EViews ユーザ事例 第5回
EViewsを使って誰でも「エコノミスト」になれる時代!?(1)

日本経済研究センター 飯塚 信夫氏 / 明治大学 加藤 久和先生

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日本経済研究センター
研究統括部主任研究員
飯塚 信夫氏

 

明治大学
政治経済学部 教授
加藤 久和先生

論文・書籍・発行元

・「どうなる日本の将来」、小峰隆夫・日本経済研究センター編『超長期予測 老いるアジア』第7章、2007年など(飯塚氏)

・「社会保障の規模と政府の役割-国際比較からのアプローチ」、『季刊社会保障研究』、国立社会保障・人口問題研究など(加藤氏)

今回のユーザ訪問インタビューは、EViewsユーザにはおなじみの書籍『EViewsによる経済予測とシミュレーション入門』の著者お二人と、ライトストーンのEViews講習会で講師を担当していた高 英模の対談です。

EViewsに深く関わっているこの3人が、EViewsや計量経済学の勉強法などについて熱く語り合いました。EViewsユーザにとって興味深い情報が満載です! さらに、話はEViewsを通してさまざまな方向に広がり、大変興味深い対談になりました。

苦労した経験がEViewsの教科書に

―― 飯塚さんは10年前まで新聞記者だったそうですね。どのような経緯でEViewsと出会ったのですか?

【飯塚氏】
私が現在、勤めている日経センター(日本経済研究センター)ではこれまで40年以上、経済予測や経済分析の研修を行っています。具体的には、内閣府や日本銀行から出向しているチーフエコノミストと、会員会社から派遣された研修生、当センターのスタッフが一緒に経済予測や分析を行い、世に問うことで「経済を見る眼」を養っていただくことを狙っております。研修生OBには、第一線のエコノミストとして活躍している方々が多数います。私たちスタッフは、研修生の学習をサポートしつつ、自身でも研究・分析をする立場にあります。

私は1999年に日経センターに出向し、初めて経済予測の世界に飛び込みました。しかし、それまでは13年間、ずっと新聞記者。大学で専攻したのも政治学なもので、計量経済学を学ぶのは初めての経験。最初は教えるどころではありませんでした(笑)。

出向して1~2年経ったころだったと思います。所内で計量分析ソフトを入れ替えようという話が持ち上がりました。その際、内閣府から出向していたチーフエコノミスト(杉原茂氏:現・内閣府経済社会総合研究所景気統計部長)が「使いやすい」と推薦されたのがEViewsでした。

それまで使っていたソフトは、私のような「ど素人」(笑)には少々扱いづらいものでした。一方、EViews(当時はVer3.0だったと思います)はGUIなのでとっつきやすそうでした。専門家であるチーフエコノミストの勧めもあり、コスト的にも高くない。それで、EViewsをやってみようということになりました。
しかし、当時はEViewsについての本といえば松浦先生とマッケンジー先生の『EViewsによる計量経済分析』しかなかったかと思います。きちんとした本ですが、初心者にはとっつきにくいものでした。一方、EViewsのマニュアルは英語です。

チーフエコノミストは「こうした新しいソフトは誰かが覚えて、みんなに広めるのが一番ですよね」と言う。私も「それはおっしゃる通りですね」と何の気なしに言うと、「じゃあ、飯塚さんが(日本語版の教育用の資料を)作って研修生に教えてやってください」と。これがEViewsと関わるようになったきっかけです。

読んでわからないなら、体で覚えろ

―― EViewsの理解は順調に進みましたか?

【飯塚氏】
それが、チーフエコノミストに進められた本(Jack Johnston and John DiNardo ”Econometric Methods 4th edition”)を買ってみたのですが、計量分析と英語の二重苦(笑) で、さっぱり理解できない。
そこで、チーフエコノミストによる千本ノックが始まりました。読んでわからないなら、体で覚えろということで、とりあえず推計してみなさいと。チーフエコノミストに毎日、「このデータでこの推計をしてみなさい」とデータを渡されるわけです。そのときに、自分でやったことを全部メモしていきました。「ラグ項を加えるということはどういうことか…」といった具合にです。便利なプログラムを試作して、研修生に渡して使ってもらって評価してもらうこともたびたびでした。

こうして、実際に自分で動かして結果を出して「何か出てきた」ということを経験することで、それまで何がなんだかよくわからなかった計量分析の説明が、少しとっつきやすくなり、本格的に勉強してみようと思えるようになりました。その後、千葉大の大学院に通って経済学や計量分析をイチから勉強し、今に至っています。この本(『EViewsによる経済予測とシミュレーション入門』)の私の執筆部分は、こうして自分が苦労した経緯を書いたものです。

いつも研修生にも言っているんですよ。最初はわからなくてもいいからとりあえず動かしてみなさいと。エラーが出てくるかもしれないけど、パソコン壊れるわけじゃないんだからやってみなさいと。
そして、最初はEViewsが表示してくれる結果の直感的な見方だけ覚えて、判断してみなさいと。でも、だんだん「なぜそういう結果になるのか」「この推計方法で本当に大丈夫なのか」と気持ち悪くなってくるはずです。そうなったときに計量の本を読んでみれば、きちんと書いてあるよと。そう思って計量の専門書を読むのと、何も意識しないで読むのでは、学習効果が全然違いますよね。

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