EViews ユーザ事例 第5回
EViewsを使って誰でも「エコノミスト」になれる時代!?(2)

日本経済研究センター 飯塚 信夫氏 / 明治大学 加藤 久和先生

細かいところでつまずかないように配慮

―― 本の中でのお二人の役割分担は?

【飯塚氏】
前半部分は私です。モデルなどの後半部分は加藤先生があっという間に原稿を完成させてしまいまして・・・。私があれこれ表現方法や理論の説明の方法に悩んで出版が遅れました。

【加藤先生】
マクロ計量経済モデルは官庁などでまだまだ使われているのですが、どの計量経済学のテキストを見ても、入り口のところで終わっていることが多いのです。モデルの解き方や、ガウス=ザイデル法の話題がまったく触れられず、IS-LMの簡単な紹介だけが載っている。だから、いつかはマクロ計量モデルの話を書きたいと思っていました。一般の人たちがモデルを作って、シミュレーションができるところまで書けないかなと思っていたのです。EViewsでモデルを扱うことができることはわかっているが、具体的にどういうふうにして解いているのかという背景がわからないし、モデルはどういうふうに組み立てればいいのかわからない。そこまで書きたかったということが、この本のインセンティブでしたね。


―― ライトストーンでもこの本を教科書として使う講習会(基本操作編2「EViewsによる経済予測とシミュレーション」)を行っています。これまでは1日で終わらせていたのですが、これを1回で終わらせてしまうのはあまりにも惜しいということで、今年度からは土曜日の午前中3時間を使って2週連続で行う構成に変えました。これぐらい時間あると、操作を普通にメニューから実行する部分もできますし、本の中にあるプログラムをやってみようという部分もやるゆとりができます。この本は、私どものところに講習にいらっしゃる方にはかなり頼りにされていますよ。

【加藤先生】
ありがたいですね(笑)。

【飯塚氏】
いまお話しいただいたプログラムのところですけれど、本の中の「データを取り込むときにここに注意」という項目は、私の日ごろの業務、経済研修の経験から生まれています。

研修生にも様々なタイプの人がいます。パソコンに慣れている人も不慣れな人も。それで、いろんなトラブルが出てくるんですよ。「マニュアル通りにやったのにこんなエラーが出るんですけど…」と。例えば、当センターで使用している日経NEEDSのデータベースからデータを持ってくると各データの季節調整値に「@」マークがついていて、そのままデータをEViewsのワークファイルで使おうとするとエラーになるのです。

当初は、このような細々したものまで本に載せるつもりはなかったのですが、あまりにも頻出するので、実際に初めて使われる方は引っかかるんだろうなあと思って付け加えました。プログラムの部分でも、もっとうまい方法とかきれいに書く方法もあると思いますが、初心者の方でも抵抗がなく書けるようなプログラムにするなどの工夫をしたつもりです。

書籍の出版に大きな反響!

【飯塚氏】
この本を作ってよかったと思うのは、今まで存じ上げなかった先生方から声をかけられる機会が増えたことですね。例えば、この本を教科書として使いたいけれど、中で使っているデータが欲しいとか。   鉱工業生産指数などネットで自由に取れるデータばかりなので自分で構築もできるんですけれど、本と同じデータで下さいというんですね。そのデータを使って学生にやらせて本の通りになったかどうかチェックしたいと…。そこで(本に)間違いが見つかったりしたら怖いですよね(笑)。

【加藤先生】
EViewsのワークファイルを下さいといわれると、そのまま渡して、大丈夫かなと考えますね。自分でもう一度確認して、ちょっとでも違ったらどうしようとか思いますね(笑)。

【飯塚氏】
ドキドキしますね(笑)。この前もTSPの入門書である『TSPによる経済データの分析』で有名なあの和合肇先生から、とある研究会でお目にかかった際に、「この前、飯塚さんが書かれた本。学部生の授業にちょうど良さそうなのですよ。授業に使いたいので、テキストで使われているデータをいただけませんか」って。「ええっ、僕なんかの本でいいんですか」と。恐れ多くて。

【加藤先生】
僕は大学院のときに和合先生の計量経済学の授業を受けました。しかも、TSPのことをよく存じ上げているので、その話を聞いたときに「とうとうEViewsはTSPを凌駕したか」と正直思いました(笑)。時代が変わったなあと。

【飯塚氏】
それは言いすぎかもしれません(汗)。和合先生のレジュメを拝見すると、もちろんTSPの御著書も掲載されています。TSP自体、使い勝手をより良くするための工夫がどんどんなされているようです。EViewsもうかうかしてられないですよ(笑)。


全員がEViewsや計量経済学の教育に深く関わっているため、
共感することも多かったようです。話は多方面にわたって盛り上がりました。

page_top_icon