するため、不完全操作変数法を用いてパラメータの下限を推計した。また、報告内では、プログラミングエラーを減らすためのマクロ活用、論文やスライドの作成に有効なLatexとの連携についても紹介する。

 


発表2-3:「Stataを用いたデータ管理法」 [医療]

自治医科大学 企画経営部医療情報部/臨床研究支援センター データセンター部門
准教授 興梠貴英 様

専門分野:ゲノム生物学、臨床疫学、統計科学

興梠様日本で行われた研究者主導の臨床試験に疑義がつき、不正が明らかになって全ての関連論文が撤回されてから数年が経つ。大学の内部調査により、最終的にはデータ操作を伴う不正があることが報告されたが、学会が調査を求めたきっかけは単純ミスと思われる異常値であった。ミスの詳細は報告されていないが、原因としてはデータ管理が不十分であったことが疑われる。これは日本においては介入を伴う臨床試験であってもデータ管理が十分な精度で行われていない場合があることを示すものであるが、いわゆる観察研究においては今日でもデータ管理が不十分である例が散見される。本発表においては上記のような日本の臨床試験の問題点及びStataを用いたデータ管理を紹介する。

 


発表2-4:「生存分析を用いた予後予測モデル:未破裂脳動脈瘤の3年後の破裂可能性」
[医療]

京都大学大学院 医学研究科 社会健康医学系専攻 健康情報学分野
富成伸次郎 様

専門分野:医学

富成様患者の属性・症状・検査値などの臨床情報を予測因子として、ある疾患の存在や予後を推測する予測モデルは、臨床家と患者の意思決定をサポートするツールとして用いられる。本研究では、日本の未破裂脳動脈瘤患者の大規模コホートのデータを用い、脳動脈瘤の破裂可能性予測モデルの作成と提示を行った。
モデルはCox比例ハザードモデルなどの生存分析を用いて作成し、さらにモデル作成に用いたデータ(derivation data)とは別の外部のデータ(validation data)を用いて、妥当性の検証を行った。完成したモデルは臨床で簡便に用いることができるよう、各予測因子を整数値でスコア化し提示した。一連の解析を、Stataを用いて行ったので紹介する。また本年1月に発表された、予測モデルの報告の質を改善するためのガイドラインであるTRIPOD声明の関連するポイントにも言及する。

 


発表2-5:「九州大学の医学分野及び多施設協同臨床研究における Stata の利用状況」[医療]

九州大学病院メディカル・インフォメーションセンター 講師 徳永章二 様

専門分野:医学統計学、疫学

徳永様九州大学内では少人数ではあるものの Stata のヘビーユーザーが、臨床試験及び観察疫学研究、ゲノム疫学、社会疫学の分野で Stata を利用し、過去10年間に限っても100編以上の論文を出版してきた。統計解析だけでなく、研究デザインのコンサルテーションにおいても活用されている。上記の分野での Stata 利用の現状や学内の研修の状況を報告する。また、臨床研究において研究コンセプトと研究デザインの議論から統計解析及び図表作成までの流れの中で Stata がどのように使われているかを説明する。

 


ランチョンセミナー:「Stataによるベイズ統計」[全般]

株式会社ライトストーン

Stata14 に新たに追加されたベイズ統計の機能とはどういうものなのか。
ランチョンセミナーでは次の要領でベイズ統計による分析機能の概略をご案内いたします。

  • ベイズ統計により広がるデータ分析の世界 - ベイズ統計の考え方と具体的な利用方法
  • ベイズ統計の約束事 - MCMC によるシミュレーションとその収束判定
  • 自分のものにするために - 継続的な学習方法のヒントの紹介

 


 

Call for Presentation

Stataユーザグループミーティングにおけるプレゼンテーションを募集しておりましたが、人数の上限に達しましたので募集を締め切りました。

ご応募いただきましてありがとうございました。

更新情報

  • 無事に終了しました。後日、当日の様子を掲載する予定です。(2015/8)
  • 参加お申込みの受付は終了しました。(2015/8)
  • 開発元StataCorp.の発表の事前資料を公開しました。概要のページでダウンロードいただけます。(2015/8)
  • 発表タイトルと概要に開発元StataCorp.の発表とランチョンセミナーを追加しました。(2015/8)
  • タイムテーブルと司会者を公開しました。(2015/6)
  • 発表タイトルと概要を公開しました。(2015/5)
  • 発表者を公開しました。(2015/4)
  • 参加申し込み受付を開始しました。(2015/4)
  • プレゼンテーションの募集を締め切りました。(2015/4)
  • プレゼンテーションの募集を開始しました。(2015/3)
  • 北村行伸 様のご挨拶を公開しました。(2015/3)
  • ページを公開しました(2015/3)

 

Stata is a registered trademark of StataCorp LLC, College Station, TX, USA, and the Stata logo is used with the permission of StataCorp.

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