第6回学生論文コンテスト「光石賞」 審査結果

第6回学生論文コンテスト「光石賞」にご応募・ご提出いただきました皆様に、改めて御礼申し上げます。
厳正なる審査の結果、第6回「光石賞」学生論文コンテストの入賞者は次のように決まりましたのでご報告いたします。

※受賞論文、受賞の感想は後日掲載する予定です。

受賞論文

光石賞

東京大学大学院 新領域創成科学研究科 国際協力学専攻
李 根雨 様
受賞論文:「Evaluating the Impact of Market Information System on Coffee Producers’ Revenues and Profits in Ethiopia」

準光石賞

九州大学経済学部経済工学科
三宅一之 様
受賞論文:「介護報酬の改定は介護産業の労働市場にどのような影響を与えるのか」

 

光石賞

東京大学大学院 新領域創成科学研究科 国際協力学専攻
李 根雨 様

「Evaluating the Impact of Market Information System on Coffee Producers’Revenues and Profits in Ethiopia」(PDF, 851KB)

受賞の感想

この度は光石賞を受賞することができ光栄に存じます。私の指導教官である鈴木綾 先生によるご指導がなかったら、受賞はもちろん、論文を完成することさえできなかったと存じます。この2年間 支えてくださった鈴木先生に心より感謝をいたします。 そして、この論文コンテストの主催者であるライトストーン様、および、研究助成金をご支援くださった日本証券奨学財団様、日本学術振興会様に厚く御礼を申し上げます。今後もより一層勉学に精進し、微弱ながら貧困削減に貢献できるような研究を続けていこうと存じます。

第6回光石賞_光石賞受賞
新領域創成科学研究科 国際協力学専攻の皆様 李さんは右端

講評

専修大学 商学部 大林 守 教授

 光石賞は、”Evaluating the Impact of Market Information System on Coffee Producers’ Revenues and Profits in Ethiopia"となった。エチオピアのジンマ地域におけるコーヒー農家に対する独自アンケート調査データを利用し、マーケット・インフォメーション・システムが小作農の利益に及ぼす効果分析を情報の非対称性を解消する視点から分析したものである。乱高下するコーヒー価格によりコーヒー生産者の多くが困難に直面しているという問題の現実性と切実性、仮説設定とDID等の計量分析手法の選択の適切性、論理展開がクリアである点から評価が高かった。
 背景にある理論的想定として、ゲーム理論的状況からマーケット・インフォメーション・システム活用農家は生産者販売価格を高く設定できると考えることからスタートし、推計結果では逆に生産者販売価格が下落という結果を得ている。その結果から、マーケット・インフォメーション・システム活用のメリットは生産性の上昇を通じた収益と利潤の上昇に結びつけられている。しかし、そういった農家の供給曲線が右下方シフトするとしてもその市場帰結は需要曲線の価格弾力性に影響を受ける。トレーダーとの取引に何らかの特殊性が存在するかもしれないが、コーヒー需要の価格弾力性が低いという常識からは、豊作貧乏の可能性が否定できないし、そもそもそれがコーヒー市場の問題であったはずであり、推計結果の解釈にもう一歩の踏み込みを期待したい。

 

準光石賞

九州大学経済学部経済工学科
三宅 一之 様

「介護報酬の改定は介護産業の労働市場にどのような影響を与えるのか」(PDF, 613KB)

受賞の感想

この度は準光石賞という素晴らしい賞を受賞することができ、大変嬉しく思っております。本研究を進めるにあたって、主演習ゼミの村尾徹士先生、副演習ゼミの宮崎毅先生からは非常に多くのコメントを頂きました。また両ゼミの学生からは、互いに論文を執筆する中で日々刺激を受け、最後まで論文執筆のモチベーションを維持することができました。支えてくださった周囲の皆様には本当に感謝しております。
また準光石賞を受賞したからには、賞を受賞するのに相応しい行動をしていく必要があります。この度の受賞で頂いた賞金は、本研究を改善するための研究費として適正に使用し、講評で挙げてくださった雇用の質についても研究に取り入れることができるよう努力して参ります。本当にありがとうございました。

第6回光石賞_準光石賞受賞
村尾徹士 先生(左)、三宅さん(中央)、宮崎毅 先生(右)

講評

専修大学 商学部 大林 守 教授

 準光石賞は、「介護報酬の改定は介護産業の労働市場にどのような影響を与えるのか」となった。本分析も光石賞を受賞した論文とDIDを計量手法として利用している点で共通している上に、問題の現実性も切実性も高く、理論的展開はストレートであり、審査員の評価も高かったが、僅差で次点となった。
 理論的展開がストレートと表現したのは、介護市場における供給者需要創出効果や介護需要曲線の屈折の可能性などの特殊性に対する考慮が少ないことも意味する。介護保険導入により、要介護度を上げると給付が増加するという供給サイドの負のインセンティブを考えることは容易であるし、要介護度が改善しても長い待機の末に入所できた施設における継続的滞在の希望という需要サイドのインセンティブも考えることができよう。雇用に関しても、2009年度から介護報酬制度に介護職員処遇改善加算を導入し、介護報酬自体の増減と介護職員の待遇改善を切り離す努力もなされている点の考慮も必要であろう。雇用増の質を考えるのが論文の主題目でないことは理解できるが、社会保障政策が有効に機能しているのかという視点への気配りを期待したい。